ニンジャ・サルベイション #5

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「どうなった!ヤグマ=サン達は」シンゴは簡易メディ・キットで裂傷を処置しながら、付近のマッポに怒鳴った。ヤグマは地元のデッカーで、遠征してきたシンゴ達と連携を取っている。デッカーは縄張り意識が強く、通常であればシンゴ達はこう派手には動けない。旧知のネンコ関係が効いていた。1

2015-04-09 22:27:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

カシイ・イワテはトコシマ区で派手に暴れた。繁華街で数件の殺傷事件を引き起こし、そののちカラテ・ドージョーやヤクザ事務所を襲撃して門下生やヤクザを殺害した。きわめて暴力的な犯罪だ。しかもその過程でマッポすらも手にかけている。「キャリバーだと?上等じゃねえか」シンゴは唸った。 2

2015-04-09 22:35:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

マッポ殺しをした者は絶対に逮捕ないし殺害せねばならない。マッポがナメられれば即ち治安維持の基盤がぐらつくのだ。「奴はニンジャって事ですよね」タバタは鎮痛剤のシリンジを使った。銃弾は貫通して抜けている。「撃って来た奴もそうですかね」「知った事じゃねえ。クソ旅行を終わりにするぜ」3

2015-04-09 22:39:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

事情を汲み、シンゴがかつてのセンパイであった事もあって、ヤグマはシンゴに全面的な協力を申し出た。とはいえ、形の上では指揮を執るのはヤグマだ。ヤグマにも地元のメンツがあり、シンゴもそれを尊重する。彼は別働隊を動かし、逃走したカシイ達をコクドウに追跡にかかったわけだが……。 4

2015-04-09 22:44:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『モシモシ、ドーモ。ヤグマです』「おう」シンゴは受信機を奪った。「どうだ!」『標的を目視。これより確保にかかりますよ』「繰り返すが、奴は間違いなくニンジャだ。それから、ニンジャかどうかわからねえ奴を連れてる。最悪、ニンジャ二人だ。慎重に……」『ニンジャ……二人です』「アア?」5

2015-04-09 22:51:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『いや、何だ?ヤクザ?内輪もめか?どこのヤクザ……』「ヤクザだとォ?」受信機の向こうで慌ただしいノイズ。「おう、どうした!おっぱじまったか」『グワーッ!』シンゴは息を呑んだ。それから、爆発音らしきノイズが入り、通信は途絶えた。シンゴとタバタは険しい目を見かわした。「クルマ出せ」6

2015-04-09 22:54:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……「ちっ……くしょう」キャリバーは飴状にたわんだフロントガラスから後頭部を引き剥がした。コンマ数秒の気絶が覚め、吹き飛んだ記憶が押し寄せた。ピーコックはキャリバーの攻撃の隙をつき、懐へ踏み込んで、彼の巨体を巧みに投げ飛ばしたのだ。キャリバーは走り込んで来た車両に衝突した。7

2015-04-09 23:01:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「御用……ザリザリ……ごよう」衝突の衝撃によってか、ビークルが鳴らすサイレンの音も歪んでいる。「邪魔くせェなあ!」KRAAASH!キャリバーは苛立ち、裏拳をフロントガラスに叩きつけた。これはデッカーのビークルだ。追いかけてきていた奴らだ。(アイエエエ!)車内で悲鳴。 8

2015-04-09 23:04:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

もはや構わず、キャリバーは敵意と憎悪にたぎる眼で、敵……ピーコックを見やった。ピーコックはヤクザリムジンのルーフ上に直立している。乱戦の中で殺害した手下どもの死体が付近に散らばり、サツバツたるありさまだ。ピーコックは尊大に腕を組んでいた。キャリバーは目をこすった。後光? 9

2015-04-09 23:07:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

それは神秘的な光だった。ピーコックが展開した金属質の青緑の後光は、さながら尾を広げたクジャクだ。オーロラのようでもある。キャリバーの血中をニンジャアドレナリンが駆け巡った。ピーコックの全身に漲るカラテの緊張が彼の皮膚にまで伝わった、その時!「クジャク・ジツ!イヤーッ!」10

2015-04-09 23:12:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ウヌッ!」キャリバーはボンネットの上で反射的に身を守った。跳んで逃げる時間が無いという無情な結論を、彼のニンジャ第六感とニンジャ反射神経は割り出していた。SPLAAASH!後光が放射状に飛散したかと思うと、それらは恐るべき速度でキャリバーめがけ殺到した!「グワーッ!」 11

2015-04-09 23:14:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

金属質の光を伴ったカラテ・エネルギーが礫じみてキャリバーを苛む!「グワーッ!」そして、KABOOOOM!巻き込まれたデッカー・ビークルが爆発した!「アバーッ!」マッポ達の断末魔!「グワーッ!」キャリバーは弾き飛ばされ、大地に叩きつけられる!「何が……起き……畜生……」 12

