異国まとめ(私の分)
TLのガンジスがひょろわ~さんたちの素晴らしい異国パロで氾濫してるのを見て
生きるために旅人を襲う身よりのない少年たちの賊を束ねていた白銀の髪の少年がいつものカモだと思って襲った赤毛の男に返り討ちにあって…こう…「殺せ!」「死ぬくらいなら一緒にくれば」「後悔するぞ」「やれるもんならやってみろ」つって…最初は寝首をかくつもりが段々踊ることが楽しくなって…
2015-06-26 18:55:45白銀の髪の少年を慕う少年たちもなんだかんだで着いてきたので結果的に一座みたいになった 赤毛の男はもともとは神に仕えるシャーマンの一族でゆくゆくは一子相伝の神へ捧げる踊りを受け継ぐはずだったがその力に脅威を感じた大国に目を付けられて一族は離散、巫女たちだけが連れ去られたのだ…
2015-06-26 19:23:05「お前だけでも」とありったけの路銀を持たされて行商人の荷馬車に乗せられた幼い赤毛の少年が見た遠くに燃える故郷の集落は今も瞼の裏に焼きついて離れず、そのときの夢を見ては夜明け前に目を醒ます 神と通じる人々の血が流れている彼の体は正しく教わらずとも体を動かせば自然とその踊りになった
2015-06-26 19:32:16@bonguly 目を覚ますと、そこには白銀の少年が不安気に覗き込んでるやつじゃないですか…いつもは憎らしげに寝首をかきにきてるのに…
2015-06-26 19:40:39@yunokihana 「ねえ!!」「…寝首かくチャンスだったじゃん、何やってんの」「…苦しんでるやつの寝首かくなんて、かっこよくない」「バカだね」「なんだよ!?」「…バカ正直だね」
2015-06-26 19:52:10白銀の髪の少年はとても物覚えがよく、赤毛の男が踊る姿を見てその舞を覚えてしまった 赤毛の男にとってこれはひとり残された血を受け継ぐものとしての責任であったが、白銀の髪の少年にとっては良くも悪くも踊りは踊りでしかなく、次第にさまざまな歌を含んだショーの様相になっていった
2015-06-27 00:35:15始めは見よう見まねで始めた踊りに次第に夢中になっていく少年たちの姿を見て、赤毛の男は自分の責務に他人を巻き込んでしまうかもしれないという恐れと同時に、ずっと独りで抱えてきた心の重圧から少しだけ解き放たれるような そんな心地がしていたが、その心の有り様を言葉にする術を持たなかった
2015-06-27 00:47:22少しずつはぐれ者の集団が一座になってきている、そんな時だった たまたま立ち寄った水場で鎖の切れた手枷をつけたまま死んだように眠っている長身の男を見つけた 木陰からはみ出ている棒きれがその男の腕であったことに気付いたのは焚き付けを探して歩き回っていた白銀の髪の少年であった
2015-06-27 01:15:01「…タカ、こいつおかしい」「何が」「靴履いてない」「…逃げ出してきた奴隷かなんかかな、妙に小綺麗だけど」「それだよ」「?」「綺麗すぎる、足が。奴隷がこんな柔らかい足でいられるわけない、そうじゃなくたって昼間の地面を裸足で逃げてこんな綺麗な足なんてことあり得ない」
2015-06-27 17:45:06そんで目を覚ました長身の青年は記憶を失っていて自分の名前すら覚えていなかったんだけど、鎖の切れたの手枷に彫られた今は喪われたはずの文字の形に赤毛の男は見覚えがあった それは故郷の巫女たちが使っていた文字だったが、祈りのための文字は呪いの言葉を紡いでいた
2015-06-27 19:08:47もーーあれです!!赤毛の男の故郷から大国に連れ去られた巫女の中には神官見習いの少年が混ざっていました!!美しい顔立ちと豊かな黒髪のせいで少女と間違えられて連れ去られた!!!これが少年にとって幸いだったのか、あるいは不幸だったのか それはわかりません
