演劇ジャーナリストの徳永京子さんから【高校生の皆さんへ】

2014年の東京都の高校演劇中央発表会(いわゆる都大会)で審査員をつとめた演劇ジャーナリストの徳永京子さんが、講評で伝えきれなかったことをまとめた。 徳永京子:演劇ジャーナリスト。小劇場から大劇場まで幅広く足を運び、演劇専門誌、情報誌、公演パンフレット、Web、新聞等でインタビュー、作品解説、劇評などを執筆。朝日新聞劇評のほか、『シアターガイド』『花椿』などの雑誌に連載。東京芸術劇場運営委員および企画選考委員。 プロフィールは下記より構成。 http://www.wonderlands.jp/wp-content/uploads/agora2010_7B_0809-2.pdf 続きを読む
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徳永京子 @k_tokunaga

1ヵ月近く前になりますが、東京都の高校演劇の中央発表会(いわゆる決勝戦)の審査員をさせていただきました。講評で充分な話ができたか心残りがあり、今さらですが改めて思うところをまとめてみました。【高校生の皆さんへ】と題していくつか連投します。高校演劇をしている人に届くかな?

2014-12-03 04:32:27
徳永京子 @k_tokunaga

【高校生の皆さんへ】①「あなたの途中を作品に」たとえば“戦争はよくない”という、すでに答えの出ていることは演劇にしなくていいのです。皆さんが考えている途中のこと、考え続けたいことを作品にしてほしい。もし本当に“戦争反対”と伝えたいなら、世界一新鮮な“戦争反対”を見せてください。

2014-12-03 04:33:18
徳永京子 @k_tokunaga

【高校生の皆さんへ】①続き「複雑なことを複雑なまま」井上ひさしさんは“むずかしいことをやさしく”と劇作の心得を説かれましたが、皆さんにとってそれは先の先の段階。人間や世界の複雑さを演劇にぶつけてほしい。善人と悪人で人間を分けたり“オタクはこう”と記号化するの、むしろ窮屈ですよね?

2014-12-03 04:34:24
徳永京子 @k_tokunaga

【高校生の皆さんへ】②「ダサいタイトルから脱却せよ」今年は特に昭和っぽいもの、内容と合っていないものが多かった。タイトルは名刺、表紙です。チラシにそのタイトルがあったら自分が観に行きたくなるか、よく考えて。また、タイトルをつけるのは作品を客観的に捉える訓練。おろそかにしないこと。

2014-12-03 04:35:12
徳永京子 @k_tokunaga

【高校生の皆さんへ】③「BGMよりSEに神経を注げ」日本語の歌詞のちょっと気の利いた曲を大音量で流せば、条件反射的に大抵の人の心は震えます。安易なBGMで観客を感動させた気にならないこと。それより、場所や季節や天気や時間帯をさりげなく伝えるSE(効果音)をつけて戯曲を助けて。

2014-12-03 04:38:06
徳永京子 @k_tokunaga

【高校生の皆さんへ】④「せりふは俳優だけの担当ではない」戯曲をよりわかりやすく、より深く伝えるには、照明、小道具、SE、衣裳を活用すること。予算等の制限があっても、制限の中でできることはある。そのアイデアは、普段、舞台を観ている時に照明や美術などに注目してストックする。

2014-12-03 04:40:36
徳永京子 @k_tokunaga

【高校生の皆さんへ】⑤「繰り返しは、らせん階段に」同じシーンを繰り返すなら、繰り返しごとに観客が受け取る “気付かない変化”が必要。同じ場所を回っているようで、いつの間にか見える景色が広くなっているらせん階段のような効果を、その繰り返しはもたらすか。安易な繰り返しの前に再考を。

2014-12-03 04:43:05
徳永京子 @k_tokunaga

以上、計6つ。連投、失礼しました。

2014-12-03 04:48:25
平野暁人/HIRANO Akihito @aki_traducteur

@k_tokunaga 高校生だけといわず、ヴェネツィアの劇場にてイタリア人のゲネとダメだしを見学してきたばかりのひらのにもたいへん勉強になりました。

2014-12-03 05:10:05