いるか漁業(追い込み漁)と生体販売の関係

日本動物園水族館協会(JAZA)が、世界動物園水族館協会(WAZA)に残留するために、いるか漁業の追い込み漁によって捕獲されたイルカの購入をやめる、と決定しました。これを、水産統計と貿易統計から考えます。
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佐久間淳子 @shimanomusume

水族館で飼われているイルカは、次のいずれかの方法で得られたはずだ。ひとつは、捕まえた野生のイルカ(「いるか漁業」で捕獲した個体、もしくは、定置網で混獲された個体)、あるいは水族館など飼育下で繁殖した個体) #iwcjp

2015-05-21 00:19:57
佐久間淳子 @shimanomusume

「いるか漁業」には3つの漁法がある。突きん棒と石弓と追い込み漁。このうち追い込み漁が生体販売に適している。和歌山県には(太地町のこと)突きん棒と追い込み漁の捕獲枠が設定されている。 #iwcjp

2015-05-21 00:20:28
佐久間淳子 @shimanomusume

イルカの追い込み漁は、静岡県にも捕獲枠があるが、こちらは2005年以降は1頭も獲っていない。 太地の現在の追い込み漁は、静岡の漁法を教わって来たもの。 #iwcjp

2015-05-21 00:21:31
佐久間淳子 @shimanomusume

なにのため? それは、「町立くじらの博物館」で飼うため。それまでは突きん棒漁はやっていたみたい。この博物館は、「南氷洋捕鯨終焉」の後に町の基幹産業を観光業とするために、当時の町長が肝いりで作ったもの。 #iwcjp

2015-05-21 00:22:09
佐久間淳子 @shimanomusume

このあたりは、同博物館でイルカの飼育・調教を手がけ、今でも野生イルカを飼育に慣れさせて、出荷までを手がけるドルフィンベエイスの三好晴之さん著「イルカのくれた夢―ドルフィン・ベェイス イルカ物語」(1997)に詳しい。 #iwcjp

2015-05-21 00:22:35
佐久間淳子 @shimanomusume

国立研究開発法人 水産総合研究センターの「国際漁業資源の現況」を見ると、和歌山県太地町でいるか漁業で捕獲されたイルカが生体販売されたのは、2005年が最初。 #iwcjp

2015-05-21 00:22:55
佐久間淳子 @shimanomusume

日本から生きているイルカが継続して輸出されるようになったのは、2002年。 太地町の追い込み漁で生け捕りされたイルカの販売頭数と輸出頭数をグラフにしてみた。太地町の生体販売開始が、輸出増に関わり合っているのがわかる。#iwcjp pic.twitter.com/UPwIJ9hJ9m

2015-05-21 00:23:51
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佐久間淳子 @shimanomusume

2002年から今年3月までに計553頭のイルカが輸出された。一番の得意先は中国、全体の60%は中国に輸出されている。つづいて韓国(7%)ウクライナ(7%)。 #iwcjp pic.twitter.com/ywV416O0WY

2015-05-21 00:27:20
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佐久間淳子 @shimanomusume

ちなみに、朝鮮人民民主主義共和国の水族館でもイルカショーを行っている。あのイルカは、どこから持って来たのだろう? #iwcjp

2015-05-21 00:28:21
佐久間淳子 @shimanomusume

和歌山県(太地町)で「いるか漁業」の追い込み漁で捕獲したうちで生体販売された割合を、イルカの種類別に比率で見ると、カマイルカの比率が最も高く、続いてハンドウイルカが多い。 #iwcjp pic.twitter.com/IkwQSbp4PM

2015-05-21 00:30:18
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佐久間淳子 @shimanomusume

カマイルカは、2007年に捕獲枠が和歌山県知事から許可された。以来、少ない年でも、63%、多い年には100%が生体販売されている。主として生体販売を目的とした捕獲であるとみていいだろう。 #iwcjp

2015-05-21 00:31:54
佐久間淳子 @shimanomusume

最大の生産地であった岩手県大槌町と山田町が東北地方太平洋沖地震による津波で壊滅的な被害を受けたのだから、太地町のイルカ肉はそれを補う貴重なイルカ肉として値が上がるか、生産量を上げることも考えられたが(捕獲枠はたっぷり余っている)、それはいまのところ起きていない。 #iwcjp

2015-05-21 00:50:12
佐久間淳子 @shimanomusume

イルカ肉の販売価格は、ゴンドウ(マゴンドウ、オキゴンドウ、ハナゴンドウ)の価格の推移が参考になる。1998年ごろには3000円/Kgだったが、2002年に1300円/Kgくらいに下がった。その後1000円/Kgを推移したあと、震災後には500円/Kgにまで下がった。 #iwcjp

2015-05-21 00:45:32
佐久間淳子 @shimanomusume

2010年3月、都内で見かけたイルカ肉(「岩手県産くじら」と表示)は198円/100gだった。2011年3月には158円/100gだった。2015年4月、静岡でみかけた「岩手県産いるか肉」は、98円/100gだった。静岡は従来からイルカ肉の消費地なんだが。 #iwcjp

2015-05-21 01:15:48
佐久間淳子 @shimanomusume

太地町がイルカの生体販売を手がけ、次第に増やしてきたのは、イルカ肉の値段が下がったことと関係があるかもしれない。 #iwcjp

2015-05-21 00:42:01
佐久間淳子 @shimanomusume

太地町の捕獲数が減っているのは、反対運動の影響と見ることもできるが、値が下がるのはなぜだろう? 「売れないから獲らない」側面もあるのではないだろうか? そんな収入減を補うのが、生体販売。たぶん。 #iwcjp

2015-05-21 00:52:05
佐久間淳子 @shimanomusume

イルカは1頭あたり100Kg強、マゴンドウやオキゴンドウだと1頭800Kg強の肉が採れるらしい。生きたイルカは500万円で海外に売れ、肉にすると1頭5万円。いるか漁業従事者としたら、生体販売をもっと増やしたいところだったろう。 #iwcjp

2015-05-21 01:03:09
佐久間淳子 @shimanomusume

見方を変えると、イルカ肉の需要が次第に下がりつつあったとき、唯一追い込み漁で生け捕りすることができた太地町は、生体販売でいるか漁業を維持してきた、といえるのではないかなあ。生体販売ができないとなると、追い込み漁は厳しいかもしれない。 #iwcjp

2015-05-21 01:16:37