#トラ泊神戸支部~迷子妖精編

Twitter上で書いている、自分のところの鎮守府をモチーフにしたSSのまとめとなります。 12月21日更新。
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ですか @desuka_desuyo

トラ泊神戸支部~2nd season 迷子妖精編 久しぶり過ぎて書けるか分からないけどスタート #トラ泊神戸支部

2014-12-21 22:15:17
ですか @desuka_desuyo

春も終わりごろ。トラ泊神戸支部の司令室は資料や報告書を届ける人が慌ただしく出入りしていた。提督の机の上には山のように積み重なっている。それもこれも春の中ごろに突如南西海域に現れた深海棲艦の部隊のせいであった。 #トラ泊神戸支部

2014-12-21 22:21:07
ですか @desuka_desuyo

「なんだよこの書類の数は!」 あまりの多忙さに思わず文句を言うと、秘書艦の青葉が横から声を掛けてきた。 「仕方ないですよ司令官。なんだかんだ言って最深部の攻略にも関わっていたんですから、必要だった経費も馬鹿にならないですし、修復や休暇の申請もたくさん出ますよ~」 #トラ泊神戸支部

2014-12-21 22:26:15
ですか @desuka_desuyo

「たしかにそうだけど……」 目の前には積み重ねられた紙の山が幾つも並べられた机。その量を見るだけで気分が滅入るというものだ。青葉もそれは察してくれているのか、お茶を入れてきますねといって給湯室へと向かった。 「ハァ」 溜息をついて椅子の背にもたれ掛る。 #トラ泊神戸支部

2014-12-21 22:30:07
ですか @desuka_desuyo

先程までの人の出入りが嘘のように、司令室は普段の静けさを取り戻していた。やはりこちらの方が落ち着くな。そんなことを思いつつ目の前の資料に手を伸ばしたところで、違和感に気付いた。 ――しくしくしくしく どこからともなく子供の泣き声のようなものが聞こえるのだ。 #トラ泊神戸支部

2014-12-21 22:36:56
ですか @desuka_desuyo

「どこからだ」 さぁっと血の気が引いていくのを感じながら、それでもこの事態を何とかしなければいけない、と耳を澄ませた。どうやらその声は机の方から聞こえているようだ。 「たしかここら辺からか」 そう呟きながら俺は資料の山をずらした。 #トラ泊神戸支部

2014-12-21 22:42:32
ですか @desuka_desuyo

そこに現れたのは黒く小さな塊。それが急に動き出したので思わず叫んだ。 「うわぁ!」 「くぁwせd#$%*」 黒い塊の放つ奇声に更なる叫び声をあげそうになったところで、ようやくその正体に気が付いた。 それは黒いふりふりのドレスを着た妖精であった。 #トラ泊神戸支部

2014-12-21 22:46:19
ですか @desuka_desuyo

先程の俺の叫び声に驚いたのか、妖精は大粒の涙を流して泣いていた。 「わぁ、驚かしてすまんかった。ほら、飴ちゃんやるから泣くな泣くな」 そう言ってなだめようとするが妖精はなかなか泣き止まない。途方に暮れていたころ、お茶を入れた青葉が戻ってきた。 #トラ泊神戸支部

2014-12-21 22:49:22
ですか @desuka_desuyo

「どうしたんですかぁ?」 そう尋ねてくる青葉。とりあえず妖精を指差すと理解してくれたのか、子どもをあやすように妖精を泣き止ませてくれた。 「助かったよ」 「で、何があったんですか?」 俺は今までの経緯(と言ってもほとんど話す内容はない)を青葉に伝えた。 #トラ泊神戸支部

2014-12-21 22:52:49
ですか @desuka_desuyo

「なるほど、迷子の妖精さんですか」 妖精の頭を撫でながら、青葉が呟く。彼女は妖精の姿をじっと見つめながら、う~んと唸った。 「とりあえず、建造妖精や鎮守府就きの妖精でないことは分かった」 「でしょうね。もしそうだったら話が出来ますものね」 #トラ泊神戸支部

