【魂を描くピクトマンサー】

自ら歩み寄る意思が成長への第一歩
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雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

アイアンボトム・サウンド… 現在最も多くの艦娘が、この海に散っていったと言われている 不幸なことにその多くは、強敵との死闘による名誉ある死ではなく、「捨て艦戦法」という卑劣な作戦による理不尽な死を強要されたそうな

2015-05-28 00:47:24
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

「捨て艦戦法」については、当時は提督でもなかったし話すと多分長くなるので詳細は割愛する アイアンボトム・サウンドの一件以降、大本営の粛清もあって捨て艦に対する肯定的な意見はほとんど見られなくなった だが捨て艦事件は艦娘達に「死の恐怖」を再認識させたであろうことは想像に難くない

2015-05-28 00:48:10
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

艤装は、完璧ではない。一度深海棲艦の蔓延る海に出れば、如何に強力な艦娘であろうと轟沈の危険は常に付き纏う 艦娘にとって「死」は、他人事ではないのだ それがわかっていながら、なぜ彼女達は死の危険を顧みず、この国を護るために海を駆けるのか

2015-05-28 00:49:00
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

私は絵描きだ まあ、趣味として嗜む程度のものだが 大切な物を護るために死地に赴き、迸る水柱の中を華麗に舞い、時には凄惨にその命を散らす そんな艦娘達の生き様を間近で感じ、この手で描いてみたいと思い、私はこの道を選んだ -提督が鎮守府に着任しました-

2015-05-28 00:50:02
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

【魂を描くピクトマンサー】

2015-05-28 00:50:36
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

〜AL作戦本部〜 時は夏、大本営は一世一代の大規模作戦「AL/MI作戦」を発令した ミッドウェー島に展開した深海機動部隊の撃滅を目的とした作戦である ここにいる艦隊はMI作戦の陽動のため、アリューシャン諸島の港湾基地を強襲するための部隊だ

2015-05-28 00:51:19
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

「…寒い」 厚着のコートにマフラー、耳あてをつけ、ガクガクと寒さに震える女性がいた 彼女の名は神山。麾下の艦娘には「にょろ」の愛称で親しまれる女性提督である レーべ「…もう、しっかりしてよ。他の提督に舐められちゃうよ」 神山「舐められて結構。うちはまだ新米だもの」

2015-05-28 00:52:00
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

加古「てかうちも幌筵だし…寒さには慣れっこでしょ」 神山「そんなわけありません。私は宿毛湾か鹿屋を希望したのに…誰が好き好んであんな寒いところに行くもんですか( ¯•ω•¯ )」 レーべ「でも、それは仕方ないよ。上の決定は…おっと」

2015-05-28 00:52:51
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

神山と話しながら歩いていたレーべは一人の男性とぶつかってしまう レーべ「す、すみません」 「ああ?何ぶつかってんだ。普通そっちがよけるだろ」 加古「げ…平田提督だ」 平田…ラバウル基地所属の提督の一人である。激戦を戦い抜いた凄腕の提督だが、ガラが悪い事でも知られている

2015-05-28 00:53:29
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

レーべ「すみません…」 平田「お前異国の艦娘か?ドイツ風情が生意気なんだよ。てめぇちょっと」 神山「あの」 平田「ああ?」 神山「レーべ君、謝ってるんですけど」 神山はレーべを庇うように前に出る。先程まで寒さに震えていた女性の姿はそこにはない

2015-05-28 00:54:20
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

平田「それがどうした。世間知らずの“おぼっちゃま”に世の中の厳しさを教えてるだけだが」 レーべ「なっ…!」 レーべは中性的な外見だが、立派な女性である。それを信頼する神山以外に、しかも“おぼっちゃま”などと馬鹿にされることは、温厚なレーべにとっても屈辱であった

2015-05-28 00:55:02
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

神山「あんた、AL作戦に正規空母を何隻も提供してたね」 平田「あ?」 神山「正規空母といえばMI作戦の要…それをALに提供するってことは…まさかMIには参加できなかったのかな」 平田「てめえ何を…」

