ア・クルエル・ナイト・ウィズ・レイジング・フォース・フロム・ソー・サイレント・フィアフル・レルム #6

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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【ア・クルエル・ナイト・ウィズ・レイジング・フォース・フロム・ソー・サイレント・フィアフル・レルム】 #6

2015-01-30 22:23:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(あらすじ:ザイバツニンジャ、エンブレイスの肉体の中に封じられたシルバーキー。彼はエンブレイスの記憶に導かれ、キョート城内に生成された神秘の物体「ジュエル」を発見した。だがそれはキョート城において反ダークニンジャ派の残党を率いる謎のニンジャ、メイルシュトロムにとって好都合だった)

2015-01-30 22:28:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(ジュエルはダークニンジャが城内に秘匿したレリックであり、メイルシュトロムはこれを持ち帰る力を持つ者を求めていた。メイルシュトロムによってかりそめの力を与えられたシルバーキーはミラーシェードを打倒するが、それはメイルシュトロムの精神支配を受け入れる事でもあった)

2015-01-30 22:31:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(抗うシルバーキーを否応なしに操作するメイルシュトロム。水晶ショウジ戸の中からジュエルを取り出させ、運び出させる。その先には凶運が横たわるばかりか!?……否!秘密通路の外へまろび出たシルバーキーを待ち受けていたのは、探し求めたドラゴン・ニンジャ、すなわちユカノその人であったのだ)

2015-01-30 22:34:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「フぅーム……」メイルシュトロムは妖しく光る眼を不快げに細めた。ナヤミは主君を見やった。「如何に?」「ドらゴン・ニんジャだ」「現れたか」ナヤミは呻いた。ジュエルと、ドラゴン・ニンジャ。不穏な暗合である。メイルシュトロムが見返す。ナヤミは頷き、ニンジャ達に号令した。「デアエ!」1

2015-01-30 22:43:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

待機を続けていた顔なきゲニン達はナヤミの号令を受け、ジワジワと染み出すような歩みで、広間から流れ出てゆく。ナヤミはゲニン達の不気味なアトモスフィアに慣れることができぬ。(だが……)ナヤミは目を閉じ、また開く。(私はもはやこの者達と、そしてメイルシュトロム=サンと一蓮托生なのだ)2

2015-01-30 22:52:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ロード・オブ・ザイバツのもと、ギルドのニンジャは秩序を尊び、格差社会の実現に邁進してきた。位階制度。ニンジャに仕える非ニンジャの奴隷たち。しかしダークニンジャのムーホンが……そしてニンジャスレイヤーが全てを覆した。確かに主君は滅びた。これまで積み上げたものを捨てる?なにゆえに?3

2015-01-30 22:59:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

当初、ダークニンジャの勢力はほんの一握りのニンジャに過ぎなかった。下級位階。若造の集団。カラテを信じる愚かな者たちだ。ナヤミ達は彼らムーホン勢力を侮っていた。しかしニーズヘグが復帰し、意外にもパーガトリーすらもが傘下に加わった。緒戦で敗れ、いつしかナヤミ達は追われる側になった。4

2015-01-30 23:06:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(今更、カラテだと?イサオシだと?)ダークニンジャの勢力が口々に吠える大義名分に思いを馳せるたび、ナヤミの全身は憎悪に震え、ひきつる思いだった。(欺瞞!我らギルドのニンジャは、大きな……言葉に言い表せぬ、歴史ある大きな何かと、ともにあった筈。今更乗り換えられようものか!) 5

2015-01-30 23:12:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

かつてありしギルドの権勢を思うと、大穴の淵から虚無を覗き込むような心持ちになる。不可解だった。ナヤミは振り払う。狭間の世界に浮かぶこの城にあって、ナヤミの心が安らった事はない。彼の内なるニンジャソウルは常に、オヒガンの奥から見つめる巨大で異質な存在を感じ、恐れている。 6

2015-01-30 23:18:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナヤミもまた、歩き出した。全力を傾けねばならぬ。メイルシュトロムが問いただすことはない。最善を尽くす事をわかっているからだ。目的を同じくする事からくる信頼関係。ナヤミ達がメイルシュトロムを頼ると同時に、メイルシュトロムもまた、ナヤミ達を必要としている……必要としている筈だ。7

2015-01-30 23:21:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ユカノ=サン……俺だ……!」嗚咽するシルバーキーを、ドモボーイはわけがわからぬままに、軽蔑の目で見下ろした。「エンブレイスってのは……アー……エンブレイス=サンは、ギルドのニンジャだ。俺らの身内だがよ」ドモボーイの説明を、ドラゴン・ニンジャは怪訝に聞いた。 9

