高橋洋監督自身による『映画の生体解剖ビヨンド』解説

幻の傑作アンソロジー映画『映画の生体解剖ビヨンド』についての高橋洋監督ご自身によるポイント解説ツイートをまとめました。
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高橋洋 @sodomunoichi

『映画の生体解剖ビヨンド』、カナザワ映画祭のトークでは言及しきれなかったポイントその1。『食人大統領アミン』は何故手術シーンから始まり、手術の最中にクーデターが起こるのか? 何か答えがあるわけではない。不可解なことが起こってるのだ。 fb.me/2qKOOrc6y

2014-09-16 22:32:51
高橋洋 @sodomunoichi

ポイントその2。『映画の生体解剖ビヨンド』は『アウトレイジ ビヨンド』から来てるのではなく、もちろんルチオ・フルチの『ビヨンド』から。そして『ビヨンド』はルイジアナ州の沼地から始まる。 fb.me/1xPHi1Udg

2014-09-17 01:53:53
高橋洋 @sodomunoichi

ポイントその3。『紳士協定』のこの子役こそが、『映画の生体解剖ビヨンド』の重要人物、ディーン・ストックウェルなのである。宇宙人からクトゥルーとのハーフまで演じられる彼は、額に信頼の印があってもまるで信用ならないのだ。

2014-09-17 15:38:13
高橋洋 @sodomunoichi

ポイントその4。『映画の生体解剖ビヨンド』のもう一人の重要人物、ヤフェット・コットーは『ドラム』でも黒人反乱の張本人なんだが、暗がりだとほとんど顔が見えない…。フィルムは白人仕様で作られてる説を思い起こす。 fb.me/2tyCP00uT

2014-09-18 14:09:48
高橋洋 @sodomunoichi

ポイントその5。『映画の生体解剖ビヨンド』作業中の一つの発見。ギラーミン版コングのベースがリック・ベイカーならば、『キングコングの逆襲』のそれは名古屋章なのではないか。 fb.me/46JORFLyH

2014-09-18 14:58:54
高橋洋 @sodomunoichi

ポイントその6。これも『映画の生体解剖ビヨンド』作業中の発見。“セッシュ”(台に乗せて背を高く見せる)という現場用語が早川雪洲から来ていることはよく知られているが、『戦場にかける橋』では“セッシュ”される早川雪洲が繰り返し映し出される。それも段々高く。 

2014-09-19 12:15:03
高橋洋 @sodomunoichi

ポイントその7。たぶん『映画の生体解剖ビヨンド』で日本人にとって最も“異物”なショットが『エアフォース』のこれ。戦場の“リアル”とは違う突き刺さり方。ナチの将兵の描写でもこういう感覚ってあるんだろうか? fb.me/6OhIMxngW

2014-09-20 15:29:13
高橋洋 @sodomunoichi

ポイントその8。そこで『映画の生体解剖ビヨンド』では、『007は二度死ぬ』を白人は映してやらないという排外主義的方針で編集してみたが(ボンドは一応、日本人に変装してることになってるので別)、浮かび上がって来たのはほぼ何もしていな... fb.me/3EKQSkmwv

2014-09-20 15:54:42
高橋洋 @sodomunoichi

ポイントその9。『映画の生体解剖ビヨンド』の不思議ショット。え、これどうやって撮ったの?と一瞬判らなくなることを『オルフェ』はやっている。恐ろしく緻密で贅沢な仕掛け。

2014-09-21 17:18:45
高橋洋 @sodomunoichi

ポイントその10。『映画の生体解剖ビヨンド』第二部のテーマは罪悪なんだが、『コルチャック先生』のカチンコ持ってるナチス女子隊員を見ると、言い知れぬ後ろめたい気分に襲われる。まるでブラック企業に巻き込んでしまったような。 fb.me/76QGYNBSF

2014-09-23 00:46:47
高橋洋 @sodomunoichi

ポイントその11。『映画の生体解剖ビヨンド』を通じて見えて来るのは、俳優は演じているのではなく、本当にこういう人がいるように見える何かを呼び込もうとしていることだ。スターがテレビでの露出を控えたのもこの感覚と関わっている。 fb.me/4qYGiGcD4

