#完全ノープラン艦これ与太話 【イン・ザ・ファイナル・デイ・オブ・オミナント】１２２５０３５５【コール・ザット・アボミナブル・ネーム】#3～#5

春魔解丼 @vespiking

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#完全ノープラン艦これ与太話 【イン・ザ・ファイナル・デイ・オブ・オミナント】１２２５０３５５【コール・ザット・アボミナブル・ネーム】#3 #KZNPLN

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姉妹でシャム双生児めいてサイバネ結合した双胴原子力空母キョウリョク・カンケイの右半身、キョウリョクは己の半身たる妹カンケイを叩き伏せ、ギリギリと頭を締め付けながら、だがその実、心臓を握り潰されたかのような恐怖を覚えた。自分は、この感覚を以前、味わった事が、ある。 #KZNPLN

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「く……そおッ！」キョウリョクは即座に状況判断した！キョウリョク・カンケイの接合部は生命活動と密接にリンクしており、強引にサイバネ結合を解除した場合、双方に命の保障はない。だがキョウリョクは構わず腰のサイバネ機構へ緊急信号を送り、結合解除を開始した！ #KZNPLN

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元はあのまま妹を捩じ伏せファイアウォールを破壊、彼女の生体ＶＰＮへ強制侵入し、腹の内を暴き出す算段であった。結合解除すれば、ハッキングは物理的に不可能となる。だが、最早そのような事は言っておれぬ。内側からサイバネ機構がパージし、肉体を引き裂く！「アイエエエ！」 #KZNPLN

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「アバーッ！痛い！アバーッ！」大量の血が噴出し、カンケイの腰からキョウリョクの肉体が引き剥がれる！「グワーッ！」右脚一本となったキョウリョクは両腕を突き側転！カーペットを掴み、三本脚で獣めいて妹に向き直った！「アバーッ！」悶えるカンケイ！このまま死ぬならば、僥倖！ #KZNPLN

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「ウッ、ウウッ……ウグ……ハァーッ！ハァーッ！」カンケイは腰を押さえ、姉をギラリと睨み付ける。「グワーッ！グワーッ！」キョウリョクも当然無事ではない！「い、いいの、ですか……お姉様……貴女の、方が、ダメージは、重篤、でしょう……アバッ」 #KZNPLN

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「ウ、オオオーーーッ！」キョウリョクは吼えた！「……言った筈だ！そう簡単に！私を！出し抜けると！思うなァ！オオオオ！」室内のアトモスフィアが急変する！何らかの莫大な霊的エネルギーを伴ったカラテが、あたかも竜巻のように、室内で渦を巻く！カンケイの眼鏡に、亀裂！ #KZNPLN

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「こんな事も！あろうかとなァ！」キョウリョクの目、耳、口、そして傷口から発光！「こいつは！私の方に！入れてあったんだよ！オオオオオ！」カンケイの表情が徐々に、能面のような無感情へと変貌する様を、姉は最早、見てはいない。「『ゴグ・マゴグ』！起動ォ！」 #KZNPLN

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キョウリョクの艦霊に縫い付けられていた恐るべき霊的兵器が今、９度目の覚醒の時を迎えた！「オオオオオ！オオオオオオ！」キョウリョクの全身を、過去の記憶がソーマトめいて駆け巡る。記憶は遡り、前世へ、その前へ、そして……艦艇の記憶へと！「ウオオオオオオオ！」 #KZNPLN

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キョウリョクの全身を覆うサイバネ艤装パーツを巻き込むように、パワードスーツじみた装束が無から生成され、傷口を塞いでゆく。戦闘の記憶、かつての情景が蘇る。その膨大な情報エネルギーを内側に封じるように、口元を……超自然のメンポが覆った。おお、ナムサン……！この姿は。 #KZNPLN

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「ドーモ、カンケイ＝サン」片脚の原子力空母は、背から生えた機械翼のごとき２枚のアングルド甲板艤装を脚めいて床に突き、常人を遥かに上回るバランス感覚で両手を合わせ、アイサツした。アイサツは絶対だ。何故なら彼女は今や、ニンジャなのだから。「ナイトスフィンクスです」 #KZNPLN

