#完全ノープラン艦これ与太話 【イン・ザ・ファイナル・デイ・オブ・オミナント】１２２５０１０５【リベレイト・アームド・クルーザー・パニック】#1～#3

春魔解丼 @vespiking

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――ネオヨコスカ大本営直属工廠『ヨコスカターミナル』統括管理棟 #KZNPLN

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時刻、１２２５００００。ヨコスカアーセナル統括管理部の朝は早い。それは日付の変更と同時であったり、場合によってはそれ以前であったりする。彼女らはメインプロジェクトに参加する場合、夜行性動物めいた生活リズムに変化するのだ。 #KZNPLN

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ビカッ！暗い簡易宿泊室を、『重』『巡』の文字を象った強力な漢字サーチライトが照らし上げる。｢わあ、遂に12月25日になりました！今日も一日、ガンバロ！｣黒ずんだ右腕をだらりと垂らした重巡洋艦は、喜々としてフートンを蹴り上げ、身支度を始めた。 #KZNPLN

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#完全ノープラン艦これ与太話 【イン・ザ・ファイナル・デイ・オブ・オミナント】１２２５０１０５【リベレイト・アームド・クルーザー・パニック】#1 #KZNPLN

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ビカッ！重巡古鷹は強烈な漢字サーチライトで室内を照らした。｢日付変更です！｣｢アッー！光が！光が！｣｢日付が！変わりました！｣｢アーッ！アーッ！｣｢わかったか！｣｢グワーッ！｣熟睡していた軍艦色髪の艦娘は、驚いてベッドから転がり落ちる。 #KZNPLN

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｢チョットマッテ、チョットマッテ、まだ睡眠MODE｣｢朝です！日付単位で昼夜を定義すると朝です！｣サーチライトがひかる。｢アーーッ！｣軍艦色髪の艦娘は悶絶しながら、デスクに向かい、引出しをあけた。散乱する工具からプラスドライバーを選び抜き、手に取る。 #KZNPLN

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軍艦色髪の艦娘はプラスドライバーを耳の穴に突っ込み、ぐるりと回した。｢アー、遥かに良いです、遥かに、はる、アッ｣艦娘は口から涎を垂らし、白眼を剥いて昏倒した。後頭部の外郭がボンネットじみて開き、旧世紀VHSデッキを強引に埋め込んだ冒涜的生体脳が露出する。 #KZNPLN

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自動操縦モードに移行した左腕が、｢睡眠用｣と極太ミンチョ体ラベルシール（レタリングによる手書きだ）の貼られたカートリッジを引き抜き、かわりにデスク内の｢開発用｣ラベルカートリッジを挿入した。｢アー、アー、ピボボボ。REBOOT……清霜、インクルード成功。成功｣ #KZNPLN

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｢ドーモ、清霜＝サン。古鷹です｣古鷹は左腕をぶらぶらと揺らし、深くオジギした。｢いよいよ、件の一日がやってきましたね｣｢ピボボボ、アッハイ。とても重要な一日です。オミナントからの連絡はまだでしょうか？｣｢まだです。暫くかかる可能性｣｢アナヤ｣2隻は談笑した。 #KZNPLN

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｢長官は｣｢既にロケット基地の設営準備完了。物理UIの充電を行っています｣工廠スペースに着いた古鷹はゴム手袋じみた右腕を左腕で持ち上げ、巨大な艤装にそれを突っ込む。四式重戦闘義手二型丙、通称モーターフルタカ。彼女の開発した傑作義手であり、唯一の品だ。 #KZNPLN

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現在は兵装をパージした日常用形態だが、しかしその規模は戦艦ル級のシールド艤装に匹敵する。80cmバンカーバスター連装砲2基と六連装FaT式空対空アイギステック魚雷を装着した戦闘形態は、機動要塞と称して差し支えない。これを装着し、かつ飛行可能な艦娘は古鷹だけだ。 #KZNPLN

