なぜ為替相場なんてあるのか~固定相場制の代わりに手に入れたもの

"2国間の資本移動(お金を投資したり引き上げたり)を安定させる方法には、 ①金利の低い国が高い国の金利に合わせる(金融政策の放棄) ②交換のレートを変更する(変動相場制) があり、どちらも選択できないなら資本移動を制限することになります。"
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たのあきら(公開用) @tanoakira_open

ドルと円の為替レートが120円に近づいてきました。その結果「庶民の生活が云々」という騒ぎになっているようです。ちょっとそのことを脇に置いて、そもそもなぜ為替相場なんてあるのか不思議じゃないですか? そして実は割と最近まで為替は固定というケースが多かったことはご存じですか?

2014-11-27 03:24:46
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

この変動する外国為替、つまり「2つの通貨の取引価格」が今や秒単位で変化する必要がなぜあるのか。それには「国際金融のトリレンマ」という問題が関係しているそうです。トリレンマ。なんか格好いいですね。あと、ちょっとジレンマという言葉に似てますね。

2014-11-27 03:25:02
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

ジレンマというのは2つの選択肢のうちどちらを選んでももう片方の方の不都合が生じてしまうこと、なのだそうです。トリレンマというのは選択肢が3つある状態。3つの要素のうち2つまでを満たすと残りの1つが実現できなくなることをトリレンマと呼ぶのだそうです。

2014-11-27 03:25:26
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

「国際金融のトリレンマ」なので国際金融に関する3つの要素があるわけです。要素の説明の前に「国際金融」という言葉の意味を説明しましょう。国際というのは「万国交際」という言葉から作られた略語。「金融」はお金を融通すること。つまり多国間でお金を融通するのが「国際金融」です。

2014-11-27 03:26:00
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

続いて3つの要素を紹介しましょう。それは「自由な資本移動」「自国の独立した金融政策」「固定相場制」の3つなのだそうです。と、言われても「よくわからない」という人は多いかと思います。ただ、説明されると「ああ、と思うような事でもあったりします。

2014-11-27 03:26:23
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

まず「自由な資本移動」というのは要するに他の国から自由投資できるということです。例えば、今の中国は他国からの投資に色々制限があります。制限があると不自由ですから商売の障害になります。そこで、今の先進国間ではルールを決めて資本移動を制限しないようにしています。超重要です。

2014-11-27 03:26:41
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

「自国の独立した金融政策」というのは要するに自国の通貨の価値を上げたり下げたりすることです。政策金利の上げ下げ、つまりその国の中央銀行が銀行に貸し出すお金に付ける利子を上げ下げしたり、公開市場操作といって国債や有価証券を売ったり買ったりします。

2014-11-27 03:27:04
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

なんでわざわざそんなことをするのかというと、放っておくと時折ものの値段が上がり続けたり(インフレ)、逆に下がり続けたり(デフレ)するからです。通貨の改鋳とか吹き替えとかいう言葉を聞いたことはありませんか?人は昔からお金とものの価値のバランスを取るために色々してきました。

2014-11-27 03:27:40
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

物価が安定しないと、ものを売り惜しんだり、逆に買い惜しみをするので市場でものが流通しなくなります。そうなると失業や倒産が発生し、多くの人が困ることになります。そこで、それこそ紀元前のアテネあたりからすでに改鋳は行われてきました。金融政策、超重要です。

2014-11-27 03:28:26
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

最後に固定相場です。要するに別々の国のお金の価値を一定にしようという制度です。実は今でも固定相場制の国はあります。また、100年ほど前までは「金本位制」という制度によって事実上外国為替相場は固定するのが主流でした。日本もかつては金本位制を取っていました。

2014-11-27 03:29:21
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

当たり前ですが手に入れたお金の価値が勝手に下がったら困ります。金本位制、つまりお金を発行する際に政府が一定量の金と交換と保証する制度は他国から資金を手に入れる際に重視されました。日露戦争のさい日本は涙ぐましい努力をして国債を買ってもらっていました。固定相場、超重要です。

