自分用創作メモ

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すずらん @Suzuranium

@sousakuTL うちの子語りをちまちまと。

2015-04-26 12:16:45
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL elona 主にomakeでは妹は謎の存在ですが やはり彼女らも生きているわけで。お兄ちゃんお姉ちゃん史上主義な子もいればそうでない子もたくさんいるわけで。

2015-04-26 12:18:58
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL そんな子らには特別な理由があったりなかったり。今回は理由がある子についてちまちまとお話を。

2015-04-26 12:20:42
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL 昔々と言うほどでもないけれど 最近というには昔すぎるある日のこと。捨て猫 もとい捨て妹猫が1匹。頼れる人もおらず ダルフィの裏町で細々と暮らしていました。

2015-04-26 12:23:09
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL 屍肉を齧り 泥水を啜るような日々。この頃は他の妹のように お姉ちゃんお兄ちゃんを探したりもしましたが 成果はなく。ただただ その日を生きるのに精一杯。力の弱さ故に理不尽な目にあうこともしばしば。

2015-04-26 12:24:48
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL もちろん 裏の街は子供1人で生き延びられるほど甘くはなく。気づけば野垂れ死ぬ寸前のところまで。最期までこの街で暮らすのは嫌だと 意地で街を抜け出します。抜け出したとしても 次の街まで辿り着く体力がないことはわかっていましたが それでも必死に。

2015-04-26 12:28:34
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL 諦めるつもりはありませんでしたが 身体はそれにはついてくることができず。気づけば道の端で倒れていました。空腹と疲労で動くこともできず 疲れ果てて眠り込みます。二度と起きられないのではないかと そんな予感を抱きつつ。

2015-04-26 12:32:17
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL ところが 次に目が覚めた時には 青空ではなく木製の天井が見えました。背中に当たる感触も 道端の草の感触ではなく。綺麗とまではいかないにしても 清潔なシーツが敷かれたベッドの上。傷だらけの身体にもきちんと包帯が巻かれていました。

2015-04-26 12:36:34
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL しばらくそのままじっとしていると 部屋に妖精が入ってきました。銀色の髪に 草で編まれた青緑のワンピース。頭にはピンクの花飾りをつけていました。話を聞く限りでは この妖精が妹猫さんを拾った様子。意識を取り戻したことを手放しで喜びました。

2015-04-26 12:39:36
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL 妖精は妹猫に食べ物を運びました。薬を運びました。しかし 妹猫の方は素直に好意を信じることができず。警戒を解かずにいました。食事に手をつけない妹猫相手に 妖精は半ば無理やり食事を摂らせることに。引っかかれたり噛まれたりしましたが あまり気にしていない様子。

2015-04-26 12:43:43
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL 妖精のとても強引な看病によって 妹猫は元気を取り戻しました。が 今まで生きてきた環境のせいか 妹猫はそれでも妖精を信じることはできなかったようです。妖精が寝静まったであろう夜中にこっそりと抜け出そうとしました。

2015-04-26 12:46:46
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL ところが その家にいたのは妖精1人ではなく。部屋から出た時には妹猫と同い年くらいの子から 少しだけ年上の子まで 何人もの子が一斉に集まってきました。

2015-04-26 12:48:42
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL それから先はいろいろありすぎて妹猫の頭では整理しきれないくらい。快気祝いのパーティだったりなんだり。今までそんな経験がなかったせいで 何をしていいのかもわからず そのまま流されていきました。

2015-04-26 12:51:24
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL 結局そのままずるずると数日間過ごすことに。その間にわかったことは この家にいる子達はみんな身寄りがないこと。それを妖精が拾って育てていること。妖精は音楽が大好きで いつかみんなで音楽団を作りたいと思っていること などなど。

2015-04-26 12:53:25
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL 今まで触れたことのなかった平和な空間に彼女は戸惑います。自分のような子はこんな場所にいるべきではないと考え 助けてもらった分のお礼だけしたら出て行こうと そう考えていました。

2015-04-26 12:54:37
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL ところが みんなが優しくしてくれるせいで お礼を返せばそれがさらに増えて返ってくる。もうすこし もうすこしと思い 納得いくまでお礼を返そうとするうちにずるずる時間が過ぎていくばかり。しかし 時間が経ってもその平和な空間になれることはできず。

2015-04-26 12:58:12
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL そんなある日のこと。妹猫は妖精からハーモニカをもらいます。お金がないらしく 鉄製の安物ではあるけれど 気が向いたら音楽団に参加して欲しいと。そういってプレゼントしてくれました。

2015-04-26 12:59:58
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL 彼女はその誘いを突っ撥ねます。妖精は少しだけ残念そうにしながらも 気が向いたら といってそのままハーモニカをくれました。時々吹き方も教えてくれました。妹猫はロクに聞く気もありませんでしたが ほんの少しだけ基礎は覚えたようです。

2015-04-26 13:01:25
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL どうやら その妖精はピアニストをしているらしく。音楽についてはピアノに限らずいろいろと詳しいようです。歌い方や楽器の扱いを教えてくれました。妹猫は興味はあまりなかったものの 多少は音楽の知識が身についていったようです。

2015-04-26 13:03:02
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL 結局 もらったハーモニカを吹くことはほとんどありませんでした。本人は音楽団に参加する気はなく 受けた分の恩を返したらそのまま去るつもりでいました。事情が変わるまでは。

2015-04-26 13:05:57
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL ふと あるとき妖精の異変に気づきます。他の人は誰も気づいていませんでしたが 妹猫がただ一人気づいた異変。それは 命がけで生きてきたから分かること。妖精に 少しだけ死相が浮かんでいることに気づいたのです。

2015-04-26 13:07:45
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL 程なくして それは家にいる全員に知れ渡ります。妖精は無理をして隠そうとしていたようですが 慢性的な死病にかかっていました。仲間たちは手を尽くしましたが それが治ることはありませんでした。

2015-04-26 13:09:12
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL ある日 妖精は家から姿を消しました。家中の子が総出で探し回ることに。五感に優れ さらに1人で長く生き抜いてきた妹猫は 真っ先に妖精を見つけることができました。そこは 白い花の咲く丘。月の見える綺麗な花畑。

2015-04-26 13:10:39
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL 妖精は自分の死期が来たことを知っていました。最期はこの場所で過ごしたいのだと。綺麗な景色の中で哀しげに呟きました。程なくして音楽団の仲間たちも集まり 妖精の最期を看取りました。最期に妖精に贈る鎮魂歌。妹猫は 初めて演奏に参加しました。

2015-04-26 13:12:55
すずらん @Suzuranium

@sousakuTL 拙い演奏ではあったものの 妖精は笑ってそれを聴いていました。そうして 息を引き取りました。みんなは悲しみながら 妖精を花畑に埋葬しました。月明かりの照らす下で 白い花が静かに夜風に揺れています。

2015-04-26 13:14:25