Twitter創作交流企画『色彩決闘』――七位決定戦

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『色彩決闘』管理アカウント @sikisaikettou

'△')<7位決定戦 '△')<黒の国ニグラタより鋭ノ弍号(@a2_sikisai) '△')<緑の国フィリトスよりリドフィ=アイレニア(@lidofie_I)

2015-05-23 17:57:35
『色彩決闘』管理アカウント @sikisaikettou

'△')<さあ時間だ!色彩の女神の祝福はもうすぐだ! '△')<勝者には祝福を!敗者には労いを!コロル・レグナの永き繁栄と平和の祈りを込めて—— >△<)<——デュエルッ!スタートッ!

2015-05-23 18:00:01
鋭ノ弍号 @a2_sikisai

ーー三度目の、円形闘技場へのゲートを前にして。 鴉は目を瞑り、天井を仰ぐ。 これが、最後。 これが、最期。 この試合、勝とうが負けようが……自分の運命は、既に決められている。 ーー生き恥は、晒せない。

2015-05-23 19:41:59
鋭ノ弍号 @a2_sikisai

「ここが拙者の、最後の戦場か……」 ーーならば。 「……『楽しませて』もらうぞ、緑の」 零した言葉は、誰に届くこともないだろう。 ……鴉は、『仮面を外し、その場へ捨てた』。

2015-05-23 19:42:00
鋭ノ弍号 @a2_sikisai

一歩。また一歩。音も立てずに、男は石畳の廊下を進む。 ゲートをくぐれば、明かりの下に暴かれたその素顔に観客達の視線を浴びながら、不敵に笑う。 掟に背くその行為は、生放送で全国へ……無論、ニグラタの兄の元へも、流されることだろう。

2015-05-23 19:42:01
リドフィ=アイレニア @lidofie_I

すう、と深呼吸をする。 勝っても負けても、正直自分にとってあまり結果に変わりはない。 だからこそ。 「楽しまなきゃ、損だよね」 数日前、楽しむと宣言した気持ちを改めて確認するように。

2015-05-23 23:14:02
リドフィ=アイレニア @lidofie_I

ゆっくりと、奏力を巡らせる為に溜める。 そうして待っていれば姿を現したのはあの鴉の面――ではなく。 「あれ、カラスじゃない?」 見知らぬ青年の、いや。この場に出てきたからには、それが素顔なのだろうけれど。

2015-05-23 23:14:08
リドフィ=アイレニア @lidofie_I

「えーっと。僕の相手の、鋭ノ弐号でいいんだよね?」 ぱちくりと不思議そうな顔をしながら問い掛ける。 だって。 (登場が、激しくないし) 本当に同じ人? と。

2015-05-23 23:14:20
鋭ノ弍号 @a2_sikisai

「……いかにも。拙者は黒の国ニグラタが代表、鋭ノ弍号」 長く伸ばした黒い前髪の奥で、黒い目を細め。 スッ、と、重心を落として、臨戦の姿勢を構えながら。 「ふ……何を驚く。あれは所詮被り物にござれば、外せば生身の面構えが肩に座していることに、何の不思議があろう?」

2015-05-24 23:08:23
鋭ノ弍号 @a2_sikisai

「ああ……そなたのことは、知っているぞ。初戦の前日に、えらく街を騒がせていたな」 忘れもしない、空を舞う翡翠(カワセミ)のような緑の姿。 「……是非とも手合わせをしてみたいと思っていた。黒の鴉と、緑の翡翠。よい取合わせとは思わぬか?……刃を交える最後の相手として、不足は無い」

2015-05-24 23:08:24
リドフィ=アイレニア @lidofie_I

被り物の中、生身の顔があるのは至極当然。それはそうだ、が。 「いや、そこじゃ無くて……まあいいや」 低く体勢を変えたその姿。どのようにでも動きだせるようにか。 その黒の姿勢に応える様に、奏力を巡らせる。風が答える様に、ふわりと小さく翠の髪を揺らした。

2015-05-25 00:05:58
リドフィ=アイレニア @lidofie_I

「あれ、見てたんだ。……ちょっと遊び過ぎちゃったかなって思ってたんだけど」 驚かせてしまった街の人々を思い出し。 「でも、今はめいっぱい、遊んで良い場だ」 ぎゅ、と握った両手。グローブが擦れ、小さく音が鳴る。 「鳥同士、かあ。いいね」 風の子は笑う。うん、遊ぼう、と。

