「フー・キルド・ニンジャスレイヤー?」#5・再放送Ver(実況なし)
(これまでのあらすじ:ソウカイヤ、ザイバツとのイクサを終え、復讐を遂げたフジキド・ケンジは、目的を失い、虚無的な生活を送るようになっていた。そんな中ネオサイタマの闇にふたたび、ニンジャ殺しの死神「ニンジャスレイヤー」の活動が目立ち始めた。これはフジキドではない。では誰が何故!?)
2014-12-05 17:53:53(ニンジャ、非ニンジャ、己に関わるものを見境なく殺す恐るべき悪鬼と化したのは、セイジという若者だった。かつてフジキドによってニンジャから命を救われた彼は、己がニンジャスレイヤーを継ぐと決め、ヴィジランテ活動を開始……その過程で残虐なニンジャと化した)
2014-12-05 18:02:36(やがてセイジはニンジャスレイヤー概念を滞りなく継承する為に、先代にまつわる記憶の消去……即ちフジキドとつながりのある人物の殺害、ひいては、かつてニンジャスレイヤーを誕生せしめた悲劇の舞台マルノウチ・スゴイタカイビルの完全破壊を企むに至る)
2014-12-05 18:09:35(タカギ・ガンドー、エーリアス、そしてウミノ=センセイに無慈悲な凶刃が振り下ろされんとしたまさにその時、フジキド・ケンジは赤黒の装束と忍殺のメンポを身に着け、戻ってきた……ニンジャスレイヤーとなって!セイジは現場を逃走、恐るべき目的を胸に、スゴイタカイ・ビルを目指す!)
2014-12-05 18:14:12「オイ!下ろしてくれ、もう大丈夫だ!やれる」ガンドーに抱えられたエーリアスが我に返り、顔を上げた。「バカ言うな。スイスチーズ(蜂の巣)の分際で」彼女を担いだガンドーはにべもない。エーリアスはやや後ろに続くニンジャスレイヤーを振り返る。「……ドーモ。ニンジャスレイヤー=サン」1
2014-12-05 18:19:22「イヤーッ!」彼らはビル屋上のプールサイドに着地した。「アイエエエ!」水着オイランとチョンマゲ・ヤッピーが悲鳴を上げてプールから這い出した。「ニンジャ!ナンデ!」「アーアー、お構いなく!そのまま楽しんでてくれよ!マッポは呼ばんでくれ!」ガンドーは彼らに手を振った。 2
2014-12-05 18:20:41このビルはマルノウチ・スゴイタカイビル前の広場に隣接している。目的地は広場を挟んですぐ先だ。ガンドーはエーリアスを下ろし、パラソル付きベンチにひとまず座らせた。エーリアスはテーブル上に残された蛍光トロピカルドリンクを無意識に取って飲んだ。彼女は不意に言った。「なあ。悪かった」3
2014-12-05 18:24:47「何がだ」ニンジャスレイヤーは尋ねた。エーリアスは俯いた。「……俺らだけでどうにかしようと思ったんだ。なのに結局、引っ張り出しちまって」「傷はどうだ」「このオッサン、荷物の扱いが乱暴だからよォ……だが大丈夫だ!何がスイスチーズだ」「自力で帰る元気はあるか?え?」とガンドー。 4
2014-12-05 18:26:36「何で俺らの所に?何でわかった」エーリアスが訊いた。ニンジャスレイヤーは答えた。「交差点で何か言おうとしておったろう」「あそこで気づかれてたッてのか」エーリアスが顔をしかめた「ウカツかよ」「私はニンジャだ。錆びついてはいるが」「どこまで知ってる?」ガンドーは実弾を装填する。 5
2014-12-05 18:32:01「ある程度」ニンジャスレイヤーは答えた。懐から携帯端末を取り出し、テーブル上に小型モニタを展開する。IRCチャネルが表示される。ログインしている他者アカウントが二つ。「ナンシー=サンと、ハッカーがもう一人。シバカリ=サンだ」「二人か」ガンドーは装填を完了した。「大掛かりだな」6
2014-12-05 18:33:24「正直時間が無い」ニンジャスレイヤーが言った。「このまま手短かにブリーフィングをやる」画面上にスゴイタカイビルのフレーム図が形成されてゆく。「あの男には複数のハッカーのバックアップがある。結果的にそこから足がついた」「何?」ガンドーは瞬きした。「もうイクサが始まってンのか?」7
2014-12-05 18:42:26ビルのフレーム図に、「重点可能性」のマークが無数に出現。時間と共に徐々にそれらが絞られてゆく。「二人がポイントを吟味している。爆薬、そしてビル内のハッキングポイント」ニンジャスレイヤーは言った。ガンドーは嘆息した。「お前らに先を越されちまッてる。まあいいさ。……待て、爆薬?」8
2014-12-05 18:51:46「……そういう事になるな」ニンジャスレイヤーは低く言った。「理由は何だ?」ガンドーは呻いた。「お前の偽物になって暴れる。百歩譲ってそれはいい。わかった事にするさ。だが、ナンデ?吹っ飛ばすだと?スゴイタカイビルを?」ニンジャスレイヤーを見た。「野郎、狂ってやがるのか!?」 9
2014-12-05 18:59:27ニンジャスレイヤーは端末を操作した。「情報はそう多くない。オヌシらの潜伏ドージョーに展開していた包囲網の連携システムからナンシー=サンが親を辿り、計画の一端を掴んだ。今こうしてリアルタイムで入って来る解析情報だ。シバカリ=サンが先程加わった。ナンシー=サン一人では手に余る」 10
2014-12-05 19:06:08「オイ、俺らも無駄に因縁ふっかけられたわけじゃねえとよ」ガンドーが言い、エーリアスを見た。「サイオー・ホースな。だからお前も浮かない顔してねえで……」「データを同期させる。オヌシの端末を」ニンジャスレイヤーが促した。「ああ、よし」ガンドーは懐から12面体の小型端末を取り出す。11
2014-12-05 19:11:30「重点!」赤い光の帯を引いて、小型ドロイドがテーブル上に飛び乗った。「驚いたか?モーターチイサイだ。元気なもんだろ」ガンドーが言った。ドロイドは端末にケーブルを伸ばし、みずからLAN直結した。「ヌンヌンヌンヌンヌン……」 12
2014-12-05 19:17:12「二手に別れ、爆破ポイントの解除作業、ウミノ=サンの救出を並行して行う。『ニンジャスレイヤー』は……」ニンジャスレイヤーは言った「……私がケリをつける」「おう」ガンドーは頷いた。「俺も行く」エーリアスが言った。ガンドーは肩を竦めた。「勝手にしろ。痛くてもZBRはねえぞ」13
2014-12-05 19:21:30「シューッ……ニンジャスレイヤー……俺がニンジャスレイヤー……俺がニンジャスレイヤー……俺以外にニンジャスレイヤー無し……」(((ニンジャスレイヤー……ニンジャスレイヤー……ニンジャ……ニンジャを殺す……)))「そうだ……もっともっと殺す……俺が俺になる為に……」 15
2014-12-05 19:27:28セイジは独り、タタミ上でアグラし、不定形の影と対峙している。廃テンプルめいたその一室は、彼のニューロン内に築かれたローカルコトダマ空間である。「ニンジャスレイヤー」不定形の影が呻き、「忍」「殺」の漢字を表面にエンボスさせる。それらがまた溶けて渦巻き、今度は無数の目になる。 16
2014-12-05 19:31:25