茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1363回【教育に、もっとコストを】連続ツイート
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日本の教育の課題の一つは、教育に十分にコストをかけていないことだと思う。ここで言う「コスト」の中には、お金だけでなく、人的、社会的コストも含まれる。明治において、急速な近代化をしなければならなかったので、低コストで一定の能力をつけさせるシステムができて、その慣性が続いている。
2014-11-29 07:55:54象徴はペーパーテスト。日本の大学入試の課題は、いかに学生の選択、とりわけ非典型的な人材の選抜にコストをかけるかということである。AO入試は例外ではなく、本来すべてがAO入試でなければならない。AO入試には、コストがかかる。専門性をもった、専従スタッフが必要である。
2014-11-29 07:57:28結局、今の大学入試は、いかにコストが低く採点ができるかということで決められている。たとえば、歴史資料を数点示して、年代別に並べよ、というような問題は、批判的思考という視点からは価値はゼロだが、採点側から言えば、楽に、しかも客観性を標榜して評価できるというメリットがある。
2014-11-29 07:58:52一方、もし、面接で、批判的思考能力や知的好奇心を二時間にわたって問う、というような選抜方式を採用すると、採点する側に見識とコミットメントとエネルギーがいる。さらには、客観性や公平性について、それを担保すること、あるいは批判にこたえることといった社会的、心理的費用も発生する。
2014-11-29 08:00:01数学オリンピックで入賞する/スポーツで顕著な成績を上げる/高校から起業して活躍している/膵臓ガンの検査法を発明しているといった、非典型的な人材を選ぼうと思うと、複雑多岐にわたるパラメータを総合的に判断するノウハウの蓄積が必要になる。これも、コストがかかる。
2014-11-29 08:01:19教育プロセス自体に、もっとコストをかけなければならない。ハーバードのサンデル教授は、Justiceの授業をするだけで、あとはグループに分かれて大学院生などのTAが関連論文を輪読したり、レポートを提出させて採点したりする。ケンブリッジでは、大学の授業以外にカレッジのチューターがいる
2014-11-29 08:02:54大教室で授業を受けて、あとはペーパーテストだけという日本の大学の現状では、十分な教育はできない。教師側から見れば、採点や関連論文の輪読などのタスクをやるスタッフが別にいれば、授業の選択肢が広がるが、すべてを自分でやらなくてはいけないとなると、選択肢はきわめて狭くなる。
2014-11-29 08:04:31日本の教育には、もっとコストをかけなければならない。もともとOECD諸国の中でも日本の教育投資は低いと聞く。財政が苦しい中で、難しい問題もあるが、教育は未来への投資である。日本の子どもたちが将来輝くためにも、教育に対する投資について、もっと議論を深めてよい。
2014-11-29 08:06:04