2015-04-09 23:18:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そのありさま、ニンジャのイクサにいまだ経験は無いと見える」ピーコックは軽やかに大地に着地し、新たな後光を徐々に育てながら接近する。「やはり俺が思った通りの突発的サンシタに過ぎんな。訊こう、アビシナ社を何故襲撃した?」「ゴチャゴチャうるせ……」「イヤーッ!」「グワーッ!」13

2015-04-09 23:24:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ケリ・キック!ハヤイ!起き上がろうとしたキャリバーは顎先に蹴りを受け、回転しながら吹き飛んだ。「フン……そして、何だマッポか?」ピーコックは黒煙を噴き上げるビークル残骸を軽蔑的に横目で見た。「不運だったな、貴様たち。慌てるからだ」答えるマッポは無し。死体だ! 14

2015-04-09 23:26:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」キャリバーはうずくまり姿勢からスリケン投擲で奇襲を試みる。「イヤーッ!」ピーコックの背中のクジャク・ジツが鞭や触手じみてしなり、スリケンを弾き、返す刀でキャリバーを打った。「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」ナムサン!なんたる飛び道具と鞭打ちの一挙二両得!15

2015-04-09 23:30:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ブザマ!ボールめいて跳ね回るのが貴様のイクサか、キャリバー=サン!」弾き飛ばされたキャリバーをピーコックが罵る。「貴様が驚くのも無理はない。だが、ニンジャになった時、貴様はまさか自分ひとりが選ばれたとでも思ったか?増上慢!」キャリバーは歯を食いしばる。その手が金属に触れた。16

2015-04-09 23:33:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

それは爆発時に車体から剥がれた、ビークルのグリルパーツだ。金属棒じみたそれを手に握った時、キャリバーはニューロンの奥底、自我よりもなお深い部分で、合点が行くような不思議な感覚に襲われた。それはニンジャソウルの身じろぎの感覚だった。金属棒は形を歪め、一瞬にして、剣を作り出した。17

2015-04-09 23:35:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

深く考える暇はない。そして彼自身、この力を用いるのが至極自然なことのように思えた。時間感覚が泥めいて鈍化するなか、ピーコックの目が見開かれ、キャリバーの作り出した剣に警戒を向ける様子を見て取った。キャリバーは逆袈裟に剣で斬りつけた。「イヤーッ!」 18

2015-04-09 23:41:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!」その一撃はピーコックの防御よりも速度で上回った。血しぶきが宙を舞う。キャリバーは獰猛な笑みを浮かべた。だが、浅い!のけぞりながら、ピーコックは背から生えた光の尾をしならせる!「イヤーッ!」「イヤーッ!」キャリバーは剣を打ち振り、光の尾を迎え撃つ! 19

2015-04-09 23:44:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

キャリバーは光の尾を払い、切断した。彼はその勢いのままに身体をぐるりと回転させ、横なぎの斬撃をピーコックに浴びせた。「イヤーッ!」「イヤーッ!」ピーコックの姿が消えた。否!上だ。ピーコックは振りぬいた剣の刀身を蹴ってさらに跳び、キャリバーの側頭部を蹴りに行く。「イヤーッ!」20

2015-04-09 23:49:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」キャリバーは瞬時にブリッジしてこれを回避、さらにバック転して距離を取った。ピーコックが向かってくる。キャリバーはニヤリと笑う。慣れてきている。相手がニンジャだったらどうだというのか?こちらもニンジャだ。ならば、要は殴り合って勝てばよい。同じことだ。「イヤーッ!」21

2015-04-09 23:52:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

踏み込みながらの斬撃!「イヤーッ!」ピーコックは半身で躱し、目突きを繰り出す。「イヤーッ!」キャリバーは身をそらして躱し、脇腹に蹴りを打ちこむ。「イヤーッ!」ピーコックはこれをガードし、背中から生やした新たな光の尾で突き刺そうとする。「イヤーッ!」キャリバーはこれを切り裂く。22

2015-04-09 23:54:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ピーコックがチョップを繰り出す。「イヤーッ!」キャリバーは下がりながら斬る。「イヤーッ!」ピーコックが蹴りで応える。「イヤーッ!」キャリバーは転がって躱し、足首を狙う。「イヤーッ!」ピーコックは跳躍して、複数の光の尾を放射状に放つ!「クジャク・ジツ!イヤーッ!」23

2015-04-10 00:01:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナムサン!致命的な集中飛び道具攻撃が再びキャリバーを襲う!「イヤーッ!」キャリバーは剣を大地に突き刺し、決して広くは無いその刀身の陰で身構えた。KBAM!KBAM!降り注ぐ光はキャリバーの周囲の地面を焼き、剣を焼いた。キャリバー自身は無事だ!「イヤーッ!」「グワーッ!」24

2015-04-10 00:02:52
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