「エンカウンター、エスケープ、ファイティング、アンド・アウェイキング」

「咆哮系提督の吹雪」第2章 檻を砕くのは何だ?
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セクション1

Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

◇望まねばミュート推奨◇

2015-04-26 02:37:21
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「エンカウンター、エスケープ、ファイティング、アンド・アウェイキング」

2015-04-26 02:38:06
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

ハンター・リカルドは全身に苦痛を感じ、目を覚ました。「アァ…?」白だ。己の周囲が白一色だ。「何だ、こりゃ」寝ぼけたニューロンが一気に覚醒する。己を囲む白は、そう塗装された壁であった。「気味が悪い…」立ち上がり、己の姿を確認する。壁と同じ、白い囚人めいた服。記憶に無い。 1

2015-04-26 02:43:20
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

そも、此処は何処だ?リカルドはまず部屋の状況を確かめる。己の後方と左右が白い壁の、横幅タタミ4枚分の牢屋じみた部屋だ。正面に見えるのも白い壁だ。リカルドは更なる把握のために部屋の中を歩く。まずは正面。だが「いてっ」鈍い音と共に、何もないはずの空間にぶつかった。 2

2015-04-26 02:48:22
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「何だ?」両手でしっかりと検分してみれば、それは透明な壁であった。透明な壁の向こうに白い壁があるのだ。リカルドは眉を顰める。彼の知識の中に、これほどの強度と透明度を両立する材質は無い。未知の技術。そもそも、自分は何時から此処にいる?リカルドは、己の記憶に問いかけた。 3

2015-04-26 02:51:14
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「確か、千剣山だったよな…」朧げな記憶を掘り起こす。服の下をよくよく改めれば、包帯と治療の跡。狩猟中の傷に相違無し。その時のダメージが、記憶の混濁を生んでいるのだろうか?「確か、蛇王龍は倒した、はずだ」脳裏に浮かぶ、規格外の巨躯の骸。御伽噺の厄災。蛇王龍ダラ・アマデュラ。 4

2015-04-26 02:55:55
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「倒して…で、血流し過ぎてぶっ倒れて…」思い出せば思い出すほど、眉間の皺は更に深まる。どう考えても、この状況と繋がらない。「ギルドの施設…?」リカルドは、自身がハンターズギルドの未知の施設に拉致された可能性を考えた。だが、頭が否定する。一介のハンターを拉致する理由が無い。 5

2015-04-26 02:59:39
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

そして何よりも、壁の質感やアトモスフィアが、それを否定していた。これは、自分たちの知る技術の、さらに先にある物だ。ハンターとしての知識が、そう判断していた。「ああ、もう!分からん!」リカルドは髪を掻き毟り、座り込んだ。威圧的な白一色の壁が、精神を圧迫する。 6

2015-04-26 03:02:27
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

その時だ。ふと、誰かが自分を見ている気配を感じた。「…誰だ?」瞳に殺伐とした狩人としての光が灯り、油断無く周囲を見渡す。すると、居た。部屋の隅。己と同じ白い服の中に、誰かが縮こまっている。リカルドは、縮こまる誰かに近づく。「…」「…」沈黙が、部屋に満ちた。 7

2015-04-26 03:09:16
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「アー…」リカルドは、言葉を探した。縮こまった誰かは、ビクッと体を震わせた。リカルドは溜息を吐き、しゃがみこんだ。「別に、取って食ったりはしねぇよ」数拍置き、返事が返る。「本当…?」か細いが、少女の声だ。「ああ、本当だ」リカルドは努めて穏やかな声で話しかけた。 8

2015-04-26 03:12:26
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

再びの沈黙。やがて、少女は手足を引っ込めた服の中でもぞもぞと身動ぎ、顔を出した。肩までかかるほどの長さの髪。栗色の瞳。素朴な顔立ちの少女であった。「貴方」「ん?」少女がリカルドに何事かを尋ねる。「あの怖い人達の仲間?」少女の目には、怯えの色があった。 9

2015-04-26 03:17:26
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

事態は呑み込めぬが、リカルドは少女を安心させることを優先した。今はどんな些細な情報でも欲しかったからだ。「いや、違う」「…良かった」少女は心底安心し、胸を撫で下ろした。「嬢ちゃん、名前は?」リカルドは、まず話の取っ掛かりを作るために名を聞いた。 10

