漣が壁に向かって送球練習をしていた。 「こうやって捻りを加えることで、ど真ん中を狙いやすくするんですよ」 投げ方のコツを、動作も交えて説明してくれる漣。草野球でもしたいのか?「いえ、リア充どもの顔面にパイ投げてやろうと思って」 指を鳴らす漣。私も混ぜてくれ。 #加賀さん観察日記
2014-12-13 07:27:12「何言ってるんですか。ご主人様は投げられる方ですよ」 戻ってくる球を素早くすくい上げ、緩急をつけつつ軽やかに壁へ投げつける。 「八人も指輪渡して、加賀さんとかゴーヤと散々チュッチュクチュッチュクしておいて、まさか自分はリア充でないとお思いですか。クソワロ」 #加賀さん観察日記
2014-12-13 07:32:01それっきり漣はこちらに目もくれず、壁とのキャッチボールを黙々と続けた。途中思い出したようにレッチリのBy the wayを口ずさみ、戻ってきた球を投げやりに地面に叩きつける。弾みが弱まっていく様を、漣はじっと眺めていた。 なんというか、すいませんでした。 #加賀さん観察日記
2014-12-13 07:38:49加賀のお腹があったかい。腹を枕にして寝るのが気持ちいい。そうやって寝ていると最近は何故か毛づくろいまでしてくれるので、髪の毛がべちゃべちゃになる。結局朝風呂コース。嫌がらせかおい。 #加賀さん観察日記
2014-12-14 08:55:33朝、風呂場にいくと大体最上か朝雲に会う。最上は昨日寝た相手(大体日向)を遠回しに愚痴ってくるというかノロけてくるし、朝雲は脱衣所で声をかけるとかなり気まずそうに小走りで出て行く。どちらにせよ朝から空気が重い。私が何か悪いことでもしたのか…… #加賀さん観察日記
2014-12-14 08:58:27「朧、クリスマス好きです。いいと思います」 そう言って朧は目を細めた。廊下には真っ赤な蟹の大群が犇き、絨毯が悶えるようにも見える。 クリスマス。 それは同じ名を冠する島にあやかり、越冬のため近海の蟹達を朧の部屋に移動させる行事なのだ。その数、およそ三百万匹。 #加賀さん観察日記
2014-12-15 12:04:51朧は蟹に懐かれる体質を生かし、蟹諜報機関を立ち上げている。仕組みは知らんが、カニのネットワークは侮れない。新種の深海棲艦や限定海域のリーク、特に海域の攻略情報に関してはゴーヤ達潜水艦のタレコミよりも早く、正確なものが多い。やはり海の話は海、と言ったところか。 #加賀さん観察日記
2014-12-15 12:09:20クリスマスはいわば、蟹の慰安期間なのだ。冬は大型の限定海域が開かれるという話も少なく、また蟹達も餌不足と水温の低下で行動が鈍る時期なのだ。なので朧は最愛の部下達を労うために、自室を解放する。 この時期の朧の部屋は、磯臭い。ついでに、本人の足の踏み場もない。 #加賀さん観察日記
2014-12-15 12:11:39朧の部屋に熱湯をぶちまけるとどうなるか?という疑問をお持ちの方もいらっしゃることだろう。 結果から述べると、蟹の大群に追われる。めちゃくちゃこわい。 #加賀さん観察日記
2014-12-15 12:25:06野分くんが泣いてる。陽炎が背をさすってなだめているので、どうしたまたバイブ入ってんのか、と言いそうになったが、「那智さんの手伝いしてたんだけど、ケーキ初めて食べて感極まっちゃったのよ」という陽炎のフォローにより暴露は未然に塞がれた。そうか、お前新造艦だったな。 #加賀さん観察日記
2014-12-15 12:51:06ながもんが蟹に鼻を挟まれたらしく、きゅんきゅん鳴きながら執務室に飛び込んできた。他にも踏んだ、いつの間にか添い寝されてた、などの蟹被害が相次いでいる。朧に何とかしてくれ、と頼んだが口と耳から蟹が這い出ている。ダメだ、蟹に寄生されてる。 #加賀さん観察日記
2014-12-16 07:26:01「漣がいれば多分、テラフォーマーズとか即死だし」 鎮守府に溢れる蟹を漣が素手で回収していく。手には傷一つ貰わず、小豆を笊で掬い上げるような小慣れた動きをみせる。 去年のゴキブリ騒動の時も思ったが、こいつ一体どういう反射神経してるんだ。強い。 #加賀さん観察日記
2014-12-16 14:08:26