2015-01-30 23:26:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「違う……そうだが違う……お前はちょっと黙っててくれよ」シルバーキーには、もはや事情を知らぬであろう者に逐一言って聞かせる余裕はない。「こんなナリだが、俺だ。シルバーキーだ。ユカノ=サン」涙をぬぐい、ドラゴン・ニンジャを見上げた。「本当に良かっ……グワーッ!」両目から流血!10

2015-01-30 23:29:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ドラゴン・ニンジャとドモボーイは反射的にカラテを構えた。シルバーキーは後ずさった。「さガりオレ!ドラゴン・にンジャ!」彼は震えながら言葉を吐き出した。そして走り出す!「イヤーッ!」「グワーッ!」ドモボーイが状況判断し、タックルをかけて引きずり倒した。「どこへ行くんだよ!」11

2015-01-30 23:33:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「離せ!離シてくレ!お、俺は、俺ハ!」シルバーキーは拳に欠陥が浮き出るほどの握力で、神秘の立方体を握りしめている。「イヤーッ!」「グワーッ!」ドモボーイはいきなりシルバーキーを殴りつけた。「やめなさい!」ドラゴン・ニンジャがドモボーイの手首を掴んだ。 12

2015-01-30 23:37:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「どけよ!」ドモボーイが唸った。「只事じゃねえ。きっと奴らのジツに操られるか何か……俺らのイクサの問題だ!」「シルバーキー=サンなのですね」ドラゴン・ニンジャはシルバーキーの両頬に手をあて、充血した目をまっすぐに見つめた。「AAARGH……」「私の目を見て。息を深く吸って」 13

2015-01-30 23:41:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何だよ!」「後で話します」ドラゴン・ニンジャはひと睨みでドモボーイを黙らせると、シルバーキーに集中した。「AAARGH……」「私です。ユカノです。シルバーキー=サン」「……」シルバーキーは膝をついた。ユカノも同様に。二人は互いに向かい合い、正座した。ドモボーイは息をのんだ。14

2015-01-30 23:45:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「息を吸って……吐く。わかりますか。シルバーキー=サン」ユカノは真摯に呼びかけた。シルバーキーはいまだ暴れるそぶりをとりかけては、それを自ら抑える事を繰り返していたが、ユカノが両肩に手を当てながら導くように深く呼吸すると、徐々に鎮まり始めた。「何だってんだよ」とドモボーイ。15

2015-01-30 23:48:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「チャドー」ユカノは呟いた。「私はドラゴン・ニンジャ。ニンジャ六騎士の一人。マスターチャドー也。シルバーキーよ。力を貸そう。この場において汝に我が奥義を伝授することは到底かなわねど」「スゥー……」シルバーキーは深く吸い、吐いた。「ハァーッ」ユカノは彼に手を当て、呼吸を導く。16

2015-01-30 23:53:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何ッだよ!」ドモボーイは頭を掻き毟り地団太を踏んだ。「何やってンだ!畜生、奴らが来ちまうぞ!」「スゥーッ……ハァーッ!」「クソッ!」ドモボーイは彼らの突然のメディテーション没入を力づくで妨げる行動をとれなかった。名状しがたいセイシンテキが、彼に畏怖の感情を喚起していた……!17

2015-01-30 23:58:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

然り、彼はドラゴン・ニンジャのチャドー呼吸を今まさに目の当たりにしているのだ!彼は瞬きも忘れ、その営みに見入った。だがそう長くは許されなかった。彼はもと来た道を振り返り、カラテを構え直さねばならなかった。「言わんこっちゃねェぞ」闇の中から走り出たのは、ペイルシャーク! 18

2015-01-31 00:07:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「どれだけ逃げようと……メイルシュトロム=サンの膝元を堂々巡りする貴様らは所詮マジックモンキー」ペイルシャークはじりじりと間合いを詰める。「最終的に悪あがきは無に帰するさだめ」「減ったよなァ!」ドモボーイは彼らを包囲するゲニンを睨み渡した。「もう多勢に無勢とは言えねえな!」 19

2015-01-31 00:14:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「その自信はどこから来る?」ペイルシャークは嘲った。「スパルトイとディミヌエンドは既に我らが手に落ちた」「何だと」ドモボーイが眉根を寄せた。「来てやがるのか?いや……どうでもいいぜ。下級ニンジャだ、どっちもよ。痛くもかゆくもねえんだよ」「口の減らぬ奴」逆方向からさらに一人。20

2015-01-31 00:20:57