諫早湾調整池から排出されたミクロシスチンに関する、梅原さんたちの論文解説

諫早湾の堤防で閉切られた内側の調整池で、有毒アオコMicrocystis aeruginosa が生産する肝臓毒、ミクロシスチンが毎年夏に増加します。調整池の汚水は年間3〜4億トン、堤防の外の海に排出されています。では堤防外のミクロシスチン量はどうなっているのでしょうか。その短期的動態を追った研究論文が印刷されました。筆頭著者の梅原さんによる解説です。
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飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

諫早湾の堤防で閉切られた内側の調整池で毎年夏〜秋に有毒アオコが大増殖し、ミクロシスチンという毒性分が調整池内だけでなく堤防の外にも排出されています。#諫早湾 #有明海

2015-04-06 11:20:40
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@a_iijimaa1 このアオコは淡水性なので、堤防の水門を(福岡高裁で確定した判決通りに)開放して調整池に海水を導入すれば死滅します。現在はアオコとミクロシスチンを増やしては海に流している状態。#諫早湾 #有明海

2015-04-06 11:22:32
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@a_iijimaa1 諫早湾の調整池については、高橋徹さんによるこちらのサイトに詳しい情報があります。magokorogai.com/index.php しかし高橋さん、詳しすぎ(^^;) 研究者の佐賀、じゃなかった性、ですね。#諫早湾 #有明海

2015-04-06 11:24:11
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@a_iijimaa1 さて、そのミクロシスチンについての印刷したてほやほやの論文がこちらです。梅原亮さんが筆頭著者。sciencedirect.com/science/articl… #諫早湾 #有明海

2015-04-06 11:28:26
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@a_iijimaa1 先ほどメールで梅原さんから、この論文の日本語概要をいただきました。拡散のお許しもありますので、以下連投します。#諫早湾 #有明海

2015-04-06 11:29:20
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@a_iijimaa1 題名:調整池から排出されたミクロシスチンの諫早湾における短期的な動態。著者:梅原亮(広島大)、小森田智大(熊本県立大)、田井明(九州大)、高橋徹(熊本保健科学大)、折田亮(熊本県立大)、堤裕昭(熊本県立大) #諫早湾 #有明海

2015-04-06 11:32:26
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@a_iijimaa1 【概要】ダムや調整池などで発生する淡水性のシアノバクテリア(アオコ)には、非常に強力な毒素ミクロシスチン類を産生する種が多く、それらは下流域や沿岸域へ頻繁に排出されております。(続)

2015-04-06 11:34:35
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@a_iijimaa1 (承前)本研究では、 調整池から排出されたミクロシスチンの諫早湾における短期的な動態を明らかにするために、水質および底質調査を実施致しました。(続)

2015-04-06 11:35:47
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@a_iijimaa1 (承前)ミクロシスチンは、湾の海水中から検出され(max. 0.10 μg/L)、一部 は粒子に吸着して海底へと沈降していたことが明らかとなりました。(続)

2015-04-06 11:37:08
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@a_iijimaa1 (承前)堆積物表層のミクロシスチン含 量は、排水門付近の調査地点において排水前後で約 5 倍に増加しました(0.11 ± 0.08 to 0.53 ± 0.15 μg/kgww, mean ± SD)。(続)

2015-04-06 11:37:55
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@a_iijimaa1 (承前)湾口部における流向流速およびミクロシスチン濃度の測定により、ミクロシス チンは、潮流によって湾外の有明海へと輸送されており、湾外から湾内への再移入が観測されました。#諫早湾 #有明海

2015-04-06 11:38:48
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@a_iijimaa1 図 1:水温・塩分などの測定およびミクロシスチン濃度を測るための採水は図中の番号の地点(1〜9) で1 潮汐間に 4 回行いました。 pic.twitter.com/YRqr3dBh0Q

2015-04-06 11:40:37
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飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@a_iijimaa1 (飯島による用語解説:1日の中でおおむね2回、満潮と干潮があります。「1潮汐」とは「1回の満潮から次の干潮まで」のことで、大体6時間くらいです。その間に4回ずつ、9地点で水を採るのはとても大変なことです。)

2015-04-06 11:44:19
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@a_iijimaa1 (図1解説続き)また、7〜9 の地点を含む湾口部では、ADCP という機器を用いて流向 流速を測定し、どちらの方向にどれくらいの速さの流れがあるのかについて測定しました。

2015-04-06 11:45:54
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@a_iijimaa1 図2:上から 9/18 の 15:00、17:00、19:00、および 9/19 の 7:00 における諫早湾内の表層水の塩分およびミクロシスチン濃度の分布です。 pic.twitter.com/qctbxlFXJv

2015-04-06 11:47:19
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飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@a_iijimaa1 (図2解説続き) 9/18 の 16:00 から排水が実施されており、17:00 および19:00 には 調整池からの淡水の流入により北門付近の塩分が低くなっています。

2015-04-06 11:48:50
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@a_iijimaa1 (図2解説続き)ミクロシスチンに関しては、塩分が低下した場所(排水を含む水)においてもちろん高い傾向にありますが、それ以外の時間・場所 においても濃度が高かったことが示されています。

2015-04-06 11:49:46
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@a_iijimaa1 (図2解説続き)この理由としては、調査前 4 日間の台風に伴う降 雨により頻繁に排水が実施されたことで、調査前日までに出された排水が湾内に残っていた、海底に 沈降していたミクロシスチンが再懸濁した、

2015-04-06 11:51:25
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@a_iijimaa1 (図2解説続き)および潮汐により湾外へ移流したものが再び湾内に入っ てきた可能性が考えられます。

2015-04-06 11:52:04
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@a_iijimaa1 図3:海底泥に含まれるミクロシスチン量です。 pic.twitter.com/xC1iF6PT4T

2015-04-06 11:53:43
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飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@a_iijimaa1 (図3解説続き)排水前(9/18, 13:00)にはすでに海底にミクロシスチンが蓄積していることが示されていますが、排水後(9/19, 13:00)には、排水が行われた北門に近い地 点(1〜4)の含量が顕著に増加していたことがわかりました。

2015-04-06 11:54:46
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@a_iijimaa1 以上で梅原さんによる解説の連投、終わります。図については必要最小限のものについて解説して下さいました。オープンアクセスの論文ではないのですが、図表は(他のものも)こちらで見ることができます。sciencedirect.com/science/articl…

2015-04-06 11:59:45