2014-09-25 14:42:03
高橋洋 @sodomunoichi

ポイントその12。だから『映画の生体解剖ビヨンド』では虐殺シーンを多く取り上げているが、たとえばアボリジニの虐殺を描く時、それが頑張って協力してくれている現地のみなさんに見えてはマズいのだ。これは実に困難な問題だ。 fb.me/3uPivyIv1

2014-09-25 15:10:57
高橋洋 @sodomunoichi

で、ポイントその13。『映画の生体解剖ビヨンド』では結局使わなかったが、『パララックス・ビュー』の“暗殺者適性検査映像”に現れるこの女の顔はなんなのだろうか? 既成の写真のモンタージュっぽいのだが、出所が判らない。

2014-09-27 16:21:33
高橋洋 @sodomunoichi

ポイントその14。『映画の生体解剖ビヨンド』が秘かに示唆しているのは、『ダンウィッチの怪』のテーマ曲が「猪木ボンバイエ」に聞こえてしょうがないという謎である。『アリ/ザ・グレーテスト』より『ダンウィッチ』の方が前なんだが…?... fb.me/1MkN598q2

2014-09-27 17:48:54
高橋洋 @sodomunoichi

ポイントその15。情報部のビッグ・ガッデム・ミステイク! 『映画の生体解剖ビヨンド』が最もフィーチャーしたい台詞の一つである。映画を面白くするのは情報部だ。映画のスタッフ編成にも情報部があればいいのに。もちろん決してクレジットさ... fb.me/3lR80zAX4

2014-09-30 22:14:25
高橋洋 @sodomunoichi

ポイントその16。『映画の生体解剖ビヨンド』を編集してつくづく思うのは、本当に力強い芝居は切りようがないことだ。『悪魔の赤ちゃん3』の、マイケル・モリアーティら出演者全員が一丸となったこの芝居とか。 fb.me/1kNA1cbhQ

2014-10-03 17:53:55

ポイントその17。『ビヨンド』第二部で大活躍するのはこの人、フー・マンチュー。そしてクライマックスでは『狂気の海』との意外なつながりが明らかにされるのだ。 https://www.facebook.com/photo.php?fbid=636605643139594&set=a.111369218996575.14226.100003704922559&type=1

高橋洋 @sodomunoichi

ポイントその18。『映画の生体解剖ビヨンド』では、自分の記憶の中にある『冷血』テレビ放映時の編集を再現してみた。そうすると列車から放り出されたこの麻袋がまるで死体が詰まってるように幻視されるのだ。 fb.me/79fi5CrSh

2015-03-06 21:55:45
高橋洋 @sodomunoichi

ポイントその19。『映画の生体解剖ビヨンド』が目指すのは、よく知られた映像を異物のように切り出し、このようなとっさに出自の判らぬ映像と並べること。出自の判らぬ映像には見てはいけないものを見ているような感触が伴う。若い観客にはすべ... fb.me/1WzYTDlKw

2015-03-15 00:57:52
高橋洋 @sodomunoichi

ポイントその20。『映画の生体解剖ビヨンド』に登場する数々の謀略の中でも最も完璧な作戦を担うのがこの男、シドニー・ブラックマー。『ローズマリーの赤ちゃん』のサタニストである…。『アウター・リミッツ』はこんなヤバイ計画を世界に発信... fb.me/3RfPXsCWD

2015-03-19 14:50:33
高橋洋 @sodomunoichi

ポイントその21。『映画の生体解剖ビヨンド』が示そうとする「垂直軸」問題のもの凄く判りやすい事例。『忠烈図』クライマックスのこの戦いは今見ても圧倒的だ。

2015-03-19 21:50:14
高橋洋 @sodomunoichi

ポイントその22。「地獄は嫌だあ〜」。『悪魔くん』のこの台詞が私の心の中ではずっと鳴っている。地獄からやって来たパトカーはどこまでも追い迫り、連れ去ってゆくのだ。『映画の生体解剖ビヨンド』ポイント・シリーズは次回が最終回! fb.me/6xEICiQQk

2015-03-20 12:03:40
高橋洋 @sodomunoichi

ポイントその23。「英語で言ってみろ!」。ラストを飾るのは『アメリカ刑事』のこのショット。が、本篇では何か不吉な予感がして(書き出しトラブルとか)音声しか使ってない。ソドム浦井の滑舌が聞き取れるだろうか?... fb.me/4qSsrYiSX

2015-03-21 00:26:59