不知火に落ち度はない 40(海ぼうず)

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はじめに

※ この話は艦これ二次創作的な何かのネタ帳じみたものです。
独自設定がちらほら混じってるので、適当にご笑覧ください。

今回はコメディ回です。

感想はハッシュタグ #落ちぬい か コメントまでいただけますと喜びます。

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

さて、さて本日もちょろっとした暖かな日常ドラマ更新と。 #落ちぬい

2015-05-30 10:42:52

本編

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

本日晴天。 司令室には現状秘書艦として、机に座っている北上の姿がある。 現在の深海棲艦指数は5。 ほぼ来ないであろうと推測される数値。 おかげで北上は、手元で新作のゲームをやる余裕があった。 深海棲艦を魚雷で退治する『がんばれ北上さん2号』である。 #不知火に落ち度はない

2015-05-30 10:49:03
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「良くできてるねえ-。お、パンツ見えた-」 画面を傾けながら楽しんでいる。 その対面に本来座っているはずの提督──兵頭の机には『外出中』の文字。 ホワイトボードには『病院』と書いてあった。 「魚雷はっしゃー。おっそー」 本日、基地は平和なり。 #不知火に落ち度はない

2015-05-30 10:51:21

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

一方兵頭は町中を歩く。 もちろん格好はいつものアロハ。 季節的には夏が近い。春ほど奇異な目では見られない。 病院が終わった後なのか、手に薬の入った袋を持ち、もう片方には雑誌をぶら下げる。 その雑誌には『オトナの美少女艦娘特集♥』と表紙に書かれていた。 #不知火に落ち度はない

2015-05-30 10:57:36
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「さて、こっから飯でも食いに行くかね。近くに居たらだけどさ」 スマホを取りだし、連絡先を参照──長瀬という名前を指が示す。 が、電話をかける前に、通話画面が表示される。 長瀬、と書いてある。 「先手取られたか、それとも女の自慢だな」 通話を押す。 #不知火に落ち度はない

2015-05-30 11:02:13
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

『動くな』 「お?」 声が二重になって聞こえ、背中に何か押し当てられる。 ホールドアップの姿勢を取る兵頭。 「よう片目。背中がらあきだぜ」 「ぬかせモグリ。足音と気配殺して近づくんじゃねえや」 振り返れば、フランスパンを突きつける男がそこに居た。 #不知火に落ち度はない

2015-05-30 11:10:44

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「で、モグリ。最近どうよ」 「どうよ? あー、まあフツー?」 「そのクッソ似合わないイタリア国旗のバンダナは? 中国?」 「ナポリで買った本物だっつの!」 「ナポリで国旗バンダナ買うなよ……」 イタリア食堂的なレストラン。 中年二人が飯を食う。 #不知火に落ち度はない

2015-05-30 11:18:45
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

長瀬の前にはペスカトーレ。豊富な貝類が乗っている。 兵頭の前にはミートソース。スタンダードでミンチがぎっしり。 性格の出る注文の間には、ピザのマルゲリータが置かれており。 さらにメンチカツ等が並んでいた。 「そいやモグリ」 「おう何だ?」 #不知火に落ち度はない

2015-05-30 11:25:11
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「ナポリに何しに行ってたん?」 「美女のナンパ。まあ、しばらく寄りつけないけど」 「何やった」 「カモッラの女2人ほど釣って、ベニスをデートしてた」 「お前長生きできねえぞ」 「長生きより美女でしょ」 さらり言う長瀬。 #不知火に落ち度はない

2015-05-30 11:28:29
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「で、土産ねえの土産」 「あるぜ。俺のスマイル」 「質屋で売ってくる、お前ごと」 げんなり顔で言葉を返す。 そして、長瀬がパスタをフォークで取りつつ言う。 「あ、質と言えば思い出したわ」 「ほう何ですか」 「艦娘拉致って売る連中の話」 #不知火に落ち度はない

2015-05-30 11:33:05
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

兵頭が苦い顔をする。 この男の職業上、それはあまり喜ばしい話ではない。 実際自分の基地のメンバーには全員、その手の話は徹底してある。 「国の財産なのにな?」 「外国人がやるんだから国家単位の泥棒だぜあれ」 「何すんだろな」 「知りたくもねえよ」 #不知火に落ち度はない