2015-05-25 00:06:06
リドフィ=アイレニア @lidofie_I

「じゃあ、こっちからっ!」 とん、と軽い足音。それだけでその身体は上空へ舞い上がる。 同時に振るわれた右手の動きは三度、角度を変えて。 不可視ながら、黒の兵士の耳ならば微かな風切音が拾えるだろうか。

2015-05-25 00:06:29
鋭ノ弍号 @a2_sikisai

ーー目を閉じる。 研ぎ澄ますのは、聴覚と触覚。 不可視の刃が、風を切る音。 微かな空気の揺らぎを読む。 ーー動く。

2015-05-25 08:33:09
鋭ノ弍号 @a2_sikisai

舞うように。踏み込んだその足を軸にして。 まるで扇のように、爪甲を宙に滑らせる。 迫り来るそれをギリギリまで引き寄せ、撫でるように腕を振り抜けば、気流は乱れ、風は狂う。 風の合間を縫うように、地を蹴り跳躍。前へ。 両の瞳は閉ざしたままで。

2015-05-25 08:33:10
鋭ノ弍号 @a2_sikisai

鋭さを削られ、それでもなお刃を成す風に撫でられ、左の頬に一筋、 ーー朱が走る。 闇の中に生を受け、戦の中に生を見て。 個を殺し、群として。 歴史の礎として死にゆく定めの、鴉にも。 人の血は、流れている。

2015-05-25 08:33:12
鋭ノ弍号 @a2_sikisai

石畳を駆けながら、素早く懐から取り出したるは、柳の葉のように細く鋭く鍛えられた、苦無が八本。 投擲。 その中で、緑の肉体に直接向かうのは三本のみ。 残りの五本は、周囲の壁へ、天井へと、突き刺さる。

2015-05-25 08:33:13
鋭ノ弍号 @a2_sikisai

はたして緑は、気づくだろうか。 己へ向かう三本以外の苦無には、闇を纏わせ光の反射を封じた鋼糸が張られていることに。

2015-05-25 08:33:15
リドフィ=アイレニア @lidofie_I

「わあ!」 予想だにしなかった――自分ならば奏術でもって行うそれを、純粋なる技術に寄って黒の男は拡散させた。それも、目を閉じておきながら! (――音っ)

2015-05-25 15:34:44
リドフィ=アイレニア @lidofie_I

緑の民は眼に見えぬ風を、天性の風への適性によって感じ取る。それを、視界という大きな情報を捨て、聴覚に集中する事で成し遂げた鋭ノ二号は流石というより他に無い。 しかし耳を頼りにすると言うのならば――音を立てなければ良い。

2015-05-25 15:34:49
リドフィ=アイレニア @lidofie_I

「っと」 一度気合いを入れ直す様に唇をなめた所で鋼が矢の様に飛んでくる。 ひとつ、ふたつ。ひらり、ひらりと避け。みっつめが足を掠め血が風に流れる。 「あは、何処狙ってるのさ!」

2015-05-25 15:36:34
リドフィ=アイレニア @lidofie_I

――張り巡らされた鋼の糸に掛からなかったのは唯の偶然。空に留まったまま、光を返さぬ糸に気付く事なくリドフィは周囲に奏力を流し込み続ける。 声はからかう様に笑いを含みながらもその表情は真剣な物。

2015-05-25 15:36:47
リドフィ=アイレニア @lidofie_I

(気付かれないように) 左腕を振るい、再び刃。観客から見れば、同じ場所に留まったままのその攻撃は酷く単調に映るだろう。 他に何か集中する事があるかの様に。 黒がそのまま地を駆けるならば、僅かに息苦しさを感じるだろうか。

2015-05-25 15:42:04
鋭ノ弍号 @a2_sikisai

降り注ぐ刃。右の肩口に鋭い痛み。 「ーーッ」 迫る第二第三の刃を肌で感じれば、身をよじり、素早く転がるようにしてそれらをかわし。 「なるほど……音も消せるのか。そなた、よい暗殺者になれるぞ」 戦闘中に、軽口を叩く。 それほどまでに、今の鴉は上機嫌であった。

2015-05-25 19:15:54
鋭ノ弍号 @a2_sikisai

さらに八本の苦無を懐より取り出し、投擲。 やはり三本は緑の体を、残りの五本は、散り散りに。 ……先ほどから動く気配のない緑を中心に、まるで、鋼糸の籠を編むかのように。 「……?」 鴉はふいに、微かな息苦しさを感じる。 何かを、企んでいる? ……面白い、やってみせろ。

2015-05-25 19:15:55