一箇所は切れ目を入れておかないと ~インフルエンザウイルスが増えるとき~
ブドウ球菌とかで昔から知られてた現象なんで、正直、あんまり新規性はない。 | 歯周病菌:大事な口のケア インフル感染助長する可能性 - 毎日新聞 - mainichi.jp/select/news/20…
2015-06-24 07:30:15インフルエンザウイルスのことは結構読んできたと思うのだけど、この記事何が書いてあるのか、あまりよく理解できないのはなぜなんだぜ。
「増殖するためには、人の細胞内外にある特定の酵素の働きで、ウイルス表面のたんぱく質に変化が起きることが必要になる。」のでしたっけ…?#インフルエンザウイルス
2015-06-24 08:33:18「専門用語を避けているから」というのは専門の先生。
@Butayama3 うーん。専門用語を避けてる上に、漠然とした表現しか使ってないからじゃないかなあ。例えば「タンパク質に変化が起きる」とか、間違いではないけど漠然としすぎてて、何がどう変化するのか。「ヘマグルチニンに〜」は無理でも、せめて「タンパク質に切れ目が入って」とか。
2015-06-24 09:20:59インフルエンザウイルスが細胞内に侵入するときに起こっていること。
@Butayama3 ここでいう、「ウイルス表面のタンパク質」=「ヘマグルチニン(HA)」、「変化が起きる」=「開裂」です。 気道などにあるプロテアーゼ(トリプターゼクララとか)で、HAが開裂(一カ所、切れ目が入る)しておかないと、ウイルスが細胞内に取り込まれ(続
2015-06-24 17:36:30@Butayama3 承前)細胞内のエンドソームの中から、細胞質にウイルス遺伝子を遊離させようとするときに、HAが「上手い感じに」壊れてくれません。宿主のプロテアーゼの助けを借りずとも、この部分の切れ目が入りやすいのが、高病原性インフルエンザ。あの強毒性/弱毒性を決める部分。
2015-06-24 17:41:07HAに一箇所、「切れ目」が入っている状態ではないと、細胞に入った時にHAが「うまく壊れて」くれない。
インフルエンザウイルスの強毒性と弱毒性の違いは、このHAの壊れやすさにあったんですね。
@Butayama3 強毒型はHA開裂しやすいので、一つの細胞の中で新しく作られたウイルス粒子はそのまま体中のいろんな細胞に感染&増殖できる。弱毒型はそのままではHA開裂しにくて、気道で作られたものならプロテアーゼで開裂して周りの細胞に感染するけど、別の組織で作られたときは(続
2015-06-24 17:44:38@Butayama3 承前)周りに良いプロテアーゼがないから、ウイルス粒子が「成熟」せず、周囲の細胞には入り込んでも増えられない。それが弱毒性が(主に)呼吸器だけで増える理由。このように感染性の高さには、プロテアーゼが関係する(続
2015-06-24 17:46:26@Butayama3 承前)んで、このHAを開裂できるのは気道粘膜のプロテアーゼだけでなく、いくつかの細菌が持ってるプロテアーゼもそれが可能。今回のニュースは、歯周病菌の話だったけど、昔から黄色ブドウ球菌とか、いろんな菌で知られてた現象。(続
2015-06-24 17:48:12ここで最初のブドウ球菌が出てきました。
@Butayama3 承前)こういう菌がインフルエンザが増殖している場所に共存してると、HA開裂がおきやすい分、細胞に感染しやすくなってよく増えるので重症化しやすいといわれてきた。ただし肺炎増えるとかそんな感じ(感染しやすいウイルスが気道に多くなって肺まで届くリスク上がる)
2015-06-24 17:51:34ここでHAの開裂の様子を見てみましょう。
「インフルエンザウイルスの脱殻とHA開裂の図」 ちょい小さいが。左側は開裂してる場合、右側(1')は開裂してない場合。 pic.twitter.com/dBLhUsTdHH
2015-06-24 18:08:23下に描いてるのがHAの模式図(実際はこれが三つ集まった3量体)。(1)と(1)'の違う部分が、開裂してるかしてないか。開裂してると、HAの先端部分がエンドソーム内で外れ、そこから繋がるフュージョンペプチド(褐色部)がむき出しになる。これがエンドソーム膜に刺さって(続
2015-06-24 18:13:31承前)ウイルスのエンベロープとエンドソーム膜が近づき、膜融合して、エンベロープ内部にあったウイルスの中身(核酸)が細胞質に出て行く。
2015-06-24 18:14:48HAが開裂してないと、エンドソーム膜に刺さらない=ウイルス遺伝子が細胞質に行けない、で、そのままでいたらエンドソーム内部でウイルス粒子がまるごと消化&分解される。
2015-06-24 18:18:19こう、ジャッキで開けたみたいになるんですよね。