「タンザニアの生業的自営」と「近代組織における非定型的業務」との同形性

小川さやか氏の論考に触発された佐藤俊樹氏のメモが個人的に興味深かったため、備忘としてまとめました。
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佐藤俊樹 @toshisato6010

昨日、インタビューのときに『小説宝石 三月号』をもらい、そのなかの小川さやかさんの「Living for Todayの人類学」を読んでいたのだが。紹介されているタンザニアの都市民の生計実践での「生存多様化戦略」で、一つ気づいた。

2015-03-05 22:55:12
佐藤俊樹 @toshisato6010

この戦略自体は経済史では「生業的自営」のあり方として、抽象的にはある程度知られていることなのだが、具体的な、他人との関係のとり方や時間や時機の扱い方を読んでいると、何かとよく似ている気がして。 少し考えて、思い出した。

2015-03-05 22:55:43
佐藤俊樹 @toshisato6010

近代組織のなかでの仕事の創り方(定型的業務じゃない方)に似ているのだ。つまり、肯定的な意味での「ゴミ箱モデル」。 小川さんは「このような暮らしにも、均質的な時が未来に向かって単線的な道筋を刻んでいくという近代的な時間とは異なる時間が流れている。

2015-03-05 22:56:21

【参考】"A Garbage Can Model of Organizational Choice," Michael D. Cohen, James G. March and Johan P. Olsen, Administrative Science Quarterly, Vol. 17, No. 1 (Mar., 1972), pp. 1-25

佐藤俊樹 @toshisato6010

それは『不均質な時の流れにおいて、機が熟するのを辛抱強く待ち、熟した好機を的確に捉える』という古代ギリシアの時間の観念に近いものだ(注1)」(80頁)と描いておられるのだけど、特に『~』の部分は、まさにゴミ箱モデルである。

2015-03-05 22:56:52
佐藤俊樹 @toshisato6010

逆にいえば、近代組織のなかの仕事って、定型的業務の層の上に、こうした仕事の創り方や管理業務のネットワークが多数展開されていて、それらの複数種類の仕事全体が法人という皮でくるまれることで、「組織なり」しているんじゃないだろうか。

2015-03-05 22:57:18
佐藤俊樹 @toshisato6010

もちろん、近代組織では定型的業務の比重が大きく、だから仕事としてうまく創られたものを今度は定型化していく作業も要るけど。 でも、少なくとも近代的時間/非近代的時間という二分法に回収する必要はないし、むしろ、回収するとかえって面白みや発見的意義がそがれるように思った。

2015-03-05 22:58:03
佐藤俊樹 @toshisato6010

しかし、人類学や経営学ならともかく、少なくとも社会学者としては、お仕事の息抜きでこんな同型性に気づいたりしない方が、大学教員としてはずっと上手な働き方なのだろうな(^^;

2015-03-05 23:00:11