2015-05-30 11:36:14
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

畜生、パスタまずくなったとぼやきながら、水で流し込んでいる。 それを見てすまんすまん、と苦笑い。 「どこで聞いた話なんだよ」 「ナポリの泥棒市」 「なんでそこで聞くんだよ」 「世界中からモノ集まるし、あそこ」 情報もしかり、と言っている。 #不知火に落ち度はない

2015-05-30 11:41:45
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「どの国の連中がやってんだ?」 「北方だよ、北方」 現状艦娘の数が最も少ない国。 現代戦力で戦い、最も多くの首を挙げ。 最も多くの犠牲者を出す国。 かつて第二次世界大戦で最も多く死んだ国。 彼らは現在、艦娘によほど飢えてるらしい。 #不知火に落ち度はない

2015-05-30 11:45:26
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「証拠は?」 「残ってねえけど、そう言う噂。お前さんとこにいんじゃん、北方から亡命してきた娘がさ」 「……響か」 「ターゲットにされるかもだから、気ぃつけとけよ」 「さんきゅ。非番のとき、護衛つけるわ」 さくりとメンチカツを刺し、口へと運ぶ兵頭。 #不知火に落ち度はない

2015-05-30 11:49:35
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「メスゴリラあたりつけときゃ大丈夫かな」 「ま、マドンナがついときゃ大丈夫だろけどさ。お前はダメだぞ」 「保護者ってことでどうにかならねえ?」 「テディベアの着ぐるみ着てもどうにもならない」 もこもこの生き物が、響について回る姿。 犯罪である。 #不知火に落ち度はない

2015-05-30 12:01:46
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「他に情報ねえの情報?」 「前にバンの話したじゃん。写真送ったじゃん」 「アレなら海から上がってきたぞ」 「不法投棄反対だねえ」 面倒くさいとぼやく兵頭。 残念でしたと語る長瀬。 「顔写真はどうだったんよ」 「データバンクになし」 #不知火に落ち度はない

2015-05-30 12:04:49
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

つまり相手は日本国民ではないし、正規の手段で国内にいるわけではないらしい。 「裏に大使館とかいねえ?」 「ケツ蹴りに行ってみるかい?」 ロシア大使館は健在だ。 時々聞こえる黒い噂は、官公庁では通例となっている。 #不知火に落ち度はない

2015-05-30 12:06:10
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「ただ、連中は長くねえと思うぞ」 「なんでさ」 「長良はウチの所属じゃねえ。龍田んとこの艦娘だ」 「……。もしかしてさ」 「よせモグリ。飯が不味くなる話だそれ」 海から上がってきたバンと、データバンクにない連中。 そして報道すらされない事故情報。 #不知火に落ち度はない

2015-05-30 12:11:32
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「俺が捕まえておきゃよかったかなー」 「理想としちゃそうだが、連中の規模わかんなかったんだろ」 「デート中暴れるのがやだっただけでーす」 「お前な。龍田にそれ伝えとくぞ」 ため息を吐いて、携帯を確認。 今のところ目立った情報は無い。 #不知火に落ち度はない

2015-05-30 12:22:25
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「ところでさ、片目」 「なんすかこの下半身野郎」 「飯終了のお知らせ」 「と、申しますと」 「そんときの連中がさ、なんか別のバンに乗って銀行前にとまっとりやす」 「はぁ!?」 メンチカツが吹っ飛んだ。 #不知火に落ち度はない

2015-05-30 12:24:53
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「クッソ! じゃあ、会計頼むわ」 「どうすんのさ。何もしてないぜ?」 「因縁ふっかけて、公務執行妨害で拘束する!」 「ヤクザだねえ。じゃ、払ったら追いかけるわ」 兵頭が席を立ち、長瀬がサイフを出す。 ついでに兵頭の忘れていった薬をポッケにねじ込んだ。 #不知火に落ち度はない

2015-05-30 12:28:37
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