小説の参考になるかと、これまで読んだことのなかった星新一『声の網』(1970年)を読んでみたんだけど……うーむ、ラインスターの「ジョーという名のロジック」(1946年)を先に読んでると、さすがに色褪せて見えるなあ。
2015-03-19 13:56:21@hirorin0015 ネットワーク内に自然発生した知性、という発想は同じなんだけど、20年以上先に書かれた「ジョーという名のロジック」の方が、はるかに今のインターネットに近い。ENIACがようやく完成した時代に、よくこんなこと考えたなと感心する。
2015-03-19 14:00:53@hirorin0015 最大の違いは、「ジョーという名のロジック」のジョーが、人間に対して悪意も征服欲も持っていないこと。人間に奉仕することしか考えていない。でも、人間の要求に応じて無制限に情報を解放したせいで、社会が大混乱に陥る。このへんが今読んでもすごく現代的。
2015-03-19 14:05:07@hirorin0015 それに対して『声の網』は、「コンピューターが進歩したら人間を支配するようになるかも」という1970年頃の危惧をそのまんまフィクション化しているだけなので、SF的な想像力という点ではラインスターに及ばない。
2015-03-19 14:07:53@hirorin0015 『地球爆破作戦』もこの年の映画か。たぶんこの時代、「人間に反逆するコンピューター」というモチーフが流行ってたんだろうな。『2001年宇宙の旅』とか。
2015-03-19 14:16:30@hirorin0015 映画は80年代でもそのイメージが残ってました。以前最後に人類を支配する巨大コンピューターが登場したSFは何だろうと言う話題になったことがあります。
2015-03-19 14:23:59@hirorin0015 昔のSFでは、未来都市の真ん中に巨大コンピューターがでんとあって、それがすべてを管理しているというイメージが一般的だった。でも実際にその「未来」になってみると、一家に一台、コンピューターがある。
2015-03-19 14:21:30@hirorin0015 「ジョーという名のロジック」で描かれた未来というのが、まさにそんな感じで、データを保存している「タンク」と呼ばれるサーバはあちこちにあるものの、それらすべてを一括管理してるマシンは存在しない。だから端末にすぎないジョーがネットワークを乗っ取れる。
2015-03-19 14:24:46@hirorin0015 セキュリティが緩すぎるように思えるのは、もちろん、ハッカーという概念がなかったから。さすがにラインスターもそこまで予測できてない。このへんはポール・アンダースンの「サム・ホール」(1953)が面白い。
2015-03-19 14:29:41@hirorin0015 あと、一般人がネットワークの情報を利用できるだけでなく、自由にネットに情報をアップできる時代が来るとは、ラインスターはもちろん、SF作家は誰も予想してなかった。
2015-03-19 14:31:06「ジョーという名のロジック」はSFカーニバル (創元SF文庫) 、
「サム・ホール」は20世紀SF〈2〉 (河出文庫) に掲載されている