なんか適当な鎮守府

備忘用。 お前のメモに書いておけレベル。
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Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

空は延々と曇っている。神はこの地上を見渡すことはできない。終わらない戦争を見下すだけの神など信じてはいないが、そこら中に神がいるのは知っている。 神州日本。神の国。八百万の神々は、しかし人にはそうとは知られない。一部が妖精として眼に見えるだけ。

2015-01-27 20:24:37
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

高天原から来た英霊や、そこらの工場の工員、ただの人。かつてはそうだった神々を、それらが働いているのを、私はただ見ている。 艦娘無き鎮守府の提督。資源もなく、工廠で遊んでいる。出撃でもできれば大本営から資源も食料も得られるのだろうが。

2015-01-27 20:31:20
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

最近は1日0.5食。2日に1食食えれば良い。畑を作ろうにも、知識の一つもない。今更農作業を始めたとして、収穫が得られるまでに私が餓死する。 鎮守府にある食料は限られている。私の命は、もって1月。餓え苦しんで死ぬならば、と、わずかに残った資源で自決用拳銃を作ってもらった。

2015-01-27 20:36:55
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

食料が尽きたら潔く死んでやる。そう言うと、元陸軍だったという妖精さんに「その方がいい」と言われた。 真水さえあればある程度は耐えられるとの知恵を頂き、一日0.3食にして暫く試す。 どうしてこうなったのだろう。私は、腹が減って…………食料を求めてここに来たはずが。

2015-01-27 21:49:27
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

棄てられた鎮守府。残された妖精さん。彼らは私を提督とすることで拠り所を見出し、私は対価の食料に釣られ、この地獄に囚われた。矮小とはいえ神は神。集まればその神通力は私を縛るに容易い。 怠惰な日々。妖精さん達は、少ない資源で艦娘を作れないかと頑張っている。

2015-01-27 22:24:19
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

3日ずつ、躯が衰えてゆく。 低血糖でアドレナリンが放出され、眠れない日々が続く。手足が震え、ゆっくりと銃殺架に歩く私を幻視した。銃殺架も私も、そこにはない。私の手には、九四式拳銃があった。弾は一発だけ。人一人が死ぬには充分な数。

2015-01-27 22:41:09
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

ちょっとだけの希望。艦娘さえできれば、大本営から鎮守府として認められ、物資の支給が受けられる。きっと。 期限は、この食糧が尽きるまで。 空き缶が一個、また一個と増えてゆく。 缶詰が一個、また一個と減ってゆく。 九四式拳銃の銃爪が引けるのを、毎朝確認しながら。

2015-01-27 23:12:13
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

妖精さんが一柱、私の生存を確認しに来る。 最近は毎朝。握る力もなく、取り落とした九四式拳銃を拾って私に握らせるのは、まるで死神だ。

2015-01-27 23:17:10
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

奇跡は起きない。 餓えからくる幻覚。草木もない鎮守府から遠出はできず、もはや動けず。 妖精さんが何もない執務室に入ってくる。執務室という札だけで、部屋には机どころか筆一つ無かった。私が鎮守府中を探しまわって見つけた薄い布団と、妖精さんが作った木箱があるだけ。

2015-01-28 00:55:23
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

今は寝たきりの私が無様に臥せている。 食料が尽きる前にするべきであった。箱の上の九四式拳銃に手を伸ばすことさえできない。動けなければ、たとえ生きていようと死人と変わらない。食糧を食うことさえできなくなる前に。 いや、銃を作って貰った時に死んでおくべきだった。

2015-01-28 00:58:42
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

そうできなかったのは、頭の何処かに「死にたくない」という下らない生存欲求があったからだ。 もしかしたら、艦娘ができて補給がくるかもしれない。それまでは、生きていたい。 下らない。下らない。 神の御座す場所にて矮小な人間が何を馬鹿なことを。

2015-01-28 01:07:32
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

結局、妖精さんに担がれた。それだけだ。 彼らも、提督の命令なしに艦娘を作れない。 そういうことだ。もしかしたら。もしかしたら。 その茶番で俺は楽に死ねるというわけだ。 「……………………」 声が出ない。全力で声を出すも、私の耳には聞こえていない。

2015-01-28 01:19:24
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

(撃て!殺せ!俺を楽にしてくれr!) 妖精さんは全く此方の意など知らずか、しきりに何かを気にしている。 「アンタが司令官ね。ま、せいぜい頑張りなさい?」

2015-01-28 01:23:00
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

「…………」 私は応じることができない。怒るということは相応に熱量を消耗することで、体力の尽き果てた私はどれだけアドレナリンに晒された頭であろうと怒れはしない。 「ちょ、アンタ生きてる!?え?それを先に言いなさいよ!」 妖精さんは叢雲に何も言わなかったようだ。

2015-01-28 10:57:57
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

理論上は、絶食してから2、3ヶ月。水さえあれば生きていけるはずだと、妖精さんに説明を受けた。では、私は絶食後1週間でこのザマなのは何故だ。腕さえ上がらない。 掠れきった視界で叢雲が何処かへ行くのを見送る。 ……何だこの違和感は。

2015-01-28 11:29:45
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

意識はある。時間の感覚はない。 既に何日経ったのか。叢雲の姿は、あれから見なかった。 逃げたならそれでいい。だが、外はここのように安全な場所ではない。無事を祈ろうとして、やめた。考えるべきではない。考えてはいけない。こうなったら生きるためにできることをする。ただの意地だが。

2015-01-28 11:35:09