やたらと真っ赤な<守護戦士>番外編 ~Answer for Honesty~

ログホラ、及びログホラTRPGの世界観を舞台に、一緒に遊んだ人たちのPCを巻き込んで、自分のPCの一日を妄想してみたりとか。 アニメ二期放送当時の《ホネスティ》とアキバの街の雰囲気に対する赤い人なりのアンサー。
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Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「格差……格差かぁ」 切欠は《ホネスティ》所属の連中との仕事を巡るちょっとした諍いだった。 曰く、俺はレベル92で向こうはレベル43。 実入りの良い仕事はレベルの低い自分たちが請けて、レベルの高い奴はもっと危険な仕事を請けるべきだ、というのが奴さんの言い分であった。

2015-02-11 01:52:40
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

その時は俺達の方が仕事を譲る形で話が付いたが、最近はこういった話があちこちで見受けられているのも事実であった。 なお、相棒の方はこの件にこれっぽっちも納得しておらず、「今度会ったらとっちめる」と息巻いて、なだめるのに苦労したものである。 「ヤな空気だよなぁ。こういうの」

2015-02-11 01:58:04
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

個人的な意見で言えば、この街の《冒険者》の良し悪しというのは既にレベルだけで計れるようなもんじゃない。 レベルが低かろうと年若かろうと、頑張って前線に食らいついてる奴だって俺は何人も見てきた。 真朱っこやコハギ、ガレスやシェーナ、しょーくんやピコっち、アオだってその例に漏れない。

2015-02-11 02:07:26
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「けど……そういう奴らだけって訳でもないんだよなぁ…」 妹分や弟分たちの顔を思い浮かべながら俺は深くため息を付く。 この件に関して言えば、原因は極めて単純な話である。 《冒険者》って言ったって元々はMMOプレイヤー。 働くことに忌避感のある奴が大半といっても差し支えはない位だ。

2015-02-11 02:13:19
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

何らかの仕事の経験がある訳でもなく、働く上で必要なコミュニケーションの術もなく… そういう奴らだからゲームに居場所を求めた。そのことは決して悪いことじゃない。 ある意味では奴らこそ最大の被害者だ。その居場所すら《大災害》なんて訳の分からない出来事で奪われたのだから。

2015-02-11 02:20:51
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

俺だって何かが一つでも違っていたら、あんな風になっていたかもしれない。 というか、ザントリーフの一件で実際にそうなりかけていたのも事実だ。 そんな俺の目を覚まさせてくれたのは相棒や仲間達の存在であったが、もしその繋がりがなかったらと思うと……胸に冷たいものがこみ上げてくる。

2015-02-11 02:30:48
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「いっそみんながドリホリみたいな奴らだったら苦労しないのになぁ…」 そんな世迷言をぼやきつつ本日三度目のため息。 宿屋のビルの屋上からアキバの空を見上げると、俺のぼやきに呼応するように噴煙を尾に引いて飛行する影が遠くに見える。 新型バーニアのテストフライトだろうか。あ、落下した。

2015-02-11 02:37:50
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

弩砲のような連中を見ていると悩むのも馬鹿馬鹿しくなってくる。 あいつらはああやって失敗したとしても決して諦める事はしないだろう。 そんな姿に鼓舞されて、自分の道を決めた奴だって少なくはない筈だ。 なら、俺だっていつまでも止まっている訳には行かない。 今の俺は、「兄貴」なんだから。

2015-02-11 02:44:52
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「こんなところで油売ってたのかい、伊達の字」 「ああ、ワリ。ちょっとな」 こういうときの相棒の嗅覚はいつも以上に鋭い気がする。 だが、今回の俺は既にやるべきことを自覚しているのだ。 そんな俺の顔を見て、八薙の口元が懸念から愉悦に綻びるのを俺は見逃さなかった。

2015-02-11 02:52:32
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「またなんか思いついたのかい」 「おう、《師範システム》使う際の連携から見直そうと思ってさ―――」 まずは手近なところから。 俺達の手だけでアキバ全体の格差を無くすのは無理だろう。 だけど、『今できる事を見つめて』最善を尽くすのは、決して無駄なことではないはずだ――― <了>

2015-02-11 03:00:33