2015-05-28 00:55:58
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

神山「レーべ、やっぱりこの人の話は聞くべきかもね。司令部レベル105もあろうお方がMIに参加できないなんて、きっと“世間の厳しさ”ってやつをわかりやすーく教えてくれるよ」 平田「なんだと…!」 レーべはぽかんと口を開け、このガラの悪い提督にすまし顔で楯突く神山に見とれていた

2015-05-28 00:56:43
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

神山「…鉄底海峡を戦い抜いた歴戦の軍人が落ちたものね」 平田「てめぇ…黙って聞いてりゃいい気になりやがって!」 平田は思わず拳を振り上げる。だがその拳は加古が容易く受け止めてしまう 加古「はいはい、お二人とも喧嘩はここまで!作戦前に下手に騒ぎを起こしたくはないよな?」

2015-05-28 00:57:31
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

「喧嘩か?」「あの平田か?」ふと周りを見ると、野次馬が沢山集まっていた。思いのほか大きい騒ぎになっていたようだ 加古「争うんなら戦果で競いなよ。ね?」 平田「…チッ。司令部レベル30風情が舐めた真似を…。覚えてろよ」 平田は捨て台詞を吐き捨て、去っていった

2015-05-28 00:58:19
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

神山「ぷ。あの捨て台詞、私の想像通りだねw」 加古「ぷ。じゃないよ。にょろ提督はまだ信頼も浅いんだから、あまり変な問題は起こさないでよね」 神山「私のかわいいレーべ君がいじめられてるのをほっとけと?」 加古「そうじゃないけど、ものには限度があるって事」

2015-05-28 00:59:06
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

レーべ「で、でも、ありがとう!」 神山「どういたしまして♪」 加古「はぁ…」 レーべをもふもふする神山を引っ張りながら、加古は神山の司令部室を目指した

2015-05-28 00:59:34
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

加古「そういえばにょろ提督、最後平田になんて言ったの?」 神山「…なんのことだか」 加古「ふーん…まあいいけどね」 レーべ「?」

2015-05-28 01:00:02
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

〜神山の司令部室〜 秋雲「ふぅん…そんなことがねぇ」 加古「秋雲からもなんとか言ってやってよ。にょろ提督は君の言うことなら素直に聞くんだから」 秋雲「あたしはいいと思うけどねぇ〜。創作のネタが増えるし!うん!」 加古「…ダメだこりゃ」

2015-05-28 01:00:39
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

加古と秋雲が言い争いを始めた。神山司令部ではいつもの光景だ レーべ「そういえば提督。なんであの人が司令部レベル105だってわかったの?」 神山「会議の時に見た。偉そうにふんぞり返ってるからどんなものかと思ったけど、所詮見掛け倒しね」

2015-05-28 01:01:15
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

神山「どうせ汚い手段で戦果を稼いでるだけよ。レーべ君もああいう人には近づかないように!」 レーべ「う、うん」 レーべは惚けた顔で神山を見つめた。たまにこの人がとても頼もしく、凛々しく感じるのはなぜだろう 「てーとくぅ!いるー?」

2015-05-28 01:03:03
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

神山「舞風?どうしたの」 舞風「提督にお客さんですよー」 神山達は姿勢を正し、客を迎えた 司令部室に入ってきたのは、ローブを羽織った少年と、セーラー服の少女だ 神山「あら…?」

2015-05-28 01:03:33
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

瑠奈花「どうも、AL作戦の総指揮を務める瑠奈花です。まあ、名乗る必要はないか」 神山「…いい」 吹雪「え?」 神山「るなかわいい!!!」<(:3 )◇ 三

2015-05-28 01:04:35
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

神山「いてて…」 神山は吹雪に突き飛ばされ、尻餅をついた。瑠奈花に抱き着こうとした神山に対する、咄嗟の対応だ 吹雪「ななななななんなんですかあなた!?!?」 瑠奈花「…吹雪。私の知り合いだ。怪しい奴じゃない」

2015-05-28 01:05:09
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

神山が着任を希望した時、いろいろ面倒な手続きを代わって処理してくれたのが瑠奈花だった。それ以来、神山は瑠奈花を「先輩」だの「かわいい」だのと呼んで慕っている 吹雪「いきなり抱きついて来るなんておかしいです!」 神山「吹雪ちゃんわかってないなぁ。るなか司令官かわいいじゃん」

2015-05-28 01:05:47
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