日本刀付属の小刀「小柄(こづか)」について。

刀に付属した小型の刃物である小柄(こづか)について、古武術 天心流兵法(@tenshinryu )のアカウント様が解説してくださった内容のまとめです。(古武術 天心流兵法様よりお許しを頂きましてまとめさせて頂きました。この場を借りまして感謝の意を表させて頂きたいと思います)
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''小柄(こづか)について。ご参考までに以下もご紹介いたします。

Wikipedia 小柄(http://ja.wikipedia.org/wiki/小柄) Webilo 小柄(http://www.weblio.jp/content/小柄)''

(略)また何事においても同じですが、一つの文献でそれが普遍的なものであったと断定するのも危険な事です。──古武術 天心流兵法様のお言葉より

古武術 天心流兵法 @tenshinryu

小柄(小刀)は手裏剣には使えないというトリビアをよく耳にしますが、打って通せないわけではありません。 直打より半転打が使いやすいてすが。 昔兄弟子が天心先生の御自宅に稽古に行った時に、一~二時間、ずーっと小柄で手裏剣の練習をさせられたそうです。

2015-05-03 13:42:14
古武術 天心流兵法 @tenshinryu

ただ、そういった用途含めて、色々使えるというだけで、手裏剣などのためにあるわけではありません。 普通に携帯ナイフとして便利に使いわれたものです。

2015-05-03 13:44:19
古武術 天心流兵法 @tenshinryu

ちなみに小柄(ごづか)とは本来は袋、つまり持ち手の部分を指した言葉です。 全体を指す場合は小刀(こがたな)と呼びますが、小柄をそのまま全体を指して使われることが多いです。 小柄(こがら)ではありません。 pic.twitter.com/85wkx6L7hn

2015-05-03 14:45:31
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小刀(しょうとう)とも読みますが、ことさらに小さな短刀などは「こがたな」と読まれる事があります。 どちらでも間違いではありません。 「ちいさがたな」などとも読みますがこれは腰刀などを指す言葉です。

2015-05-03 14:48:27
古武術 天心流兵法 @tenshinryu

刀の柄と刀身は、目釘によって留められていますが、小柄と小刀は膠(にかわ)で接着すると聞きました。 小刀もピンきりながら、波紋も美しく、小柄も様々に凝られたものが数多くあり、見直されても良い素晴らしい芸術品、美術品です。

2015-05-03 14:55:23
古武術 天心流兵法 @tenshinryu

手裏剣等危急の代用品としてはもちろんですが(薄く、すぐ折れたり曲がるとされます)、日用品としても現代はカッターや安価なナイフがありますので、使わず、愛でるのが何よりかと思います。 小柄(小刀)の用法は手裏剣以外にも伝わっておりますが、大量生産の模造品のもので代用しています。

2015-05-03 14:58:17
古武術 天心流兵法 @tenshinryu

基本的に小柄(小刀)は、差裏(さしうら)と呼ばれます、刃を上にして帯刀した際に、裏側、つまり自分側の鞘に付けます。 その小柄を差し入れる孔を小柄櫃(こづかびつ)と呼びます。 pic.twitter.com/gVBVwhDkBc

2015-05-03 15:03:38
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古武術 天心流兵法 @tenshinryu

小柄櫃は鎌倉時代の拵えにはすでに見られるそうです。 刃を上にして帯刀した際に、外側に来る側を差表(さしおもて)と言います。 これは栗形(くりかた・くりがた)と呼ばれる下緒(さげお)という刀に巻き付いている紐を通す凸がある側です。 pic.twitter.com/iVymRtxN0C

2015-05-03 15:07:17
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古武術 天心流兵法 @tenshinryu

差裏には、笄(こうがい)を差し込む孔、笄櫃(こうがいひつ)がある場合があります。 これは通常は大刀だけについており、あまり脇指にはついておりません。 両側に櫃があるものを両櫃物(りょうひつもの)と言います。 写真の脇指は両櫃物です。 pic.twitter.com/NBzX34fM8V

2015-05-03 15:10:46
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古武術 天心流兵法 @tenshinryu

笄(こうがい)は頭を掻くためのものです。 髪掻きが「かみかき→かーがき→こーがい」 と転じてそのように呼ばれるようになったそうです。 ホンマかいな? 小物も扱われる着物屋さんでは今も女性の髪上げの装飾品として見ることが出来ます。

2015-05-03 15:17:34
古武術 天心流兵法 @tenshinryu

簪(かんざし)もつけぐしも、笄(こうがい)も、髪飾りとして使われております。 まあ女性の髪結いは素人なので、そのあたりは踏み込んでは危ういのでこのあたりで。

2015-05-03 15:20:34
古武術 天心流兵法 @tenshinryu

武士の笄は髷で痒い時に掻くためとの事ですが、そんな四六時中痒くて常備しないと困るほど痒いものかは、髷を結った事もなく、江戸期の生活をしていないのでわかりません。 まあ当時は武士に限らず髷結ってましたが。

2015-05-03 15:21:31
古武術 天心流兵法 @tenshinryu

江戸期のそういった日常の事は、ネタ本を鵜呑みにしてそうであったととりあえず知ってるつもりなのですが、広範な一次史料などはなかなか見つかりません。 また何事においても同じですが、一つの文献でそれが普遍的なものであったと断定するのも危険な事です。

2015-05-03 15:23:37

以下、ちょっと小話。

古武術 天心流兵法 @tenshinryu

さて、小柄(小刀)が差裏(さしうら)、笄(こうがい)が差表(さしおもて)なのは、やはり刃を表にしないという心得からと教わりました。 後付けな可能性大です。 他にも後付けちゃうんか!?と思うのは袴の折り目の数です。 前は五本ありますが、これは五常の徳を示すとされます。

2015-05-03 15:26:51
古武術 天心流兵法 @tenshinryu

五常とは「仁義忠孝礼」(じんぎちゅうこうれい)の五つの徳目で、儒教の教えです。 武士たるもの折り目正しくこの五常を身に備えるべく、袴の折り目も美しくと。 天心流でもこの袴と五常の徳を関連付けております。

2015-05-03 15:28:44
古武術 天心流兵法 @tenshinryu

多分こじつけです。 でも良いこじつけなら、それを莫迦にせずないがしろにもせず、活用したいと思います。 折り目不明なシワシワな袴は、稽古着と言ってもみっともないものです。 きちんと畳んで、シワが出来れば、或いは時折アイロンを掛ける。 身だしなみが整えば技も整います。

2015-05-03 15:30:57