2014-11-27 03:31:05
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

さて、「自由な資本移動」「自国の独立した金融政策」「固定相場制」という超重要な3つの要素。これらが全部同時には成立しないというのはどういうことでしょうか? 実は結構難しいと思うんですよね。どうも高校まででは習わないレベルの内容みたいです。難しいのも仕方ないですね。

2014-11-27 03:31:40
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

なるべくわかりやすく簡単に説明したいと思います。まず、別の通貨を使う2つの国があるとします。そして、それぞれ片方の国の金利がもう片方の国より高いとします。そうなるとどうなるでしょうか? 実は今のアメリカと日本の金利がそういう関係になっています。

2014-11-27 03:31:57
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

アメリカは今景気が上向きです。長く0%に近かった政策金利を上昇させるだろうといわれています。一方日本は景気が悪く金融緩和を始めたての状況です。そうなると金利の高いアメリカにお金が流れる。今はそうなっているわけです。金利が高い国でお金を運用したほうが儲かりますからね。

2014-11-27 03:32:14
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

話を仮定の2国間のことに戻しましょう。金利の高い国と低い国がある場合お金がどんどん金利の高い国に流れて行ってしまいます。それを止めるにはどうするか。方法は2つあります。1つは片方の国がもう片方の国の金利に合わせること。もう1つは通貨を交換する際に比率を変えることです。

2014-11-27 03:32:29
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

話が難しくなったかと思うので、改めて詳しく説明しますね。まず、2つの国があり、資本の移動、つまりお金を投資したり引き上げたりが自由にできる(「自由な資本移動」が実現されている)とします。その際お金の移動を安定させるためには2つの方法があるわけです。

2014-11-27 03:32:44
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

1つは金利の低い国が高い国の金利に合わせる、つまり金融政策をあきらめる方法。もう1つは交換のレートを変更する、つまり変動相場制にする方法。どちらも選択できないなら資本の移動に制限を設けることになります。こういう感じで3つの要素のどれかをあきらめることになるわけです。

2014-11-27 03:33:03
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

実は結構な年月、世界では金本位制が採用されており、固定相場が主流でした。ただ、それだとどうしても物価をコントロールできず、経済をうまく回せないことがわかってきました。そこで、先進国間では変動相場を採用する国が増えたのです。

2014-11-27 03:33:36
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

今の日本は景気が悪いです。もっと具体的には経済活動が不活発でお金の価値が高くなりすぎていてなかなかものが売れません。そこで、どうしても物価が「上がるかも」と多くの人に思わせて「お金を持ち続けていても損をする」と思ってもらわないといけない状態です。だから金融緩和は必須なのです。

2014-11-27 03:33:55
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

金融緩和をしないと、お金が動きませんから失業や倒産が増えます。景気対策に支出も必要になりますし税収も減るから財政も悪化します。また、景気の悪化が他国に伝われば世界的な景気悪化を招きかねません。世界全体を見ても日本の金融緩和は必要だといえます。

2014-11-27 03:34:12
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

ここからは余談。とはいえ為替で損をしている人を見捨てはいけませんよね。例えば小麦。実は小麦の価格は政府がコントロールしています。 下のURLをご覧になってください。 「日本の小麦はなぜ高い?」~日本の小麦流通制度の問題点とは?~ blogs.bizmakoto.jp/hyas/entry/161…

2014-11-27 03:34:33
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

また、石油や石炭の輸入には関税がかかっています。ガソリンにも別に税金がかかっていますね。これらの税をコントロールすれば困っている人も助けられるわけです。要するに金融緩和を止める以外にも困っている人を助ける方法はあるだろうなあとかん考えられるわけです。

2014-11-27 03:35:17
たのあきら(公開用) @tanoakira_open

そんな理由で変動相場制は存在し、今のところ全体として円安方向に為替相場が振れることはいたし方ないという話になるわけです。それが「国際金融のトリレンマ」という問題に対して外国為替の「固定相場」をあきらめた結果なので。

2014-11-27 03:35:48