20150328三浦英之氏 マダガスカルを訪問する

三浦英之　「太陽の子」に新潮ドキュメント賞 @miura_hideyuki

①仏作家サンテグジュペリが童話「星の王子さま」に描いた不思議な大樹バオバブ。そんな愛らしい樹種が消滅の危機にあると聞き、マダガスカルを訪れた pic.twitter.com/CIh2kQJz7Z

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②マダガスカル西部の山道を四輪駆動車で走っていくと、尾根の向こうで煙が見えた。徒歩で５分ほど森の中を進むと、目の前に見渡す限りの焦土が広がった。森が焼き払われ、周囲には白煙と焦げ付くような臭い。同国で今なお続く「焼き畑」の現場だ pic.twitter.com/dyeLvJl9Hy

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③至る所でまだ炎がくすぶっていた。近くに火を監視している人はいない。樹皮の下に大量の水分を蓄えることのできるバオバブだけが樹皮を焦がされて焼け残っていた。近くの農家は「森が焼け、ここがトウモロコシ畑になれば生活は楽になる」と話した pic.twitter.com/7t0p476R5t

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④約２５万種の野生動植物が息づくマダガスカルの森林は今、危機的な状況にある。世界自然保護基金（ＷＷＦ）によると、すでに自然林の約８割が消失。今も年約２０万ヘクタールずつ失われており、このままでは４０年以内に森が消滅してしまう pic.twitter.com/WrbAcGte9p

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⑤ 最大の原因は急激な人口増加と焼き畑だ。１９８０年には８７４万人だった人口は２０１３年には約２３００万人に。約８割の人が１日１・２５ドル未満で暮らし、今も多くが煮炊きに薪や炭を使う。彼らは森を焼いて水田を作り、主食の米を栽培してきた pic.twitter.com/2Ja8Ukgwfv

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⑥ 木や根を失った山では雨を地中にため込むことができなくなり、降雨の度に大量の土砂が山から川に流れ出す。同国上空をプロペラ機で飛ぶと、土砂を含んだ川の流れが赤茶けて、まるで「出血」しているようにも見える。大地の悲鳴のような、悲しい光景 pic.twitter.com/tYsxljlsL6

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⑦野生動物にも深刻な影響が。約２５万種の約８割が固有種。大きな目と長い尻尾を持ったキツネザルはその９割が絶滅危惧種に。キリンディー国立公園の公認ガイドは「動物たちは森から食物を得て生きている。森がなくなれば、生きていくことができない」 pic.twitter.com/Dq3PSvy6oh

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⑧ 道に巨大なバオバブが並ぶ観光名所「バオバブ通り」。保護団体は「動物がいないとバオバブは子孫を残せない」。バオバブの種は硬くそれ自体では発芽しにくい。サルなどが鋭い歯で砕き、消化してフンとして出て初めて発芽する。「両者は運命共同体」 pic.twitter.com/usx9ORfp6B

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⑨政府もようやく重い腰を上げ始めた。途中でパンクをしながら未舗装の道を車で約４時間のキブイ村に向かった。約千人が暮らす山奥の村の集会場では、村人と環境省の対策チームが向き合っていた pic.twitter.com/LiEpaqqm1i

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⑩政府は森林利用を禁止はせず、保全用や燃材用の森を分けて管理していく方針。 でも村民は「焼き畑ができずに収量が減ったらどうする」「薪を取り尽くしたら何を煮炊きに使うのか」と大反発。村長も「森を焼くなと言われても生活を変えるのは難しい」 pic.twitter.com/JR7wbEsRKd

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⑪環境省の森林資源局長は「今誰かが森林破壊を止めなければ、林業だけでなく農業も観光も失われてしまう」。ＷＷＦは昨年５月、同国の国土全体の約３割を保全対象にすることを目指すと発表した pic.twitter.com/Q6LOtWx7ly

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⑫いつか見たいと憧れたバオバブの風景。それが焼き畑によって作られた「悲しみ」の象徴だったと知り、取材中少し悲しくなった。幼い頃から野山を愛し、学生時代には環境学を学んだ。私たちに何ができるだろう。この美しい惑星を守れるだろうか（終） pic.twitter.com/hqqe8qheGd

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