2014-12-21 22:56:47
ですか @desuka_desuyo

「ということは」 「装備妖精……それも重巡艦娘以外が装備できるもののでしょう」 「じゃあ青葉も?」 「はい、全然分かりません」 その事実に二人で肩を落とす。というのも、現状ではこの妖精と話が出来る人がいないということになるからだ。 #トラ泊神戸支部

2014-12-21 23:01:06
ですか @desuka_desuyo

妖精は特定の相手にしか言葉が理解できない。特に装備妖精と呼ばれる主砲や艦載機など装備品を操る妖精は、それらを使うことが出来る艦種の艦娘としか会話できない。むしろ装備妖精と会話出来る装備しか使うことが出来ないと言った方が正しいだろう。 #トラ泊神戸支部

2014-12-21 23:06:22
ですか @desuka_desuyo

なので提督の俺には彼女たちの言葉は理解できない。話が出来るのはドックなどにいる建造妖精ぐらいだ。といっても例外はいるのだが、今目の前にいるこの妖精は、残念ながら一般的な装備妖精であるらしい。 「どうしたものかねぇ」 思わず言葉が漏れる。 #トラ泊神戸支部

2014-12-21 23:09:32
ですか @desuka_desuyo

「とりあえず何の装備妖精か聞いてみるしかないですね。こちらの言葉はうっすらとですが理解しているようですし」 「そうだな。妖精さん、君は何を操っているんだい?」 青葉の案に乗っかり、妖精に尋ねてみる。妖精は二、三度首を傾げてから、両手を前に突き出した。

2014-12-21 23:14:14
ですか @desuka_desuyo

そして彼女はその両腕で何かを回すような動きをした。 「これは……何かを操縦しているみたいですね」 「ということは艦載機だろうか」 「かもしれませんね」 「ということは空母の誰かの装備かな」 「でしょうね。空母寮に行ってみますか?」 「そうだな」 #トラ泊神戸支部

2014-12-21 23:19:22
ですか @desuka_desuyo

空母寮へと二人で歩いて向かう。手に乗せた妖精を眺めていた青葉が呟いた。 「それにしても、こんな恰好させるなんて、誰なんですかね?」 「誰だろうな。ただ、そこまで好き勝手出来るということは、持ち主専用みたい物なのだろう」 俺の言葉に青葉も頷く。 #トラ泊神戸支部

2014-12-21 23:23:12
ですか @desuka_desuyo

この泊地ではあまり配備されていない装備品は例外として、各々の専用として装備が配備されている。それにより倉庫は限界ギリギリで、手入れも大変であるが、その分艦娘と妖精との親密度は高いと言える。一部の艦娘は自分の装備妖精におしゃれさせたりする程なのだ。 #トラ泊神戸支部

2014-12-21 23:32:13
ですか @desuka_desuyo

「この黒いドレスもこいつの持ち主の仕業かな」 「そうでしょうねぇ。”ゴスロリ”って言うんでしたっけ、こういうの?」 「さぁ、どうなんだろうか」 青葉の言葉に曖昧な返事をする。これさえなければ服装から何となく何の装備か分かったかもしれないのが悔やまれた。 #トラ泊神戸支部

2014-12-21 23:35:44
ですか @desuka_desuyo

「着いたな」 「着きました」 空母寮……正確には艦娘寮の三階部、中央階段から東側の部分へと足を踏み入れる。あとは誰か一人捕まえればすぐに探し人は見つかるだろう。妖精と話が出来る人を見つければいいのだから、虱潰しに探していく必要もないのだ。 #トラ泊神戸支部

2014-12-21 23:44:18
ですか @desuka_desuyo

だが、二人の甘い考えはすぐさま崩れ去ることになるのであった。 #トラ泊神戸支部

2014-12-21 23:46:57
ですか @desuka_desuyo

トラ泊神戸支部~2nd season 次回:迷子妖精編② 何話まで行くかはその時次第です。 #トラ泊神戸支部

2014-12-21 23:48:33