2015-06-27 19:26:02大国は神々と繋がる一族の巫女たちの力を軍事利用しようとしていたんだけどそんなことを彼女たちにさせるくらいなら、と手違いとはいえ唯一連れてこられた男として幼い少年は気丈に言いました 「彼女たちの手が汚れてしまえば二度と神託を受けることは出来ません」「代わりにおれがやります、全部」
2015-06-27 23:18:51そうして呪術師になった黒髪の少年は、来る日も来る日も亡き故郷の祈りの文字で呪いを生み続けました それが己の故郷を焼いた連中がさらに他の国を焼くための刃になることだという事はわかっていましたが、必ず誰かが咎を負うのならそれは自分だけで十分だ、そう呟いて目を塞ぎ、心を閉ざしました
2015-06-28 02:40:47呪術師は砕けていく心とは裏腹に美しい青年へと成長しました どこか深い諦観を感じる瞳には退廃的な魅力がありました そんなある日、呪術師は王の妾の子だと言う長身の青年と出会いました 軽薄そうな見た目とは違い心優しく思慮深い青年で、その出会いは彼の心に少しの安寧をもたらしました
2015-06-28 03:07:14「おれの仕事知ってるだろ、あんまり近寄ると穢れが移るぞ」「おれ、半分は召使いの子なんだ。兄様たちとは話せないし、残り半分の王の血のせいで召使いたちにも腫れ物みたいに扱われてる。半端者なんだよ」「……」「よかったら友達になって」「…半端者っつーか、変わり者だ」「はじめて言われた」
2015-06-28 11:30:52幼くして親族を奪われて以来年の近い同性の友人などただのひとりも居なかった呪術師は、青年と話している時だけはただの少年だった頃に戻れるような気がしていました 「呪術師」に心を許す親しい友人が居ることに危うさを感じる人間がいること、それに気付いた時にはもう、言い逃れるには遅すぎました
2015-06-28 11:43:20とある禁呪がありました。それは力の及ぶ規模もさることながら、術士の親しい人間を贄にする必要がある呪いでした。存在を知る者はそう多くありませんし、扱える者も限られています。一体どこでそれを王が知ったのかはわかりません。一体どれほどの力なのか、利用価値はあるのか。純粋な興味でした。
2015-06-28 18:24:36手枷に見覚えはあります 呪術師自身が作ったものです 連れてこられた贄の顔にも見覚えがあります たったひとりの友人です 何の慰めなのかはわかりませんが、巫女達は彼の足に香油をすり込んでいました 呪術師は己の短慮を呪いました しかしもう反省するには時は遅く、彼の心は決まっていました
2015-06-28 18:38:19深夜、準備があると言って人を払った贄の元に呪術師はいました 振り下ろした重い手斧が鈍い音を立てて断ち切ったのは、青年の手枷の鎖でした 「どうして」「逃げるんだよ」「無理だよ、ふたりでなんて逃げ切れるわけない」「無理だろうな、ふたりじゃ」「じゃあなんで」「ひとりだけなら逃がせる」
2015-06-29 01:33:31このあと「駄目だ嫌だおれが逃げたらお前は」って騒ぐ青年に呪術師は静かに「記憶を失う」って呪いをかけて倒れた青年を水鏡を使ったワープ(?)でどこかの泉に転移させて波紋の消えた水鏡を見つめながら「ありがとう、ありがとう、ごめん」ってつぶやいてるシーンで場面転換して一座に戻りますんで
2015-06-29 01:52:41
手枷の青年はあの泉で見つかるまでのことは何も覚えていなかったが、気立てのよさも手伝ってすぐに一座の少年たちと仲良くなった。昼間は楽しそうにじゃれつかれては笑っていたが、夜深くの時間には眠りながらも静かに泣いていることに気が付いたのは、いつもの夢に目を醒ました赤毛の男であった。
2015-06-30 01:53:32