大貫剛さんによる原発再稼働の論点整理

大貫剛さん( @ohnuki_tsuyoshi )による原発再稼働に関する論点のまとめ
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大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

「100%安全でなければ原発を動かすな」という科学者の意見に驚く人が多いが、ちょっと言い方を変えると深い設問になる。「起こし得る事故を社会が受容できないのであれば、動かしてはいけない」

2015-04-15 11:38:05
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

たとえば、包丁で人を刺したり、自動車で歩行者に突っ込んだりすれば人は殺せるけれど、包丁や自動車を売ることを禁止しようという話にはならない。これは極論すると「殺人や交通事故を無くすために包丁や自動車の販売を禁止するのは割に合わない」からだと言える。

2015-04-15 11:40:09
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

裏を返せば、包丁や自動車の利便性を考えると、レアケースとして殺人事件や交通事故が起きても、社会として止める必要はないと言っているわけで、それは暗黙の了解として「許容」していることになる。許容できないほどの危険ではない、と。

2015-04-15 11:42:55
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

もしジェット旅客機が日本の大都市の住宅地に墜落したら、全ての飛行機を止めろという議論になるだろうか?恐らくならないだろう。住宅地に近接した空港はやめようとかは言うかもしれないが、日本を出入りするには船しかないという状況よりは、事故のリスクを選ぶだろう。

2015-04-15 11:44:43
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

こういう視点から原発を考えると、「原発が起こし得る災害は社会が許容し得るか」ということになる。軽水炉が起こし得る最大の災害は、福島第一原発事故よりも大きいだろう。それを日本の社会は許容できるか?僕には、許容できるとは考えられない。

2015-04-15 11:46:58
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

では、事故を起こす可能性があるから原発は全て否定されるべきか?それも極論だろう。理屈の上では「起こし得る最大の事故での被害が、社会的に許容できる」ようになれば良い。原子炉にもいろいろある。放射性物質を撒き散らさないことを優先した設計もある。

2015-04-15 11:49:27
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

原発が起こし得る最大の災害を「社会的に許容できる」規模にまで抑え込むことは、技術的には可能だろうと思う。で、そのときのコストが、経済的なエネルギーとして現実的なのか。また、既存の原発でそれが両立できるのか。これを考えれば、再稼働の是非は自ずと明らかだろう。

2015-04-15 11:51:48
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

@lapislazuli1224 「他人事であるうちは許容できる」ってのもあるんだよね。規模が大きくなると他人事でなくなる。自然災害でも、山がひとつ崩れたら「運が悪かったね」になるけど、数百kmもの海岸が流されると「二度とあってはならない」になる。

2015-04-15 11:54:24
シュネーヴァイス @5chneewei55

@ohnuki_tsuyoshi エネルギー問題の場合、原子力発電に関する事故や廃棄物処理、火力発電用燃料輸入安定のための国際的介入、安定したエネルギー維持を諦めた電気を使わない生活、どの選択肢も社会が(暗黙にでも)需要できる程度と言えないのが他の問題と違うところだと思います。

2015-04-15 11:49:54
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

.@5chneewei55 「どの選択肢も問題がある」というのは重要だと思います。地球という人間が管理できないものの上に住んでいる以上、不確定要素は排除できない。政治的決断が必要なわけですが、民主主義の社会においてはそれこそが「社会が受容」できるかと同義になると思います。

2015-04-15 11:58:50
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

僕個人の意見を言えば、日本では「起こり得る事故を最小化する原発の技術開発」「使用済み核燃料を国内で処分するための技術開発」を優先し、当面はエネルギーとして原発に頼らないことも止む無しと思う。そのうえで、技術継承のためにABWRだけを運転継続することは考えられる。

2015-04-15 12:06:32
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

もちろん「メルトダウン事故を起こした原発の廃炉」「事故を起こしていない原発の廃炉」「当面の放射性廃棄物の保管管理」は技術的にも費用的にも重要な課題で、これすらまともにできないようでは、いくら安全性を向上しても新型原発の建設など覚束ない。

2015-04-15 12:09:20
シュネーヴァイス @5chneewei55

@ohnuki_tsuyoshi 複数の選択肢のなかでより低リスクな選択肢を選ぶだろうという「合理的」と、新しく作られる小危険とすでにある大危険なら人間は既存の大危険を選びたがるという「合理的」と、「合理的」のモデルが科学と政治で異なるのが最大の乖離となりそうですね。

2015-04-15 12:07:16
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

.@5chneewei55 事故というわかりやすくて急激なリスクと、エネルギー安全保障というわかりくく長期的なリスクを単純に比較できないのは当然で、難しいと思います。ただ、後者が比較的論理的なのに対し、前者ではヒステリックな感情論が多いので、論理的に組み直す試みをしてみました。

2015-04-15 12:13:34
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

「これほど危険とは思わなかった」と多くの人が思っていたであろう時点での建設容認をもって、今後のリスクも容認されていると看做すのは乱暴です。 RT @hiroccky: 事故時の瞬間的な被爆は対策は無理では?原発がある時点でそれはもう「社会的に容認」されているものかと

2015-04-15 12:34:40
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

.@YasuhiroOguro それを言ったら、原子炉停止直後の核燃料は長期停止中のものよりはるかに危険ですし、原発を稼働すれば定期点検、地震による緊急停止など様々な理由で「停止直後」という状況が起こります。長期停止で発熱量が減っている現状より危険です。

2015-04-15 12:42:45
ひまわり @powerpc970

.@ohnuki_tsuyoshi 地震に対しては十分に低いリスクであることは東日本大震災で証明されたと思います。問題は津波ですが、過剰とも言える規制委の安全基準と対策で不足しているとは思えません。廃棄物処理は多分に政治的問題ですね。

2015-04-15 13:19:26
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

.@powerpc970 「事故を防ぐ」という意味では仰る通り、充分な対策がとられていると考えます。私が問題提起したのは「確率が充分低くても『起こし得る』事態について覚悟があるか」です。そんな覚悟は必要ない、という判断もあり得るでしょう。

2015-04-15 13:40:37
ひまわり @powerpc970

.@ohnuki_tsuyoshi 当面原発に頼らないのであれば、燃料費や電気料金の負担、安全保障上の担保、技術開発の基盤をどう考えるかは重要だと考えます。私は経済は命と人生を救うと思っていますので、「原発反対だけど値上げも反対、弱者を救え」はお花畑としか思えません。

2015-04-15 13:33:01
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

.@powerpc970 全く同意見です。原発をやめるにしても縮小するにしても、それによる様々な影響を考慮しないのでは話になりません。経済への悪影響は経済的困窮者を増やしますから「金のために原発を動かすな、弱者を救え」というロジックが矛盾していることは明らかです。

2015-04-15 13:42:52
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

原発再稼働でまたゴタゴタしてるようだけど、原発が危険だろうが安全だろうが、使用済み核燃料の処理の目処が立ってないのに動かし続けていいのか、という論点は自己の前も後もあんまり盛り上がらないんだよね。僕なんかこの一点だけでも再稼働に消極的だけど。

2015-04-14 20:07:00
げんき @genkioyuh2a2bht

@ohnuki_tsuyoshi こんにちは。なぜなのでしょうか?ずっと疑問なんです。大人は気にならないのか?

2015-04-15 15:38:05
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

@genkioyuh2a2bht ひとつには、技術的にはもうできるが政治的にできないだけなので、技術開発側にとっては大きな問題はないこと。もうひとつは、政治側にとっては当面保管しておけばよく、問題を先送りすれば済むこと。「原子力をやめる」方が大きな決断を要します。

2015-04-15 15:56:30