シンギュラリティ後の世界

山口優氏による。
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Yu Yamaguchi@新シリーズ3巻10/18発売 @Yu_Yamaguchi_

シンギュラリティ後の世界を小説に描くと、それは必然的に(現在の科学レベルから見れば)科学小説というより、魔法小説のようになる。現実の加速度的なテクノロジーの発展に忠実であればあるほど、未来の科学については、今の我々には想像もつかない、魔法のような、途方もないものを描かざるを得ない

2010-12-09 23:33:08
Yu Yamaguchi@新シリーズ3巻10/18発売 @Yu_Yamaguchi_

が、これは返っておもしろい結果を生むだろう。科学小説でありながら、科学を主題にしないことになるからだ。シンギュラリティ後に最も重要となる命題は、間違いなく宇宙のあり方即ち人のあり方の議論になる。「我々は何者であるべきか」―という問いは現在はナンセンスだが、何者にでもなれる(続く)

2010-12-09 23:35:51
Yu Yamaguchi@新シリーズ3巻10/18発売 @Yu_Yamaguchi_

(承前)ようになれば、重要な意味を持つ。多くの意見が出ることだろう。そして、実際に意見が分かれ「不倶戴天」の間柄となってしまった複数の人類集団は、次々に新しい宇宙を創ってそちらに移住することになるかも知れない。「お前達と一緒の宇宙になんか住みたくない」と言って。

2010-12-09 23:37:21
Yu Yamaguchi@新シリーズ3巻10/18発売 @Yu_Yamaguchi_

後はどんな命題が有り得るか、ということだ。「人類はどうあるべきか」という問いに対して。極端な意見を二つ並べれば充分かもしれない。それぞれの意見はその間のどこかに位置するだろう。一つは、現在の我々にとっては常識的な意見、つまり「このままでよい」だろうし、もう一つは(続く)

2010-12-09 23:38:59
Yu Yamaguchi@新シリーズ3巻10/18発売 @Yu_Yamaguchi_

(承前)極端に発展した何かであるだろう。宇宙そのもの、またはブラックホールそのものが、次世代の、それらの極端な種類の人類が実装されるハードウェアであるかもしれない。「このままでよい」派は、人類の形態を保ちつつ、そうした極端な種類の人類から自分たちの主義主張を護るためだけに(続く)

2010-12-09 23:40:44
Yu Yamaguchi@新シリーズ3巻10/18発売 @Yu_Yamaguchi_

(承前)やはり加速度的な発展を続けざるを得ないだろう。「このままでよい」派は、人間の形をしていながら、我々には想像もつかない科学力を駆使し、宇宙そのものとなった敵と戦い続けることになる――まさに、「魔法使い」としか言いようがない。だが興味深いことにこれは充分に有り得る考察である。

2010-12-09 23:42:22
Yu Yamaguchi@新シリーズ3巻10/18発売 @Yu_Yamaguchi_

まあでも呪文はなしにしよう。そんなものを使う必要はないと思うので。重要な考察は、「このままでよい」派がいかに人間の形質と敵に対抗するための科学のバランスを取るか、ということだな。分散知能の考え方で、魔法使いたちは高度に連携しつつ中心となる知性はない、ということにすべきか。

2010-12-09 23:45:22
Yu Yamaguchi@新シリーズ3巻10/18発売 @Yu_Yamaguchi_

―ちょっと本題とずれてしまった。分散知能の考え方は、「このままでよい」派にとっては必要なものだ。科学が無限の可能性を提供し続ける以上、「このままでよい」と思い続けることは時に非常に難しい。彼等にとっての暗黒面、つまりはブラックホールのような究極の知性体の形状へと「墜ちて」(続く)

2010-12-09 23:51:19
Yu Yamaguchi@新シリーズ3巻10/18発売 @Yu_Yamaguchi_

(承前)しまうことは充分に有り得るので、誰がそうなってしまってもいいように、中心を作らずに集団として彼等の意志を堅持していこうとするだろう。(二重の意味で)特異点と一体化せず事象の地平面の手前で留まることが、このような「魔法使い」たちには求められることになる。ちなみに(続く)

2010-12-09 23:53:10
Yu Yamaguchi@新シリーズ3巻10/18発売 @Yu_Yamaguchi_

(承前)ブラックホールが究極のコンパクト知性だというのは、演算力=知性=エネルギー=質量 だということから必然的に最も質量が稠密になっているブラックホールこそ、究極に稠密な知性体であろう、というシンプルな考えに基づくもので"The Singularity is Near"(続く)

2010-12-09 23:55:13
Yu Yamaguchi@新シリーズ3巻10/18発売 @Yu_Yamaguchi_

(承前)でも指摘されている。近傍の仮想的な対生成粒子の片方を引っ張り込むことによってその片割れを放出させてしまうという蒸発のメカニズムによって絶えず粒子を放出するブラックホールは、情報を入力(吸い込む)だけでなく、出力もできる。

2010-12-09 23:57:17