烏野メンバーでワイワイお祭りにいくのね、みんな各々の好きなもの買ってもぐもぐ食べながら、歩いてる。もうすぐ花火の時間が迫ってて、よく見えるところに移動しようって話してて。菅原さんはその前に、自分は何を買おうかなって迷っててね、林檎飴屋さんがちょうど目に留まる。
2015-05-24 23:02:35「俺もなんか買ってから行くわー先行って場所とっててー!あとでラインして!」って言って菅原さんはみんなから離れる。みんなも「スガ、もうすぐ花火はじまんぞ。」「うん、買ったらすぐに行くべ!」「了解!場所取り任せてください!」って。
2015-05-24 23:07:23菅原さんは人ごみをかき分けてその林檎飴屋さんへ向かう。日も沈んできて周りの景色がじっとりと重たい色に染まる。反して屋台の人工的な光だけがジワジワ滲んで、飛び回る羽虫がパチパチとぶつかっている。屋台には規則正しく並んだ嘘のように赤い林檎飴がテラテラ光って宝石のようだ。
2015-05-24 23:13:32「お兄ちゃん、どれにする?」って並んだ林檎飴の奥からしゃがれ声で問いかけられる。「どれでもいいや、急いでて。」「…急いでるんだね、じゃぁ神社の裏道を使いな。そこを抜けると開けたところにでるから。」「マジで?おばあちゃんあんがと!」「…でどれにするんだい?」「うーん…これ」
2015-05-24 23:19:29適当にとった林檎飴は、大きさに反してとても軽かった。というよりほとんど重さがない。でも急いでいたし、今更握ったものを返すのが悪くて仕方なくありがとうと小銭を渡す。「…暗いから気を付けて、それから誰かに合うまでその飴食べちゃいけないよ。」「…うん?分かった。」
2015-05-24 23:24:29自分で売っといて食べてはいけないとは、よく分からなかったけれどとりあえず林檎飴を握っておばあちゃんの教えてくれた方向へ走る。「もうすぐ花火が始まりますのでーーー」という放送が聞こえて、足をはやめる。少年の後姿を目で追いながらおばあちゃんが静かに笑う。
2015-05-24 23:28:23「言ってなかったけれど、ここは林檎飴屋じゃなくてくじ引き屋だよ、お前は残念ながらはずれだ。」 ----------------------- 「あれ、スガまだ?もう始まるけど」 「帰ってきませんね、どこまで行ったんだろ。」「菅原さん林檎飴食べたいって言ってませんでしたっけ。」
2015-05-24 23:30:52「・・・・?林檎飴・・・なんか売ってたっけ?」東峰が首をかしげる。「いーや!なかったっすね!!!!!俺、ひとつも見逃さずにチェックしてましたもん!!」「西ノ谷すごいね…」「俺はいつでも本気です!!」 「…じゃぁ、菅原どこ行ったんだろう?」
2015-05-24 23:33:51「ラインすれば?」「月島あったまいい!」「…圏外だ…なんでだろ?」「俺探してきます。」って影山は菅原さんを探しに行く。菅原さんは、案の定神社の裏で迷子になっている。「ここどこだよ…おばちゃん…」もう花火は始まっている時間。不思議なことに花火の音は聞こえない。
2015-05-24 23:37:14見上げると、真っ黒な手のように覆いかぶさる木の葉の音が不気味に響くだけ。携帯は圏外。「何でこんな時に…。」がっくりとうなだれて境内に腰掛ける。右手にねちょりとした感覚があって一瞬ゾッとしたけれど、見ると溶けかけた林檎飴だった。「腹減った…。」
2015-05-24 23:40:25みんなに会うまで食べちゃいけないって言ってたけど…このままでは溶けきってドロドロになってしまう。「まぁいいか。」ガブリと噛みついたらシャリっと音はしたけれどこれまた味がない。「どうなってるんだ…親切だったけどあのおばあちゃん…。」
2015-05-24 23:42:39--------------------------- …っていう、うっかり黄泉の国の林檎飴を齧ってしまって戻れなくなる菅原さんのお話が読みたいです。夏だしホラーなやつ。
2015-05-24 23:44:01