島田雅彦『カオスの娘』がフランスの文学賞、マスタートン賞の最終候補に!(その他の最終候補作の内容紹介付き)
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島田雅彦『カオスの娘』仏訳版がマスタートン賞の最終候補6作に選ばれた。ホラーやダークファンタジー、サイコサスペンス、SFなどを対象とするフランスの文学賞。昨年の受賞作はチャイナ・ミエヴィル『クラーケン』。受賞作の発表は3月。 masterton.noosfere.org/index.php?rub=…
2015-02-05 06:30:39サイコサスペンス小説などを対象とするフランスのマスタートン賞(翻訳長編部門)、島田雅彦『カオスの娘』のほかにジョー・ヒル『NOS4A2 -ノスフェラトゥ-』も最終候補に選ばれている。ほかの4作は未邦訳。 masterton.noosfere.org/index.php?rub=…
2015-02-05 06:33:07マスタートン賞では3か月に1度、その時期の出版作の中から優秀作を選出・発表している。島田雅彦『カオスの娘』仏訳版(2014年3月刊)amazon.fr/dp/2919186434 は第1四半期の優秀作として挙げられていた。ちなみに、優秀作として挙げられた翻訳作品は1年で17作品。
2015-02-05 06:39:09去年の翻訳長編部門は受賞作のチャイナ・ミエヴィル『クラーケン』以外には、ローレン・ビュークス『シャイニング・ガール』、リチャード・キャドリー『サンドマン・スリムと天使の街』などが最終候補になっていた(ほかの2作は未邦訳)。
2015-02-05 06:42:12マスタートン賞(翻訳長編部門)の過去の受賞作は、ギレルモ・デル・トロ&チャック・ホーガン『ザ・ストレイン』、ケッチャム『オフシーズン』、クライヴ・バーカー『冷たい心の谷』、クーンツ『汚辱のゲーム』、ポピー・Z・ブライト『絢爛たる屍』、伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』など。
2015-02-05 06:42:47マスタートン賞とは?
マスタートン賞(Prix Masterton)は2000年創設のフランスの小説賞。マスタートンはイギリスの作家グレアム・マスタートンのこと。この作家はホラーを中心にミステリやSF、ファンタジーなども発表している作家で、この賞もやはりホラーなどを中心とするジャンル小説を対象とする。
2013-11-16 12:11:06マスタートン賞には「フランス語長編部門」、「翻訳長編部門」、「フランス語短編または短編集部門」の3つの部門がある。対象は前年に刊行・発表された小説で、フランスの作家や評論家からなる審査委員により毎年3月頃に受賞作が選出・発表される。
2013-11-16 12:12:32- ↑ 3つ目の部門を「フランス語短編または短編集部門」としているのは誤りで、正確には「短編または短編集部門」のようです。翻訳作品も対象になります。
2015年のマスタートン賞 翻訳長編部門 最終候補6作
- 【日】島田雅彦『カオスの娘』(仏題 La fille du chaos、仏訳:Miyako Slocombe 都・スロコンブ)
- 【米】ジョー・ヒル『NOS4A2 -ノスフェラトゥ-』(仏題 NOSFERA2)
- 【米】ケイトリン・R・キアナン『The drowning girl』(仏題 La fille qui se noie)
- 【米】Peter Clines 『14』(仏題 同じ)
- 【米】Chuck Wendig 『Blackbirds』(仏題 Blackbird)
- 【英】Seth Patrick 『Reviver』(仏題 Treize)
『カオスの娘』は旧題『カオスの娘 シャーマン探偵ナルコ』。2007年刊行。刊行時のインタビュー → 「島田雅彦さん、ミステリー作品で新境地」(2007年6月28日、asahi.com BOOK)。続編として『英雄はそこにいる』(2012)がある。
最終候補作(3):ケイトリン・R・キアナン『The Drowning Girl』(溺れる少女)
2012年の作品。ブラム・ストーカー賞(最優秀長編部門)およびジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞の受賞作。
- 精神疾患に苦しむ少女インディーは、その原因を探るために自叙伝を書き始める。もっとも彼女は現実と幻想が区別できないので、この信頼できない語り手による自叙伝はマジック・リアリズム的、ダーク・ファンタジー的なものになっていく。そして彼女は自分の疾患の原因としてある女性が関わっているのではないかということに気付く――。
※この作家は『ベオウルフ : 呪われし勇者』が2007年に小学館文庫で出ている。これはニール・ゲイマンらが脚本を手掛けた同題の映画のノベライズ本。
最終候補作(4):Peter Clines 『14』
2012年の作品。
