第345爆撃航空群が撮影した丁型海防艦について

媒体毎に説明文の艦番号が変わる写真の丁型海防艦についての考証
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Job @Tryunicht

fold3.com/document/29019… 上記アドレスの写真の丁型海防艦(以後A1と称する)は光人社の書籍では第134号、大和ミュージアムのデータベースでは第84号など、媒体によって説明文の艦番号が異なります。

2015-01-26 09:19:11
Job @Tryunicht

では実際は何号なのか、まず第84号の可能性は低いと言えます。昭和20年3月29日、米陸軍航空隊が来襲する11時より前、早朝7時10分に潜水艦USSハンマーヘッドに雷撃され沈んでいるからです。

2015-01-26 09:19:41
Job @Tryunicht

主砲防盾もA1が前部に前期型防盾を装備しているのに対して、丁型の遅くとも昭和19年10月下旬以降に進水した艦は前後に後期型防盾を装備しており、11月中旬進水の第84号も後期型防盾を装備したと考えられるためA1とは別な艦だと言えます。 pic.twitter.com/G2RGz6JjHS

2015-01-26 09:21:00
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Job @Tryunicht

次に第134号とも異なると言えます。 fold3.com/document/29018… 上記アドレスの写真の丁型(以後A2と称する)はA1と比べると艦橋から後部マストに至るケーブル、後部マストから揚爆雷機に至る両舷側に張られた板、

2015-01-26 09:21:47
Job @Tryunicht

180度後方を向けられる電磁ラッパ延長前の22号電探など複数の特徴が一致する事からA1=A2だと判断できます。 この写真を撮影したのは昭和20年3月29日のインドシナ沿岸で、艦上の惨状、航行不能の状態からして、この日に消息を絶った第18号か第130号だと分かります。

2015-01-26 09:22:41
Job @Tryunicht

艦の特徴からも第134号との違いが分かります。 fold3.com/document/29018… 上記アドレスの写真の丁型(以後Bと称する)は昭和20年4月6日にスワトウ沖で撮影した第134号とされる艦で、A1とA2では一致する特徴が見られない他、

2015-01-26 09:23:20
Job @Tryunicht

前部マストにA2にはない支柱があるなど別の艦である事が分かります。 pic.twitter.com/KzJoolZaau

2015-01-26 09:23:57
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Job @Tryunicht

ではA1は第18号なのか第130号なのか、学研の「真実の艦艇史2」にて艦艇研究家の田村俊夫氏はA1、A2等の写真を第18号、そして

2015-01-26 09:24:49
Job @Tryunicht

fold3.com/document/29019… 上記アドレスの写真の丁型(これも昭和20年3月29日のインドシナ沿岸で撃沈した艦を撮影したもので、以後Cと称する)を第130号としています。

2015-01-26 09:25:27
Job @Tryunicht

先に結論を言うと私の判断は田村氏と一致します。ただ田村氏の 「A1の前部主砲の防盾の形状と、(初期の艦ほど就役時の写真の探照灯と後部マストの間の距離が長いので)A1に比べてCの方が探照灯の位置が後部マストに近い事から識別できる」

2015-01-26 09:26:16
Job @Tryunicht

という判断の根拠については疑問があり、その理由を解説した上で別な根拠を示したいと思います。 まず前部主砲の防盾についてはA1もCも前期型のため、少なくとも一目で分かる相違点とは言えません。

2015-01-26 09:27:04
Job @Tryunicht

探照灯と後部マストの間の距離については、探照灯の位置は初期就役艦から末期就役艦まで変わっておらず、初期に後部マストがあった位置に25mm単装機銃を設置するため後部マストが前方に移設された結果、探照灯と後部マストの距離が縮まったのです。

2015-01-26 09:27:44
Job @Tryunicht

補足すると光人社ハンディ版艦艇写真集21の「図で見る海防艦変遷史」で丁型は13号電探装備時に探照灯を移設したとありますが、写真を比較すると説明と図が誤りだと分かります。

2015-01-26 09:28:29
Job @Tryunicht

つまり既に機銃増備済のA1とCはどちらが18号であろうとマスト移設後の状態のため建造時期からの艦番号特定には使えないという事になります。 では主砲防盾でも探照灯でもない何を持って判断するのか、それは前部マストの形状と、煙突に「烹炊所煙突」が合流している角度です。

2015-01-26 09:29:23
Job @Tryunicht

Bを紹介した際に指摘したように丁型海防艦は前部マストの形状が2種類ありますが、終戦までに竣工した63隻のうち私が確認できた半数弱の艦の写真を見た限りでは三菱長崎や石川島の建造艦は支柱なし、播磨や川崎泉州の建造艦は支柱ありと、建造した造船所毎に特徴が一致しています。

2015-01-26 09:31:24
Job @Tryunicht

烹炊所煙突も三菱長崎は煙突の中央やや上で合流、先端が突出、他は煙突頂部に近い位置で合流、先端の突出無と、造船所毎に特徴が一致しています。 その上で写真を見ると、支柱はA2なしCあり、煙突の合流点はA1低い、C高いと確認できます。 pic.twitter.com/klclKHkJFV

2015-01-26 09:33:29
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Job @Tryunicht

これらの相違点と、第18号海防艦は三菱長崎製、第130号は播磨製という点から、A1=A2=第18号、C=130号という判断が可能です。130号は川崎泉州製とする書籍もありますが、こちらも支柱ありで煙突合流点が高く判断は変わりません。 以上です。連続ツィート失礼しました。

2015-01-26 09:35:25