耳とイヤホン:耳が持つ感度調整機能

須山補聴器社長でfitearブランドでカスタムIEM(イヤモニとも。耳型から自分専用に製作されるイヤホン)製作を手掛ける須山氏のtwitterプレゼン in_reply_toが本文スライドに有るものは質問としてそちらに寄せています 20:08更新 こちらは野良まとめです 続きを読む
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須山慶太 @kindo3

【無謀企画・Twitterでプレゼン】 以前銀座のアップルストアでやった、使用環境とイヤホンの種類に関するプレゼンをTwitter上でやってみよーかと思いますが、画像付きだったりするので煩わしい方はミュートお願いします〜。 pic.twitter.com/P0X6uTH0Pw

2015-03-04 11:38:22
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須山慶太 @kindo3

まず耳が生理的に持っている感度調整機能と、それにより得られる広大なダイナミックレンジの話っからスタートするんだわね。グラフは聴力測定だったりで一般的な125Hz〜8kHzの最小可聴閾値(聞こえる一番小さい音)を測定した例ですな。 pic.twitter.com/wQE5qVgRr6

2015-03-04 11:40:57
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須山慶太 @kindo3

上に行く程良く聞こえるって事ですが、一番上の0dBは、20歳の平均聴力を基準として設定されてます。で、今度は音をどんどん大きくして行って、「うるせーっ!」というポイントを各周波数毎に測定していきます。これがいわゆる「不快閾値」です。 pic.twitter.com/1v1PyrmG6e

2015-03-04 11:43:15
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須山慶太 @kindo3

「最小可聴閾値」と「不快閾値」に囲まれたちょい暗めの色にしたエリア、まーもっと上も下も周波数としては聞こえますが、125Hz〜8kHzに関してはこれが「耳が取り扱う事ができる音の範囲」となります。いわゆる「ダイナミックレンジ」ですな。 pic.twitter.com/SoU1Mc0QI5

2015-03-04 11:46:20
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須山慶太 @kindo3

その音ですが、どのように耳に入り伝わっていくか。耳介で集められた音波は鼓膜で振動に変換されます。中耳の耳小骨連鎖で増幅された後蝸牛前庭窓で水圧に変換され、蝸牛の中を進んで行きます。この蝸牛にはピアノの鍵盤のような有毛細胞が並んでます。 pic.twitter.com/4Je8DQgkUi

2015-03-04 11:49:30
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須山慶太 @kindo3

内耳の断面ですが、水圧として伝えられる音の信号はその周波数により蝸牛の手前だったり奥だったりでピークを生じ、ちょうど鍵盤を指で押すように該当エリアの感覚器を刺激します。ここで押さえていただきたいのが「外有毛細胞」と「内有毛細胞」。 pic.twitter.com/vaio82VOFE

2015-03-04 11:52:56
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須山慶太 @kindo3

こちらが水圧の刺激を電気信号に変換する発電機となる有毛細胞ですが、その中で赤丸で示したー型のものが「内有毛細胞」です。どこの部位にある内有毛細胞が刺激されたか、どれくらいの強度かにより、その周波数と音圧に関する情報をキャッチします。 pic.twitter.com/c8Fi0oOB45

2015-03-04 11:57:44
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須山慶太 @kindo3

内有毛細胞は周波数と音圧をキャッチする役割を持ちます。非常に繊細な受容器で僅かな音の変化を捉えることができますが、単体ですとその守備範囲は極めて限定され、人間が生活するような多様な音環境に適応することができません。そこで助っ人登場。 pic.twitter.com/Cmf51O4PUJ

2015-03-04 12:07:09
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須山慶太 @kindo3

また先程の画像ですが、赤丸にご注目。内有毛細胞に対向して存在するのが「外有毛細胞」で、セットでコミコミです。水圧となり、周波数毎のピークとして現れる信号は、このセットとなった内・外有毛細胞に同時に伝えられます。 pic.twitter.com/ET4ge9cLO2

2015-03-04 12:10:22
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須山慶太 @kindo3

こちらのV字型のが外有毛細胞で、大変美しく寄り添うように美しく並んでます。周波数と音の大きさをキャッチする内有毛細胞に対し、外有毛細胞は入力された音の大きさにより適宜「感度調整」を行い、内有毛細胞に伝わる刺激を調整しています。 pic.twitter.com/s1Krtm6YGG