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キョウリョクは……否。ナイトスフィンクスはアングルド甲板艤装を戦闘用に水平固定し、再び両手と片脚の三本脚で立った。その背の中央には、常軌を逸した巨大四連装砲。その口径たるや、かの戦艦大和すら超える４９ｃｍ。そして船体を囲むように浮かぶ、マキモノ甲板が２枚。 #KZNPLN

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「言っただろう。私をそう簡単に出し抜けると思うな」ナイトスフィンクスの長髪が床に垂れ、渦を描く。「私はニンジャだ。問おう。貴様の目的は何だ、カンケイ＝サン」「……」眼鏡越しに、カンケイはじっと姉を睨み付ける。「答えろ。貴様、何故私の邪魔をする！」 #KZNPLN

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「お姉様も、ニンジャに」透き通るような声が、ナイトスフィンクスの脳を揺さぶった。「ニンジャに、なられたのですね」どこか期待と希望を孕んだ、透き通った声。ナイトスフィンクスは戦慄した。「……質問に！答えろ！」ナイトスフィンクスは４９ｃｍ四連装砲をカンケイに向ける。 #KZNPLN

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「ニンジャに、なったという事は」カンケイはしかし、一切動じない。ニンジャリアリティ・ショック症状の兆候もない。「思い出したのですね。私とお姉様が辿った、過去から現在に至る、艦の記憶」愉悦すら混じる声。ボタボタと、カンケイの傷口から垂れた血が、白衣を赤黒く染める。 #KZNPLN

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「どういう、事だ」ナイトスフィンクスは、ニンジャとなった己が気圧されるのを感じた。何故だ。「そのままの意味です」「……そうだ。それが、どうした」「ならば」カンケイは片脚を引き摺るように、デスクの裏へ歩んだ。オミナントの社章を掲げたカケジクの前へ。「何故」 #KZNPLN

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カンケイは社章カケジクを掴み、力一杯引き剥がし、床に捨てた。「何故、それでも尚。お姉様は求めるのですか。暗黒大陸などという、黴の生えた遺物の奈落を」ナイトスフィンクスは一瞬、彼女の行動が理解できなかった。だが、問いに対する回答は、明白だ。「決まっている」 #KZNPLN

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「暗黒大陸には、どれ程の旧世紀の軍事力が眠っていると思っている！次元干渉兵器、失われた特I型駆逐艦、戦艦ヒラヌマ……かの暗黒大陸には、消滅前に米合衆国が独占していた軍事力の全てがある！それをオミナントが掌握するのだ！この戦火の時代、それらがどれ程の価値を生むか！」 #KZNPLN

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「くだらない」カンケイは吐き捨てた。「価値、利益、権益。合衆国の遺産に縋った、深雪如きの小艦艇に頼った、二束三文のカネ。そんなものに、意味はない」カケジクの裏側。カンケイは掌を当てた。壁が光った。隠し生体認証だ。隠し扉が、開いた。「……何？」 #KZNPLN

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カンケイは、巨大なマキモノを取り出した。あれは……聖なるマキモノ甲板ではないか。そして、もう一つ。彼女が手に取り、左腕に装着した、それは。「聖なる電探。こんな、黴の生えた遺物。ですが今は、利用しましょう」だがキョウリョクの視線は、その何れにも向いていなかった。 #KZNPLN

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キョウリョクは唖然とした。おそらくカンケイが用意させたと思わしき、その隠し部屋の最奥部。そこには１枚のカケジクがあった。「国を支配すべきは、ニンジャを従える者」そこに描かれた社章はオミナントのそれとは全く違う、だが、彼女がよく知る、初めて見るものだった。 #KZNPLN

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「私は蘇らせる。嘗ての栄光を。あの忌わしき、赤黒のニンジャに踏み躙られた、我らの栄光を……暗黒メガコーポとしての栄光を。ニンジャの力で」カケジクには、雷神を象った威圧的な社章が描かれていた。カンケイはメンポを掴み、顔につけた。 #KZNPLN

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「私は継承する。我がオムラ・インダストリの力を。モーターの力を。そして蘇らせる。現代に、政府よりも力を持つ、暗黒メガコーポを。テックとニンジャの力で」カンケイはナイトスフィンクスへ、丁寧にオジギした。「ドーモ、ナイトスフィンクス＝サン。モーターサクセサーです」 #KZNPLN

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