「戦史・紛争史に見る前例」と現在の日本について 《山崎雅弘》

表題に関連するツイートをまとめてみました。強権政治特有の人心掌握術や、独裁権力による国内での人権侵害、報道の抑圧・弾圧など、古今東西の戦史や紛争史、政治史でよく見られる事例と同じ状況が、現政権下の日本では次々と現れているように思えます。 このまま、現在の流れを国民が受容、あるいは我慢し続けるなら、国あるいは社会はどこへ向かうのか。戦後の日本で先人たちが築き上げてきた、国際的信用という「遺産」を、我々はどんな形で継承すべきなのか。こうした問題をさまざまな角度から考える材料として、参考になれば幸いです。 また、以下のまとめも関連するテーマを扱っていますので、合わせて読まれることをお薦めします。 続きを読む
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山崎 雅弘 @mas__yamazaki

日曜の十三でのイベントでも少し話したが、今まで15年以上、戦史研究や紛争史研究の原稿を書く仕事をしてきた中で、自分の国で日々報じられる出来事や社会の変化の方向性に「あれ、これとよく似た構図や事例が、過去の戦史でもあったな」とリアルに感じた経験は、この2〜3年を除いて、記憶に無い。

2015-04-14 13:32:25
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

例えば、国の指導者が「外敵」や「国内の敵」をあからさまに名指しし、対立の構図を自ら創り出して緊張状態を高め、それらの「内外の敵と戦う強い指導者」というイメージを演出することで、国内の人気獲得に繋げるという古典的手法。中南米や東南アジアなどの親米独裁政権の多くがこのパターンだった。

2015-04-14 13:33:47
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「内外の敵と戦う強い指導者」が国民から強大な権力を委託された国では、次に「国内の敵狩り」が始まる。政府に服従せず、疑問や異論を呈する人間に対し、例えば「左翼」など、実体があるようで実は無い、定義をどうにでも操作できる「社会の敵」のレッテルを貼り、心理的・物理的な圧迫を加えていく。

2015-04-14 13:34:58
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

映画『アクト・オブ・キリング』が冷徹に物語るように、「社会の敵」のレッテルを貼られた相手に対して、圧迫や暴力を加える側の心理的抵抗や罪悪感は消え、やがては殺人ですら躊躇しなくなる。自分は社会のため、国家のために、それをしているという使命感や高揚感など、ポジティブな感情が生まれる。

2015-04-14 13:36:26
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

戦前戦中の日本でも、同様に「国内の敵狩り」が全国的に行われ、「社会の敵」のレッテルを貼られた人間に対する心理的・物理的な圧迫や暴力は当たり前のように見られた。戦後の民主化された日本では、こうした現象は見られなかったが、この2〜3年、日本の社会では再びそれと同種の現象が表れている。

2015-04-14 13:37:51
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

日曜の十三でのイベントに参加された中で、一番ご高齢だったのは、81歳のJさんだった。二次会の後、難波駅までご一緒していろいろお話をうかがった。Jさんはイベント会場で、ご自分やご家族の経験を踏まえて「社会の変化は少しずつ進んでいく。手遅れになってから気づいても遅い」と話されていた。

2015-04-14 13:38:58
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

私を含め、ツイッターで現政権の批判を繰り返し書いている人は数多くいるが、それを見て「あいつら頭がおかしいんじゃないか」と違和感を覚える人がいても不思議ではないし、その認識の方が正しい可能性もあると常に思う。どちらの意見や認識が正しいのかは、5年後や10年後にならないとわからない。

2015-04-14 13:40:17
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「政権を批判する人間と擁護する人間、どちらが正しいのかわからないから、どちらの側にも与しない」という人も多いと思う。正解がわからない場合は何もしないという態度は、平和な社会では有効な選択肢である場合が多い。ただし、結果が出てからそれを変えるのは、ほぼ不可能だと、歴史は教えている。

2015-04-14 13:41:22
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

現政権の成立以前にも、反日や左翼という言葉は日本社会を飛び交っていたが、政権に従わない人間やメディアを「反日」「左翼」と罵倒・恫喝する政治勢力を政権が政治的な手駒として公然と利用する構図は無かったと思う。戦前戦中の日本とも、冷戦期の親米独裁政権下の国々とも似た状況になりつつある。

2015-04-14 13:42:27
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

人間を「敵と味方」に分け、政権に批判的な人間を「社会の敵」として攻撃する。歴史を自国礼賛の方向へ書き換え、政権の支配力強化に利用する。メディアが攻撃回避のために政権に迎合し、権力行使に加担する。戦争や紛争の前史でよく見る構図が自国に現れた時、それを指摘するのは自分の仕事だと思う。

2015-04-14 13:43:56
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

現首相は、定義を明記せずに、SNSや公式ホームページ等で「左翼」という言葉を「政敵攻撃」の意図で用い、支持者を煽動している。「左翼」に嫌悪感を抱く人々は「敵の敵は味方」の論理で、首相の側に立つ。政治的偏見を利用して支持者を集めている。 pic.twitter.com/pRhnb9Woar

