Library's Valentine

ダンゲロス・ウラギール用SS
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ルフトライテル @luftleiter

2月上旬。希望崎学園図書室。「で、先輩はどんなチョコを兄貴に渡すんッスか」「えっ……私は別にいいかなって……」グルグル眼鏡をかけた少女の問に先輩と呼ばれた三つ編みの少女が答えた。「何を言ってるんっすか。せっかくのチャンスっすよ」 1

2015-03-04 23:58:57
ルフトライテル @luftleiter

「だって……別に私が渡さなくても……一くんもっと素敵な相手からチョコもらうし……守口さんとか蟹ちゃんとか」「そんなんじゃダメッすよ、しおり先輩!もっと積極的にいかないと!兄貴ハーレム作ってるくせに馬鹿なんだから伝わらないッスち」「十四四ちゃんお兄さんなのにひどいこと言うね」 2

2015-03-05 00:09:01
ルフトライテル @luftleiter

「いいんっすよ。馬鹿兄貴に馬鹿つっても。とにかく遠慮とか気兼ねとか全く必要ないっすから、当日までにチョコをっスね……!」「そこ、うるさい。静かに」「あっ、申し訳ないっす」図書室で大声を出すのは重大なマナー違反である。みんなも図書館では静かにしよう。 3

2015-03-05 00:20:33
ルフトライテル @luftleiter

「とにかくチョコは渡すべきっすよ。先輩。先輩料理上手なんっすから、いいアピールの機会じゃないっすか」先ほどより声を潜めた十四四がしおりに言った。「……そ、そうだけど」なおもしおりが渋った様子を見せたその時! 4

2015-03-05 00:46:01
ルフトライテル @luftleiter

{「話を聞かせていただきました。つまり、戌井さんがチョコを渡す相談というわけですね」千章は彼女たちの話に加わろうとした。}二人の会話に自分の台詞と地の文が書かれた原稿用紙を持った少女が割り込んできた。文芸部に所属する文学少女であり図書委員会のメンバーでもある栞田千章である。 5

2015-03-05 00:51:52
ルフトライテル @luftleiter

「千章先輩聞いてたんっすか」{「あれだけ大声で話をしていれば嫌でも聞こえてしまうものですよ」千章は十四四の疑問に答えた}千章が新たな原稿用紙を取り出した。正直それは面倒臭くないのかと思うが、文章こそ至高のコミュニケーション手段と考えている千章からすれば、これが自然らしい。 6

2015-03-05 01:14:43
ルフトライテル @luftleiter

もっとも本当に追い詰められて余裕がない時は普通に喋ってるらしいのだが。「で、なにしに来たんっすか。別に関係ない話じゃないっすか」{「いえ、話を聞いていて同じ図書委員会の仲間として協力したいと思いまして」千章は正直にそう言った。}「べ…別に……栞田さんまで来なくていいですよ」 7

2015-03-05 01:28:13
ルフトライテル @luftleiter

{「そもそも私の文芸は応援です。ですから私が恋を応援したくなるというのは自然なことであると私は考えます」千章は熱弁をふるった}「千章先輩の技って女性に効果薄いっスよね」千章の文芸技「鼓文・策励勧奨」は男性には気力を漲らせる効果があるが、女性が相手だとそうはならない。 8

2015-03-05 23:51:30
ルフトライテル @luftleiter

{「それはまだ私の文芸が未熟であるが故。文学少女として成長を続ければいずれは女性をも」千章は十四四にそう言った}「まあいいっスけど。3人よれば文殊の知恵とも言いますし、じゃあ一緒にしおり先輩がどんなチョコを送るか考えるっスかね」十四四が強引に話を進めていく。  9

2015-03-06 01:58:59
ルフトライテル @luftleiter

本当に大丈夫だろうか。もしチョコを渡して彼に受け入れなかったら?彼との関係が悪い方向に変わってしまったら?その時のことを考えるととても怖い。戌井しおりという少女はとても臆病だ。だから、彼女は自分の想いを表に出さず心の中に秘めてきた。 10

2015-03-07 02:40:49
ルフトライテル @luftleiter

彼に嫌われるぐらいなら、彼と恋人になれなくてもいい。ただ、彼のそばでいるだけのただの脇役でいいと。些細な彼との記憶の中の彼との思い出との浸り、それで満足してきた。彼女の『ドッグイヤーメモリーズ』もそれを実現する能力だ 11

2015-03-07 02:43:27
ルフトライテル @luftleiter

彼女たちが自分のために行動してくれているのはわかっているがそれでも不安は拭えない。「大丈夫っスよ」不安げなしおりを見て十四四が言った。「そ……そうかな?」自信が持てない。彼の周囲にはしおりから見ても魅力的な女性がたくさんいるからなおさらだ。 12

2015-03-07 02:50:25
ルフトライテル @luftleiter

「少なくとも一兄は気持ちを無碍にするような人間じゃねえっスから。だから大丈夫っスよ。先輩もだから兄貴のことが好きになったんっスよね」「そうだけど…」「それに先輩は十分に魅力的っスよ」{「私もそう思います」千章はしおりを励ますように言った。} 13

2015-03-07 02:55:12
ルフトライテル @luftleiter

「そ……そうだね」しおりが笑った。それから三人でバレンタインに向けて話を続けた。この時はバレンタインは楽しくなると思っていたのだ。だからまさかあの日にあんなことが起こるなんて思いもしなかったのだ  14

2015-03-07 03:09:20