書かねえなこれきっと

お @nnnkt5

御幸がプロになって倉持は一般に就職して、連絡なんて取り合うこともなくコンタクトを取らないまま気がつけば5年くらい経っていて、なのに突然電話がきて倉持は嘘だろって一度は見ないふりするんだけど、それでもローテーブルの上で震え続けるそれに居た堪れなくて結局出ることになってさ。

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こっちは5年ぶりだし昔はどんな調子で話してたっけなんて身構えながら受話ボタンを押したのに、しかしその今やMVP選手はこちらのもしもしすらいい終わらぬうちに「あ、倉持？ 明日暇だろ、夜そっち行くから空けといて」などほとんど一方的な約束を取り付けてくる。

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ふざけんな俺にだって都合が。息巻いて食ってかかったところで、しかし「あ、悪い。予定あった？」なんて殊勝に返されてはつられて「あ、いや、べつに、空いてるけど」と素直になるほかなくて。よかった、とこぼされる安堵に、眉尻を下げて笑う遠い記憶の彼が見えた、気がする倉持。

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で、来たら来たであっという間に上がり込んできて人をダメにするソファに沈み込んで訪問3分で寛ぎはじめる御幸。「………………追い返すぞこら」剣呑な視線を遣る倉持に、まあまあ、倉持も座れよ、と相も変わらぬマイペースさでもって自分の隣を指定してくる。

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なにも八畳ある空間ににビーズクッションに肩並べて男ふたりが座る理由はない、あってたまるか。御幸がずれたことでできたわずかばかりのスペースを無視して、向かいの据え置きソファへと腰を下ろす倉持。数秒後に「つれねーなー」ってどっかりその隣に座ってきた御幸のせいで意味は消滅するけれど。

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すこしだけ空間を置いて座っていたけれどすこしの沈黙のあと、あのさ、そっち行っていい？って距離を詰める御幸。やだよなんて言っても聞かない。それっぽい雰囲気になるのがいやで「こんだけ空間余ってんのにおかしくねえか？」と笑い飛ばしてどうにか逃げようとするけど残念、向かう先壁しかない。

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御幸一也は理由もなしに思い立って旧友に会いに来るような人間じゃない。なにか抱えてんだろうと予測はつくものの核心には触れない。ただ「ごめんちょっと、自分でもなんか頭んなか全然片付かねーの。うまくはなせねーんだけど、どうしていいかわかんなくなって」と零す御幸にあっそと答えるしかなくて

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「ごめん。今日だけ流されてくんねーかな」って御幸をどうしたものかと。そこまでになった経緯もなんも言わないでただ倉持に情けを求めるクソ野郎御幸だ。何があったにしても、なんで俺なんだよって、なんで今更。ごく当然の問いに「倉持しか思い浮かばなくて」なんて返すから可笑しくて仕方がない。

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ね、って指を絡めてくる御幸に、ちょっとまてよ、と。だめだろ、って。だって知っている、知らないわけはない、こいつはつい先日ベタに某局の女子アナと熱愛かっこわらいが報じられたばかりだから。なにが倉持しか、だ。

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そりゃ昔は若気の至りでこすり合いなんかもしたけれど、でもあの頃の俺らには俺らしかいなかっただけで、でも今は違うだろって。言っても、うんうんわかったわかった、でもいまそういうんじゃないからってことに及ぼうとしてくる。

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別れたんだろうか、だから傷心でここに来たんだろうか。だとしたらとんだ茶番だ。そんなのはごめんだと振り払おうとしても、おねがい、と寄越される視線があまりにも必死で、そこに孕んだ切なさと、単純な劣情と熱にふざけんなの一言すら喉奥に引っ込んでしまう倉持は根本的根源的にダメンズほいほい。

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入れるのははじめてだからゆっくり慣らすからって始まって、指二本くらいはなんとかはいるようになって、入れてみていい？って、触ってもないのに御幸のはわりといけそうなほど完勃ちで、「ひさびさに触ってみる？」なんて聞かれて結構ですって答えたのにいやいや折角だからさって手を誘われて、

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握らせられて、ちゃんとあつくてかたくて、うわこいつ俺にいろいろやらかしながら興奮してんだ、ちゃんと興奮してるんだって思ったらなんだかほっとして。

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なんで俺がほっとしなきゃなんねーんだよと払拭するように、やんならさっさとしろよって憎まれ口叩いて、御幸がわらいながらゴムつけているその数十秒がやけにながく感じる倉持。だからヘマすんなよ、ビョーキとか移されたくねえしって軽口なんかはいて照れ隠しして。

お @nnnkt5

病気なんて持ってません〜…はい、おっけー。んじゃ、入れるからって足の間にのしかかられて、先端充てがわれて、ぐっと押されるとギっと詰まる息。ぐりぐりとまわされて弄られて、けれどどうやら進捗は芳しくないようで。

お @nnnkt5

入ろうとする御幸のそれは、倉持の奥に分け入ろうとするもお互いの体液でぬるりとすべってなかなか入って行かない。できるだけ力を抜こうとする倉持もいざ押し込まれると全身で身構えてしまって、そしてそれは理性ではどうにもできない防衛現象で。

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前を扱いたり一度自身を離して指で慣らされてを繰り返しても、どうしても御幸を受け入れることができない。自分の上であれやこれや愛撫の手を施す御幸からぽたりと汗が胸に落ちてきて我知らず「ごめ、わりい、おれ、めんどくて、」と零す倉持に、力なく笑って「ちげえよ、俺がへたなの」って返す御幸。

お @nnnkt5

ごめんなって額にキスをおとして、おもむろにゴムを外して、ごめん倉持、今日はここまでにしていい？って。倉持がこくりと頷いたのを確認した御幸は、変な思いさせてごめんな、ちょっとそのまま寝ててってお互いのを一緒に握って腰を動かしてこれならちゃんと気持ちいいだろって。

お @nnnkt5

お互いに吐き出して脱力した倉持を抱きしめて、責任もって次はちゃんと最後までやるからって囁く御幸に、責任ってなんだよ女じゃあるまいしもういらねえよって笑えてくる倉持。だいたいなんだよ責任って、お前これから嫁とか子供とかに責任持っていくことになんだろって。

お @nnnkt5

「は？ なに、倉持お嫁さんになってくれるの？」「ふざけんなよ、大々的に熱愛報道されやがって」ここにきて話題にして、ああ、あれ別れた。なんて言われたらいっそ代替品として割り切れたのに、一瞬目を見開いた御幸の盛大な大笑いに倉持は面食らうしかない。

お @nnnkt5

「なぁに言っちゃってんの。向こうの事務所もうちの球団も、ソノヨウナ事実ハ把握シテオリマセンって言ったろ」「へ、把握してねーだけじゃねーの？」「素直か！」ってことでハッピーホモネス♡ハッピーハッピー♡かと思うじゃん。

お @nnnkt5

とにかく急に悪かったな、また連絡する。今度はちゃんと。って御幸が帰るのを玄関まで見送って、出て行く間際に「バイバイのちゅーは？」って調子にのって腰を引き寄せてくる御幸にふざけんなってギギギ引き離そうとする倉持だけどしない限り帰らねーなって観念してチュって一瞬だけしてあげるけど、

お @nnnkt5

後日御幸の父ちゃんの訃報が報道されるわけだ。は〜〜〜〜〜〜〜〜なんでいわねーかな〜〜〜っていうところで以前のわたしは力尽きたようです。