2015-04-14 15:30:06
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山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「民主主義とはどんな状態なのか」という共通認識が社会に存在しなければ、それが壊れたり失われたりしていても、そうだと気づかない。周囲の人間を見て、普通に生活していれば、社会は今までと同じだと錯覚してしまう。日本の民主主義の歴史は、「民本主義」の時代を除いて、わずか68年しかない。

2015-04-15 13:34:14
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

時の権力者が、明確な争点の下で実施された選挙結果を無視して政策に反映させず、政策の妥当性を法的見地から認めない司法判断を無視して政策に反映させない社会は、民主主義国でも法治国家でもない。「粛々と」は、今では明確な「民主主義を否定するワード」だが、メディアは無批判にそのまま伝える。

2015-04-15 13:35:17
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

古今東西の「独裁国」の国民は、自分の国が「独裁」であるとは自覚していなかったかもしれない。「独裁」なのか否かを判断する感覚が麻痺し、判断を停止すれば、後世から見れば理解しがたいような「独裁」でも、それが「自然」であるかのように錯覚する。権力に迎合するメディアが、その流れを支える。

2015-04-15 13:37:19
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

自民党は17日、NHKと日本民間放送連盟で作る「放送倫理・番組向上機構」(BPO)について、政府が関与する仕組みの創設を含めて組織のあり方を検討する方針を固めた(毎日)bit.ly/1EZ8UDz これは非常に重要な動き。具体的な「政府の検閲機構」に言及し始めた。

2015-04-19 13:14:33
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

(続き)「自民党幹部は『政府側の人間や官僚OBを入れるなど別の方法もある』と述べ、政府がBPOに一定程度、関与できる仕組み作りは可能との認識を示した」時の与党に絶大な権限を付与する自民党改憲案と組み合わせれば、共産党政権下の中国と同様、時の権力が放送を支配する国家体制が完成する。

2015-04-19 13:15:47
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「自民党の新憲法がダメなら、また国民投票をやって元に戻せばいい」という甘い考えは、恐らく通用しない。いったん与党案の憲法に変わったら、それに対する疑義は全て「公共の秩序を脅かす」との名目で取り締まりの対象になる。大手メディアで議論できない。「再変更は不可」という仕様になっている。

2015-04-19 13:17:00
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

自民党の鬼木誠議員「NHKに国の見解に反するような放送をする自由はない」と国営放送扱いして「絶賛」される(BUZZAP)bit.ly/1cJmD6y「この委員会では『そうだ!そうだ!』と賛同の合いの手が入り、異様な雰囲気」 強権政治は恫喝と勢いで国民を服従させる。

2015-04-19 13:18:25
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

2015年3月24日の衆議院総務委員会で自民党の鬼木誠議員は「反日自虐番組」「中国・韓国を利するような反日自虐放送」等の言葉を使っているが「反日」の定義は無い。時の権力側にいる人間が「反日」と断定すれば、対象は「社会の敵」になる。古今東西の歴史で繰り返された独裁政治の古典的手法。

2015-04-19 13:19:34
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

自分の職業に「誇り」や「社会的責任の自覚」を持つ人間なら、それが理不尽に壊されそうになると全力で「戦う」。それがプロフェッショナルと呼ばれる人だと思う。世界に目を向ければ、命の危険に遭っても戦い続ける人がいるが、日本では少し脅かされただけで萎縮して戦いを放棄する大人が増えている。

2015-04-19 13:27:03
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

戦前戦中の日本は、人権や人道、人命を著しく軽視・無視した国家体制だったが、日本国民はそれでも最後まで「反乱」を起こさず、玉音放送まで我慢し続けて、玉砕(軍人)や集団自決(市民)という形で国家体制に従った。疑問を抱く者、従わない者は「非国民」と罵倒され、社会から実質的に追放された。

2015-04-19 13:28:27
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「どんな理不尽にも我慢する従順な国民性」が、国を破滅させるという一面がある。個人としての判断を停止した従順さは、必ずしも社会や(国民の集合体としての)「国」のためにならない、という冷徹な現実認識を、過去の日本国民が払った犠牲を無駄にしないためにも、社会で共有する必要があると思う。

2015-04-19 13:29:37
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

伊藤和子(弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長)「日本の言論・表現の自由はいま、危険水域にある」bit.ly/1bncoV9「日頃、独裁国家の人権状況をモニタリングしている私としては、日本の言論の自由は大変気になる水域に入ってきたと感じている」

2015-04-21 13:52:36
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

(続き)「問題にすべきは、『要請』『放送法』の名のもとに、報道に圧力をかけている政府・自民党の側であるのに、論点をそらし、『圧力があったというのは事実誤認だ』として圧力をかけている現状」「過去にも言論への政権与党の介入はあったが、ここまで露骨な介入に踏みこんだのは尋常ではない」

2015-04-21 13:54:08
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

(続き)「軍事クーデターもないまま、いつのまにかみんなが迎合・沈黙してしまう、歴史上繰り返されてきたある種の言論抑圧体制に、放っておけば雪崩を打ったように進んでしまう危険性がある」「自らは標的とならなかったメディアが他人事のように沈黙したり、中にはバッシングに積極的に加わる様には

2015-04-21 13:55:19