米戸宅の天使組のおはなし

ありふれたうやむやに還ろう @azure590

我が家における天使とは、『休息場』を作ったかみさまが世界を管理するためにつくったもの。材料は元人間の傷付いた魂。傷付いた魂というのは生きる上で本来行くべきだった道を外れてしまったものを指しており、道から外れれば外れるほどに魂は傷付いて最後には世界そのものの修正力により死にます。

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修正力のせいで死んだ魂をピックアップして改造したのが天使。元のまま天使として使うと不都合なので改造するんです。その改造というのが、前回生きた人間としての特徴となるものを奪うことなんですね。奪われたものは三人とも異なり、同じ天使という括りでも回路は結構違う。

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具体的にあげると、クラウスは怒りの感情、キーロは感情の起伏、サルヴァトーレは感性を持ってかれた。サルヴァトーレは代わりにかみさまがこしらえた作り物の感性をもらってる。クラウスとキーロは欠けたまんま作動中。

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最初の天使のクラウスはプロトタイプみたいなもので作りが粗雑。感情の一部を取っちゃったから、ピースが欠けたまま壁に掛けてあるジグソーパズルがそうなるように他の感情も抜け落ちてる。おまけに視力の方も低下してて眼鏡がないと動けないくらい近眼。それらの失敗を生かして作られたのがキーロ。

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キーロは感情の一部だけじゃなく、玉ねぎの皮をむく容量で全体的にちょっとずつ持ってかれてる。クラウスはあまりにも手を加えなかったからあーなったのであってこの娘は色々改造されてる。髪と目の色、それから背中に翼を。なお服装はキーロの趣味ではなくかみさまの趣味。彼女は名実共にお人形さん。

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サルヴァトーレは、シャーメルを補佐役にこさえられた。彼が失ったのは彼が人間として生きた十何年間かの感性。彼は記憶の中でのものの感じ方と今現在のものの感じ方のギャップが著しくて、時折気が狂いそうになる。自我がぐらつくからこそ、彼は芝居染みた動きをして自分を演出する。

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あ、そうそう、クラウスもたまに発作的な虚無感に襲われます。ぼーっとしてなにも感じなくて、動けなくなる。普段、彼は傷付いた魂のケアや微妙な運命の修正をするなどして様々な世界線を飛び回ってるんですがその際に発作が起こるとだいたいキーロが回収に向かいます。

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天使の基本能力の説明忘れてた！！！食事睡眠排泄全て必要なくて、怪我とかしても治りが異常に早いです。身体能力も人間よりずっと優れてます。そして不老不死。また、異なる世界線を移動する能力があります。ハイスペックだけど生物かどうかは正直怪しい。

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それでそれで、天使組の三人が人間だった頃どんなやつだったか。だいたい今とは正反対だと思えばあってる。一番「その人らしい」ものをとってしまったんだから仕方ない。

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クラウスは本名ニコラス。かっとなりやすいけど正義感の強い兄貴分。格闘技を習ってたわけでもないが喧嘩は人並み以上に強かった。世話焼きの幼馴染の女の子と戯れつつ港町で育った。地元にいた暴力団に喧嘩売っちゃった幼馴染をかばって死んだあとかみさまにサルベージされて天使に。

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キーロは本名嘉納灯。朗らかで人好きのする性格だった。運動部に所属してて、エースとまでは言わないけど活発に動いてた。交通事故に遭いそうになった猫を助けて死んだ。

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サルヴァトーレの本名は本人も知らない。元孤児で、サーカス団でナイフ投げをしていた。陽気でイタズラ好き、舞台ではトリックスター的ポジションにいた。ナイフ投げ見習いの子の面倒も見てたんだけど、その子と練習してる時にナイフが刺さって死んだ。

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ごめんサルヴァトーレはまだちょっと固まってないから(仮)ね

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とりあえず、サーカス団のナイフ投げ！

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で、天使はどっかしらおかしいからだんだん感情がなくなって最後はなにも感じなくなる。話しかけられたら答えるし、記憶もちゃんとある。でも感情は起こらない。プログラミング済みの人工知能のようなもの。体は不老不死だから、『休息場』のどこかで『休息場』そのものがなくなるまで待つことになる。

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クラウスは一番古くて、なおかつ作りも悪いからガタがきてる。怒り、憎しみ、悲しみあたりがもう薄れてて、情動による涙も出ない。嬉しいことはまだわかるから大丈夫だと言ってる。

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キーロはそんなクラウスのことが心配でならない。彼女はクラウスのことが大好き。たった一人の仲間、家族だから。彼女にとってクラウスは無条件で全力で甘えられる人。なんとかして心を保って欲しいし、そのためならなんでもしたい。それともどこか自分の末路を見るようで恐ろしいのかもしれない。

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正直キーロはサルヴァトーレをそこまで思ってないよ！！！！！！！！！！！よくわからんしほんとに天使？って思ってる節もありそう

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クラウスはクラウスでキーロを妹みたいに思ってるし、できれば自分みたいになってほしくはない。でも避けられないこともわかってる。キーロを一人で残すのは嫌だったけどサルヴァトーレが来てくれてよかったなぁと感謝してる。

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サルヴァトーレがぼっちでかわいそうだろ💢💢💢というご意見もあるでしょうが彼はシャーメルのために作られた存在のため彼女以外から必要とされるようには作られてないのです

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あ、一番大事なこと忘れてた。天使の魂は一度壊れたものを修理して使ってるからまた壊れたらもう二度と輪廻の輪には戻れません。最後なんていつまで訪れなくて、『休息場』の果てでほうけてることしかできない。

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天使組はかみさまのおもちゃだから、かみさま的には同情の余地なんてどこにもないんだよね！

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創作者が人物に同情しつつも無慈悲な過去を与えるように、かみさまも彼らを面白おかしく見下ろしては経過を観察するのです