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｢ピボボボ、調整は万端ですね！｣電子音混じりの人工声帯で清霜が言う。アーセナル近隣、予算上廃棄できず現存していた巨大な旧世紀ミサイルサイロ。施設の再利用整備は急ピッチで行われ、今や、大型宇宙ロケットの発射基地に生まれ変わった。まさに今日、宇宙へと飛び立つ為に。 #KZNPLN

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#完全ノープラン艦これ与太話 【イン・ザ・ファイナル・デイ・オブ・オミナント】１２２５０１０５【リベレイト・アームド・クルーザー・パニック】#1終わり。#2に続く。 #KZNPLN

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#完全ノープラン艦これ与太話 【イン・ザ・ファイナル・デイ・オブ・オミナント】１２２５０１０５【リベレイト・アームド・フリート・パニック】#2 #KZNPLN

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――仮説大本営司令部、時刻００２０。 #KZNPLN

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航巡、筑摩は右手でIRC通信機を苛立たしげに握り、闇夜の廊下を歩く。彼女は焦っていた。あまりにも時間がない。｢……、ドーモ。木曾＝サン｣｢ああ、ドーモ｣曲がり角の先、廊下のベンチに腰掛ける木曾は待ち構えるようにアイサツした。｢……何か｣｢アー、別に。散歩だよ散歩｣ #KZNPLN

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｢そうですか。では｣筑摩はずるりと漏れ出る殺気を抑え、足早にその場を去ろうとした。｢……何やらかそうッてンだ？｣筑摩の背後から、刺すような問いが投げつけられる。｢……何を、とは？｣｢それが、わからねェお前でも、ねェだろ｣木曾は筑摩に視線を向けず、対岸の壁に呟く。 #KZNPLN

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｢……貴女には関係のない事です｣｢無関係かどうかは、おれが決める｣｢……｣筑摩は小さく舌打ちし、木曾の方へと振り向いた。｢私には時間がない。邪魔をするなら、排除します｣筑摩は脚のホルスターの徹甲弾を左手の指で挟み、右手を艤装に添えた。臨戦態勢だ。｢あ、そ｣ #KZNPLN

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木曾は白々しく両手を挙げ、懐の白い布を掲げた。国際法において携行が義務付けられる、降伏用のシロハタだ。｢……ッ！巫山戯ないでッ！｣｢巫山戯てねェよ。おれはいつでもマジメだよ｣木曾は笑わず、ただ壁を見る。｢時間がないぜ。もう今日だろ。ロケット打ち上げ｣ #KZNPLN

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｢……ッ！｣筑摩は全身の肌が粟立った。反射的に瞳が収縮し、左手の徹甲弾を引き抜き、艤装に装填する。その時。｢ちょっと！？何をしていますの！こんな夜中に！｣上品げな声の叱咤が廊下に飛んだ。｢おう、ドーモ。今日は賑やかだねェ｣｢賑やかだね、じゃありませんわ！｣ #KZNPLN

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茶髪の航巡、熊野は及び腰で護身用連装砲を構え、筑摩に向けた。｢筑摩＝サン！早くその砲を下ろしなさい！シロハタが……っていうか、それ以前ですわ！ここは大本営ですのよ！ロウゼキはおやめなさい！｣｢うるせェよ｣木曾はシロハタを下ろし、軍刀を抜き、筑摩の喉へ鋒を向ける。 #KZNPLN

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｢なッ……！木曾＝サン！？何を……｣筑摩はぎりりと唇を噛み、震える手で引鉄に指をかけた。木曾は筑摩をまっすぐ睨む。その刀身は微動だにしない。｢ちょっと！おやめなさい！ヤメテ！2隻とも！ねえ！｣熊野は怯えた様子で、両艦へ交互に砲を向ける。 #KZNPLN

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｢……行けよ。お前がおれにとって、有害か有益か。訊いても無駄なら、この左眼が判断する｣木曾は冷たく言い放った。筑摩はふるふると震え、引鉄に力を込めた。ＢＬＡＭ！｢アイエエエエ！？｣熊野は腰を抜かした。徹甲弾は木曾の頬を掠め、壁にめり込んだ。木曾の頬から血が垂れる。 #KZNPLN