2015-03-04 12:14:48
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須山慶太 @kindo3

@TEy212121 まー音波や振動、水圧に加え、電気信号もアナログなんですが(笑)。でもこうしたトランスデュースを重ねることで、耳はそれこそ秒針や鈴虫の声とか微細な音までもキャッチしています。

2015-03-04 13:46:58
須山慶太 @kindo3

この外有毛細胞の働きにより、耳は広いダイナミックレンジを獲得し、我々は様々な音環境の中で生活する事ができる訳なんですが、正直「は?」と言う感じがあるのではないかと思います。と言う事で、卑近な例で無駄に説明してみましょう。 pic.twitter.com/JsINaI7xcl

2015-03-04 12:18:28
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須山慶太 @kindo3

これがダイナミックレンジ(守備範囲)。まー細かく言えばファールグラウンドとかもそーではありますが・・・。 pic.twitter.com/A1vwMmHRvS

2015-03-04 12:20:17
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須山慶太 @kindo3

とは言え、スーパーナインでも無い限り、この広いグラウンドを常時カバーできる訳ではありません。と言うことで、一番バッターが登場した時にはこちらが一般的な守備範囲(かえって分かりにくくねーか?)。 pic.twitter.com/7IrCqbgm8K

2015-03-04 12:22:42
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須山慶太 @kindo3

はい、一番バッター塁に出ました。二番バッターは当然バントを警戒しなければなりません。いわゆる前進守備ですな。 pic.twitter.com/jS2oWnbJoH

2015-03-04 12:24:30
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須山慶太 @kindo3

はい、送りバント成功でワンアウトでランナー二塁。三番バッターは当然長打で得点を狙います。 pic.twitter.com/J2LSugxYvI

2015-03-04 12:26:21
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須山慶太 @kindo3

このように打者や出塁の状況、カウントにより適宜守備を変化させ、ナインは広いグラウンドをカバーしている訳です(一体なんの説明してんだ俺は?)。 pic.twitter.com/8tFv4yTzpV

2015-03-04 12:28:33
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須山慶太 @kindo3

で、早い話、これとおんなじよーな事を耳がしてる訳ですな(野球盤必要無かったな・・・)。入力される音圧により、各周波数帯ごとに感度調整が行われ、またそれが瞬時に変化することで、我々は広大なダイナミックレンジを得ているんです。 pic.twitter.com/vMB9YRiQIS

2015-03-04 12:31:28
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須山慶太 @kindo3

音楽を聴く時も、この感度調整が活躍します。小さな演奏音の時には外耳有毛細胞が感度を上昇させ、内有毛細胞が繊細な表現を捉えます。大きな演奏音では瞬時に感度を抑制し、これを繰り返す事で音楽が持つ広いダイナミックレンジに追従しています。 pic.twitter.com/I6oWuZjLne

2015-03-04 12:34:33
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須山慶太 @kindo3

最初に説明した耳が持つダイナミックレンジにおいて、さっきの野球版で見た通常の守備範囲が真ん中の濃い部分、可変範囲が薄い部分といったイメージでしょうか(まーあくまでイメージと言うことで)。 pic.twitter.com/Fy5vDzo9jI

2015-03-04 12:37:15
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Sasaki @music2go

@kindo3 この図の下の方は野球盤で説明するとホームランボールをアストロ球団の球八が人間ロケット投げで捕球するような感じですね。

2015-03-04 14:11:09
須山慶太 @kindo3

@music2go そしてアパッチ野球軍的にはこんな感じです。 pic.twitter.com/oeYuuEsdNe

2015-03-04 14:56:50
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須山慶太 @kindo3

音楽鑑賞以外にもこの感度調整は大変役に立ちます。寝不足な頭で地下鉄を待っていると、だんだん大きくなる騒音とともに地下鉄が到着、乗り込んだらラッキー座れる!さーて、資料にでも目を通して、と思う間もなく夢の世界へ・・・。これ、耳の感度調整による環境適応能力のおかげ(せい?)なんです。

2015-03-04 12:41:19
須山慶太 @kindo3

あ、図が抜けたわね。えーとこんな感じに下方向へシフト。 pic.twitter.com/yOnfuIFuKJ

2015-03-04 12:41:56
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