- ネイトはあるアパートに引っ越したが、彼の部屋にはどうも妙なところがあった。でも、そんなのは気にならない。仕事に不満があり、金もなく恋人もおらず将来に希望が持てない彼にとっては、家賃が安くて管理人が親しみやすければそれで十分だった。しかし彼は、このアパートのほかの住人たちの部屋にもそれぞれ奇妙な点があるということを知る。南京錠で閉ざされた扉。奇妙な照明器具。突然変異した異様な虫。このアパートには何らかの謎があるようだ。しかも、その謎の起源は100年以上をさかのぼる――。すべての謎が一つになること、それはネイトやほかの住人たちの終わりを意味する。――あるいは、すべての終わりを。
最終候補作(5):Chuck Wendig 『Blackbirds』
2012年の作品。
- ミリアム・ブラックは人の死を予知できる女性。どうしてもその死は避けられないものなので、彼女はすでにその能力を使って人を助けようとすることを諦めていた。しかし、ミリアムはヒッチハイクで乗せてくれたトラック運転手・ルイスが30日以内に惨殺されるということを知ってしまう……しかも、ミリアムの名を呼びながら。ルイスはミリアムと出会ったことが原因で殺される。そしてその次の犠牲者になるのは自分だ。どうやっても、彼の死が防げないのは分かっている……でも、自分の命を守るために、何としてでもルイスの死を防がなければ……。
最終候補作(6):Seth Patrick 『Reviver』
2013年の作品。クリストファー・ノーラン監督による映画化も決まっているとか。
- リヴァイヴァー。それは、死んだばかりの人間を蘇らせる力を持つ能力者のこと。リヴァイヴァーは死者を蘇らせて、自分の死の原因を証言させることができる。リヴァイヴァーという存在が初めて明らかになってから12年、「死者」による証言が法廷でも証拠能力を持つものとして正式に採用されることとなり、リヴァイヴァーによる死者の蘇生は警察の捜査の一環として組み込まれることとなった。
- 米国の優秀なリヴァイヴァーであるジョナ・ミラー。惨殺された被害者を蘇生させようとしたとき、彼はなにか恐ろしい気配を感じる。何かが、自分を見ている。上司たちは気のせいだ、ストレスのせいだというが、ジョナはどうも腑に落ちない。
- そんなとき、リヴァイヴァーの存在を世界で初めて報道したジャーナリスト、ダニエル・ハーカーが殺害され、その真相究明にジョナも否応なしに巻き込まれることとなる。ダニエル・ハーカーの娘、アナベルと行動をともにしながら真相を探るジョナ。するとジョナは、彼が信じていたすべてのことに疑問を抱かざるを得ないようなある「真実」に直面する。すでに、すべての人類を破滅させかねない危機がすぐそこまで迫っていた――。
2015年3月10日、受賞作発表
島田雅彦『カオスの娘』、フランスの文学賞、マスタートン賞の最終候補6作に選ばれていましたが、残念ながら受賞ならず。受賞作(3月10日発表)はジョー・ヒル『NOS4A2 -ノスフェラトゥ-』 masterton.noosfere.org/index.php?rub=… togetter.com/li/778715
2015-03-11 00:35:35マスタートン賞 翻訳長編部門 過去の受賞作一覧
- 2000年 米国 ポピー・Z・ブライト『絢爛たる屍』
- 2001年 英国 クライヴ・バーカー Galilee(仏題 Galilée)
- 2002年 米国 ディーン・クーンツ『汚辱のゲーム』
- 2003年 イタリア ヴァレリオ・エヴァンジェリスティ Picatrix. La scala per l'inferno(仏題 Picatrix, l'échelle pour l'enfer)
- 2004年 イタリア ヴァレリオ・エヴァンジェリスティ Black Flag(仏題同じ)
- 2005年 英国 クライヴ・バーカー『冷たい心の谷』
- 2006年 英国 グレアム・ジョイス The Facts of Life(仏題 Lignes de vie)
- 2007年 スペイン フアン・ミゲル・アギレラ El sueño de la razón(仏題 Le sommeil de la raison)
- 2008年 米国 クレイグ・スペクター Underground(仏題同じ)
- 2009年 米国 ジャック・ケッチャム『オフシーズン』
- 2010年 ギレルモ・デル・トロ(メキシコ)&チャック・ホーガン(米国)『ザ・ストレイン』
- 2011年 米国 ゲイリー・A・ブラウンベック Prodigal blues(仏題 Mais c'est à toi que je pense)
- 2012年 日本 伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』
- 2013年 英国 ミシェル・ペイヴァー Dark Matter(仏題 40 jours de nuit)
- 2014年 英国 チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』
※なお、「フランス語長編部門」の受賞作で邦訳されているものはない。
翻訳長編部門、2003年の受賞作はイタリアの作家ヴァレリオ・エヴァンジェリスティの《異端審問官ニコラス・エイメリッヒ》シリーズ第6作。第1作のレビュー(日本語)はシーライトパブリッシング( @clight_pub )のサイトで読める。 c-light.co.jp/modules/column…
2013-11-16 13:07:04