Discipline(知識分野)としてのScience(〔分〕科学)/Disciplineとしての趣味・道楽:書物蔵氏の書き込みより

Disciplineの両義性に対する柳田国男周辺の人びとの姿勢なども含めて、大変興味深かったので、備忘としてまとめました。
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書物蔵C103Sun東ネ58a @shomotsubugyo

昔からどうも、英語のscienceがニフォンゴになると自然科学や科学技術の意味になっちゃって、原語は学問一般なのにへんなのと思ふてをったことぢゃったが。じつはscienceの訳語、科学が、分科学の縮約形ぢゃと科学史の本で知った時、なーるほどと思ふたことぢゃった。

2014-11-25 01:19:40
書物蔵C103Sun東ネ58a @shomotsubugyo

本来、人智は区分しがたいものであるものをわざと人工的に区切って、この観点内でのみ整合的なことを論じませう、といふのが分科学。たとへば経済学内で人間はカネの合理的決定のみをする存在として規定され、それ以外の側面は捨象されちゃふ。逆にいふとその分科学の前提を外れる問題は棄却されちゃふ

2014-11-25 01:23:03
書物蔵C103Sun東ネ58a @shomotsubugyo

だから、人文系の知識分野でも、むりくり分科学扱いにして編成・運営していくことも可能ではある。技術的側面はその方がむしろやりやすくなる。たとえば崩し字の読解、史料批判のでけん趣味家は、歴史「科学」から排除するとか。講壇歴史学はその意味では間違わない。文学研究でも同じ図式はありえる。

2014-11-25 01:26:31
書物蔵C103Sun東ネ58a @shomotsubugyo

だから、歴史科学は初手からトンデモな事象や質問、疑問には答へない。それが科学的態度だから。けど、困ったことには人間は、分科学の編成と無関係に疑問を持つし、なにより事象は人間サマの分科学の編成どほりに都合よく発生してくんないのよ。

2014-11-25 01:29:25
書物蔵C103Sun東ネ58a @shomotsubugyo

ところがぎっちょん、人間サマの知恵といふのは大したもんで、さういった講壇学問(まちがわない)とは別に、趣味とか道楽とか広い意味での「知識分野」(discipline)が成立していたり生成したりして、疑問や質問に一定程度答えが出たりする。

2014-11-25 01:32:02
書物蔵C103Sun東ネ58a @shomotsubugyo

戦国時代の事象など、歴史科学がさっぱり相手にせず、歴史趣味が相手にしてきたこととか、戦後日本の民間人の軍事知識が、プラモオタクなどに蓄積されたような現象。

2014-11-25 01:33:35
書物蔵C103Sun東ネ58a @shomotsubugyo

昭和初期、土俗学とか方言学とか、趣味や道楽でしかなかった知識ジャンルを、学問にしていかう、いやこれ、実は学問になるよ、などと、大それたことを言い出したのが、あの、ヤナギタクニヲだったのだらうなぁ…(*゜-゜)

2014-11-25 01:35:18
書物蔵C103Sun東ネ58a @shomotsubugyo

ヤナギタくんが、趣味はダメ、と初期のころ盛んに言っていたらしいのは、実は自分が趣味人の側面があったことの裏返しだと、友人に聞いたことである。初期のヤナギタ著作が、それはもう趣味的装丁だったことは知る人ぞ知る。

2014-11-25 01:37:08
書物蔵C103Sun東ネ58a @shomotsubugyo

今度、金沢文圃閣から復刻される『図書週報』(昭和5年~昭和17年)は、基本は書物趣味誌なんだけど、初期のころから方言学の橘正一なんかが、せっせこせっせこ「土俗学」なる新刊欄に情報を流してゐるのであった…

2014-11-25 01:40:52
書物蔵C103Sun東ネ58a @shomotsubugyo

いやサ、かやうなことを考へるきっかけとなったのも、むかーし、この世のありとあらゆる本に分類番号をつける仕事をしてゐて、図書館の一般分類表が、scienceでなくdisciplineの寄せ集めで編成されとるなぁと気づいたからぢゃった。

2014-11-25 01:45:04
書物蔵C103Sun東ネ58a @shomotsubugyo

数学やそのマネッコの経済学のやうに分科学であることがその学問にとって利点である場合はいいとして、民俗学とか、図書館情報学とか、ある種の現場から課題や事象を拾ってくるディシプリンを、サイアンス扱いにしてガチガチにやると、とたんにダメになっちゃふことは、これはナントカ学の不幸ですなぁ

2014-11-25 01:48:10

【参考】前段としての書物蔵氏と永﨑研宣氏とのやり取り

書物蔵C103Sun東ネ58a @shomotsubugyo

やりたいことはわかるんだけど、なぜDHといふ看板なのかがわからんなぁ。かつて図書館情報学なるものが呼号していた中身とあまり違わんやうな…。人文に限るのは就職の方便?といはれちゃはないかこの論理だと / “デジタル・ヒューマニティー…” htn.to/ityJqTZ

2014-11-25 00:54:11
リンク はてなダイアリー デジタル・ヒューマニティーズ(デジタル人文学、人文情報学、etc...)がよくわからない人のために - 変更履歴 はてな版 デジタル・ヒューマニティーズ(デジタル人文学、人文情報学、etc...)がよくわからない、という質問をよ..
Kiyonori Nagasaki @knagasaki

ご高覧いただきましてありがとうございます。人文学の変革として、その文脈を重視することに意義があると思っております。おっしゃる通り図書館情報学の一部とは内容的にも近接している面もあります。 RT @shomotsubugyo やりたいことはわかるんだけど…

2014-11-25 01:00:52
Kiyonori Nagasaki @knagasaki

実際の所、米国の話ですが、図書館情報学の中でも人文学系の専門司書の方々の中にはDH研究の場に出入りしている人が結構いらっしゃいます。 RT @shomotsubugyo …かつて図書館情報学なるものが呼号していた中身とあまり違わんやうな…。

2014-11-25 01:03:45
書物蔵C103Sun東ネ58a @shomotsubugyo

@knagasaki こんばんははじめまして。情報工学の応用は全学問にできるとして、それを応用が遅れた人文系に押し広げる意義はおほいにあらうかと存じまするが、その意義とは別途に、人文系を繋いだ人文情報てふジャンルが設定される利点が明確化されるべきかと思ふのであります(`・ω・´)

2014-11-25 01:04:48
書物蔵C103Sun東ネ58a @shomotsubugyo

@knagasaki わちきはデジタル技術の有無にかかはらず、人文系を分科学としてではなく人文系として一括して扱ふ利点といふのがあるなぁと、レファレンス業務から言えるのではと思ひつつある次第にて、むしろ、人文○○学なる視点に賛成的でありますゆえ、あへて申し上げる次第。とりいそぎ。

2014-11-25 01:07:46
Kiyonori Nagasaki @knagasaki

私としましては、DHはまさにその利点を明確に有する研究領域だと思っているのですが、あのブログではうまく表現できていないのだと思います。もう少し内容を検討しててみます。 @shomotsubugyo 人文系を繋いだ人文情報てふジャンルが設定される利点が明確化されるべきか

2014-11-25 01:12:27