2015-04-26 03:21:58
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

だが「名前…」再び、少女の目に昏い影が落ちる。「…どうした?」「無いんです」「…そうか」リカルドは、深く追求しなかった。名前の無い子供など、珍しいが居ないわけではない。それにまつわる何らかのインシデントも、聞けば少女の心の傷を抉るだけだ。 11

2015-04-26 03:24:20
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「そうだな…俺はリカルドってんだ」「リカルド、さん」「そう。で、嬢ちゃんに聞きたいんだが…」「此処が何処か、かね?」「ア?」不意に、透明な壁の向こうから声が掛かった。振り返れば、そこには白衣を纏う脂ぎった中年の男がいた。「ヒッ」男の姿を見た途端、少女の口から悲鳴が漏れた。 12

2015-04-26 03:28:10
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「誰だ、テメェ」「口の利き方に気をつけたまえモルモット君」男は徐に懐から赤い出っ張りの付いた小さな箱を取り出し、その出っ張りを押し込んだ。「グワーッ!?」「ンアーッ!?」突如、電撃が二人の体を苛む!「何だ、こりゃ」「驚いた。普通の男なら今ので立てなくなるんだがね」 13

2015-04-26 03:33:39
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「鍛え方が違うんでな」リカルドは中年を睨みつつ、電撃の出所を探った。ハンターにとっては、軽いダメージだが、あの少女にとっては違う。今も苦悶にのたうっている。そしてふと気が付いた。今まで気にも留めていなかったが、自分と少女の左腕に、腕輪が装着されていることに 14

2015-04-26 03:37:01
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「それは首輪替わりだ」中年は下卑た笑みを浮かべ、言葉を続けた。「それがある限り、君はここから出れん。出ようとすればさっきより強い電流が流れるぞ?最悪死ぬほどのな」「こんな玩具で殺せるとは思えんがね」リカルドは興味なさげに腕輪を見つめた。(思ったよりも硬い…強引には外せんな) 15

2015-04-26 03:40:55
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「君は実に興味深い」中年は、リカルドの様子に気付かず、話を続ける。「近くの山中で行き倒れていたのは驚いたが、何よりその生命力!筋力!回復力!全てが興味深い!」「そりゃどうも」「君は一体何者かね?」「ハンターだ」「ハンター?」中年はリカルドの答えに訝しんだ。 16

2015-04-26 03:43:41
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「それは種族の名ではなく、職業かね」「それ以外の何があるってんだ」「ほう」中年は、何かを考え込むような顔をした。同時に、リカルドは会話の噛み合わなさに気が付いた。(ハンターが種族名だぁ?一体どういうことだ?それに俺の生命力を特別視?…何か、妙だな) 17

2015-04-26 03:46:11
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

実際、リカルドの疑問は、彼の常識からすれば最もであった。一般人とハンターの間に差こそあれど、自分の生命力が特段優れたものであるとは、医者からも聞いたことが無かった。だが、目の前の中年はどうだ。邪悪ではあるが、まるで未知のモンスターに遭遇した書士隊のような目だ。未知なのだ。 18

2015-04-26 03:49:07
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「なぁ、一ついいか?」「ん?ああ、いいだろう。何かね?」「アンタ、何処の国の人間だ?」「見て分からんかね?日本人だが」「日本…」リカルドは、眩暈を覚えた。聞いたことのない国だ。そして、同時に気が付く。(何故俺は、そんな聞いたことのない国の男と会話できる!?) 19

2015-04-26 03:52:31
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

リカルドはニューロンの奥底から、ある記憶を呼び起こした。ある狩友の事だ。彼は次元を自由に渡る力を持っていると言っていた。そしてこうとも言った。次元を渡る者は、自然とその次元の言葉を話せるのだと。当時は半分も理解できなかった話が今になって理解できた。同時にその話が事実だとも。 20

2015-04-26 03:56:41
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

(馬鹿な…)リカルドは心の中で呻いた。悪夢の類ならばどれ程ましだったろうか。だが、先程の電撃が、これが現実であると否応なくリカルドに事実を突き付けていた。即ち、何らかのインシデントで、リカルドは時空を超えたのだ!(御伽噺でもありえねぇよ畜生!?) 21

2015-04-26 03:58:52
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