「コンスピーラシィ・アポン・ザ・ブロークン・ブレイド」 #3
オブリヴィオンが叫びとともにニンジャ気合いを込めれば、ジツが発動、対象はカツオブシ・ダストのようにカサカサの塵芥へ分解するのだ!「イ…イ……」ゴボゴボと血泡を吹きながら、オブリヴィオンが両手に力を込めようとする。
2010-11-20 17:49:54オブリヴィオンは失われつつある命をいまいちど振り起こそうとした。最後に、最後にこのダークニンジャ=サンだけは。ダークニンジャ=サンだけは道連れに。
2010-11-20 18:18:38シックスゲイツに属さない、ラオモト=サン直属のエージェント……出自不明……あの怪しいカタナ「ベッピン」もそうだ。あれはソウカイヤで手配したものではない。
2010-11-20 18:20:37自らの事はほとんど語らず、一方でソウカイヤのニンジャの事は不気味なほどに把握しきっている……不気味なほどに有能……ネコソギ・ファンド副社長の社葬の時も不在……こいつには、表に現れる「私」が無さすぎる。こいつ自身の目的が必ず存在する。
2010-11-20 18:26:07その目的が、必ずソウカイ・シンジケートへの災いとなって……ゴンベモンもそれを危惧すればこそ……ゴンベモン、しかしそもそも、あいつは誰だ?少なくとも「シックスゲイツの六人」の一人でなければ、ダークニンジャの所在情報など……
2010-11-20 18:28:42ニンジャスレイヤーのせいで「シックスゲイツの六人」は入れ替わりが早すぎる……誰だ……いや、とにかくダークニンジャを……今はダークニンジャ……こいつが災いを……災い……?根拠は何だ?
2010-11-20 18:30:57致命傷を受けたオブリヴィオンの思考は混濁する。根拠は……とにかくダークニンジャを殺せ……ダークニンジャを道づれに!「イヤーッ!」
2010-11-20 18:34:12「イヤーッ!」オブリヴィオンはダークニンジャの頭を掴んだ左手に力を込めようとする。力がこもらない?
2010-11-20 18:37:05「グ、グワ……?」オブリヴィオンは己の左腕の肘骨が、腕を突き破って飛び出している事に気づいた。今か?ダークニンジャが裏拳でオブリヴィオンの左腕を破壊したのか?
2010-11-20 18:41:57左手がダークニンジャの顔から外れ、垂れ下がった。ナムサン!では肩を掴む右手に力を!「イヤーッ!」「イヤーッ!」力がこもらない!
2010-11-20 18:43:53オブリヴィオンの右手がダークニンジャの肩を離れ、だらりと垂れ下がった。今や右腕の肘骨も左腕同様に、腕を突き破って飛び出している。裏拳でオブリヴィオンの左腕を破壊したのち、ダークニンジャはその手で右腕をパンチし、同様に破壊したのだ。
2010-11-20 18:47:14「グワ……」もはやオブリヴィオンの目はなかば暗闇であった。自由になったダークニンジャがオブリヴィオンの額を指で押した。もはや抗う力など無く、そのわずかな力によってオブリヴィオンは仰向けに倒れ、死んだ。
2010-11-20 18:51:50「アカチャン。ソダッテ。アカチャン。」電子広告音声が水面を波立たせる。ホロヨイ・サラリマンが運河へ嘔吐する横を、ダークニンジャは無造作に通り過ぎる。
2010-11-20 19:02:26彼がゆく路地の空は淫靡なネオン看板が醜く切り取っている。「マイコ」「今日は二倍量。」「高くはないし、色気」「ヨイデワ・ナイカ・パッション重点」。月は無い。重金属酸性雨こそ降らないが、夜空を覆う雲は厚い。
2010-11-20 19:05:01淫靡なマイコセンターの建ち並ぶ中を歩み進んだダークニンジャは、やや広く開けた運河に出た。飛び来たったバイオ鴨の群れがジャブジャブと音を立てて着水する。道に横付けして停止する屋形船のひとつを彼は迷いなく選び取り、音もなく跳び乗ると、ショウジ戸を引き開けた。
2010-11-20 19:18:02「ドーモ。はじめましてダークニンジャです」茶の間の奥で正座するニンジャへ、ダークニンジャはアイサツした。「……しくじったか」正座ニンジャはシツレイにもアイサツを返さず、毒づいた。
2010-11-20 19:26:12「チャでもいかがですか」正座ニンジャはチャブダイの上のキュウスと、アサガオ柄の電気保温ポットを指差した。「オハギもあるしヤツハシもあります」
2010-11-20 19:28:57「……お前は誰だ」ダークニンジャは戸口で立ったまま問いかけた。正座ニンジャははぐらかした。「こうも容易に私を見つけられてしまうとは、お手上げです。拷問に折れるとは、あの方々もなんとも情けない限りだ」
2010-11-20 19:34:39「オブリヴィオン=サンとナインフィンガー=サンは戦って死んでいった。二人の足跡のニンジャソウルの痕跡をトレスしただけのこと」ダークニンジャは無感情に答えた。正座ニンジャが笑う。「ホホホ……さすがはダークニンジャ=サン、一筋縄では行かないことだ……」
2010-11-20 19:37:59正座ニンジャは哄笑した。「ホホホ!ホホホ!」その笑いがどんどん大げさになり、肩を震わせ、やがて不自然なほどの痙攣となった。ダークニンジャは目を細め、一瞬の判断でショウジ戸を突き破って船外へ跳び出す。正座ニンジャが電子音めいてディストーションのかかった声で叫んだ。「サヨナラ!」
2010-11-20 19:45:29