Barl先生による「被告人質問先行型」裁判員裁判に対する反対意見書

です。
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高島章 @BarlKarth

「被告人質問先行型」というばかげた制度運用に関する反対意見書を起案中。相弁護人も同調の予定。

2015-02-23 15:04:32
高島章 @BarlKarth

意見の理由 1 はじめに  裁判員裁判においては,近時,一部の裁判所において「被告人質問先行型」と称する方法が実施されている。すなわち,公訴事実の立証について自白調書の取調に優先し,弁護人が被告人質問を行う方法で,被告人が公訴事実に関する詳細な供述をして,

2015-02-23 15:29:44
高島章 @BarlKarth

これによって公訴事実の心証を得るという方法である。  このような方法は,裁判員裁判において強調される「審理の活性化」「書面中心主義の克服」を実現するため,最高裁当局も推奨しているようにも仄聞している。  弁護人は,このような「被告人質問先行型」には,以下の理由から反対である。

2015-02-23 15:30:25
高島章 @BarlKarth

2 刑事訴訟の基本構造 公訴事実の立証責任(ここにいう責任とは,「真偽不明の際の不利益」のみならず,立証活動を追行する責任も意味する)は,言うまでもなく検察官にある。「被告人質問先行型」は,事実を争うことが職責である弁護人の訴訟追行により,黙秘権を有する被告人を証拠方法と

2015-02-23 15:30:45
高島章 @BarlKarth

して公訴事実を立証するものと言うべきであり,刑事訴訟の基本構造から見て相当でない。 3 被告人の負担 公開の法廷において,多数の裁判官・裁判員を前にして,公訴事実(被告人にとっては語りたくない「悪事」)を,自らの口で詳細に供述することは,被告人に無用の苦痛を強いるもの

2015-02-23 15:31:03
高島章 @BarlKarth

であり,問題が多い。公訴事実の詳細は,同意書面である自白調書に詳細な記載があるのだから,甲号証の取調の後,検察官がこれを朗読することによって立証するのが自白事件の審理のあり方として相当であり,裁判員裁判だからといって,被告人質問を先行させるべき合理的理由はない。

2015-02-23 15:31:20
高島章 @BarlKarth

4 被告人の負担 裁判員制度に関する評価は人により様々であるが,種々の問題点・弊害が指摘されているのも事実であり,「被告人質問先行型」という方式についても,以上に述べたように問題点を指摘できる。刑事裁判は,被告人の人権保障を重視して運用されるべきであって,このことは

2015-02-23 15:31:38
高島章 @BarlKarth

裁判員裁判においても同様であり,審理の活性化等を強調して裁判員(へのサービス)を優先させることがあってはならない。 5 以上の次第で,冒頭に記したとおり,本件については,日裁判員における裁判と同様の方法を実施されるよう要望する。

2015-02-23 15:31:48
てらやさん☆ @terayasan

刑事の裁判所がお迎えすべきお客さんは,審理を受けに来る被告人ですよね。決して,裁判所を構成する裁判員ではない。

2015-02-23 15:46:36
弁護士 市川 寛 @imarockcaster42

@terayasan 裁判所は、一つには裁判員とその後ろにいる市民または「民意」に気を遣いすぎているか怯えているのか、二つには、結局のところ被告人を証拠方法としか見ていないから、こういう扱いを平気でするのではないですかね。

2015-02-23 15:52:15
弁護士 市川 寛 @imarockcaster42

裁判員も市民だが、被告人もれっきとした市民である。

2015-02-23 15:53:15
てらやさん☆ @terayasan

職業裁判官が行う刑事裁判においては当然に保障される被告人の諸利益が,裁判員裁判だと保障されない,というのはおかしいですよね。裁判所を構成するのが裁判官なのか裁判官と裁判員なのかという違いがあるだけで,被告人にとってはどちらも同じ利益状況なわけですから。

2015-02-23 16:03:04
弁護士 市川 寛 @imarockcaster42

「迅速な裁判」は、裁判所のスケジュール遂行のための理念ではなく(果たして裁判員裁判で裁判所がやたらとスケジュールに固執するのがこれに依拠するのかわからないが)、被告人を早く刑事手続から解放するための理念であろう。憲法には被告人の権利として定められているのだから、なおさらである。

2015-02-23 16:07:21
てらやさん☆ @terayasan

もちろん,一般市民の裁判員に対して裁判所が様々な配慮すべきなのは当然。ただし,その配慮は,裁判員に公正かつ適正な刑事裁判を行ってもらうためになすべき行為にすぎない。裁判員の利益と被告人の利益とは比較衡量の関係に立たないのであり,配慮で被告人の利益を蔑ろにすることは許されない。

2015-02-23 16:13:02