歯科医師法第17条違反(無免許歯科医行為)の判例から保健衛生上危害を生ずる「おそれ」を裁判官がどう判断したかを考え、医業類似行為で問題になる、人の健康に害を及ぼす「おそれ」を考える。

まとめ主は歯科医療関係者でも、法律関係者ではありません。 鍼灸マッサージ師です。 医業類似行為の法律に関して色々まとめています。 で、医業類似行為の禁止処罰に必要な「人の健康に害を及ぼす虞(おそれ)」を歯科医師法第17条の裁判から考えてみる。 続きを読む
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2015/07/26追加
このまとめで紹介する判例は後の、柔道整復師による診療放射線技師法違反の最高裁判決でも引用され、影響は歯科医師法だけにとどまりません。

びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

柔道整復師によるレントゲン撮影(診療放射線技師法違反)に関し、歯科医師法違反の大法廷判決を引用してるのねん。courts.go.jp/app/files/hanr…

2015-07-26 04:00:06
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

そのレントゲン撮影の判決に引用されているもう一つの最高裁判例も歯科医師法違反の判例。courts.go.jp/app/files/hanr…

2015-07-26 04:06:41
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

というわけで、医業類似行為の判断にも歯科医師法違反の大法廷判決は参考にされるはず。 特に裁判官が11人もHS式療法と同じなのよ。 pic.twitter.com/tlPtH3yIzX

2015-07-26 04:10:32
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↑ここまで追加分


びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

歯科医師法の判例ではあるが、 "歯科医師法一七条、二九条一項一号が、所論のように明らかに患者に対し保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為のみに適用されるとの限定解釈を施さなくても、右憲法条項に違反するものでない" と最高裁が昭和59年6月19日に判示してるからな。

2015-07-01 00:41:34

 弁護人松本健男、同田中泰雄の上告趣意のうち、憲法三一条、二二条一項違反をいう点は、印象採得、咬合採得、試適、装着等は、歯科医業に属するものであり、歯科医師でなければ何人もこれを行うことができないとすることが憲法三一条、二二条一項に違反するものでないこと、及び、
歯科医師法一七条、二九条一項一号が、所論のように明らかに患者に対し保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為のみに適用されるとの限定解釈を施さなくても、右憲法条項に違反するものでないことは、いずれも当裁判所の判例(昭和三三年(あ)第四一一号同三四年七月八日大法廷判決・刑集一三巻七号一一三二頁)の趣旨に徴し明らかであるから、所論違憲の主張は理由がなく、判例違反をいう点は、所論引用の判例は事案を異にし本件に適切でなく、その余は、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。


引用判例はHS式無熱高周波療法の最高裁判決のことであろうか?

まとめ HS式無熱高周波療法の裁判:最高裁差し戻しまで。 医療系国家資格を持たず、HS式無熱高周波療法を業としていた者があん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法第12条違反(医業類似行為の禁止)に問われた裁判。 最高裁はこの事件で医業類似行為の禁止処罰を「人の健康に害を及ぼす虞のある行為」に限局する旨を判示。 そのため整体師やカイロプラクターなど、医療系国家資格を持たない者が業務を行う上で、自らの合法性の根拠とする判例である。 どのようにHS式無熱高周波療法が「人の健康に害を及ぼす虞のある行為」と認定され、有罪と判断されたかを検証し、現在の整体やカイロプラクティックといった無免許施術が本当に合法なのかを検討する。 この事件は 平簡裁:昭和28年4月16日 仙台高裁:昭和29年6月29日、昭和28年(う)375号 最高裁:昭和35年1月27日、昭和29年.. 5369 pv 8 1 user 5
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

HS式無熱高周波療法の鑑定が必要だったのはデータがなかったため、とも言える。同じような手技療法で、事故情報が公的機関に集積されている場合、人の健康に害を及ぼす虞の有無について鑑定が必要かね?

2015-06-30 16:16:02
リンク www.jikojoho.go.jp 事故情報データバンクシステム 65 users 132
まとめ HS式無熱高周波療法裁判:差し戻し控訴審ー裁判所はどのようにして「人の健康に害を及ぼす虞」を判断したかー 医療系国家資格を持たず、HS式無熱高周波療法を業としていた者があん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法第12条違反(医業類似行為の禁止)に問われた裁判。 最高裁はこの事件で医業類似行為の禁止処罰を「人の健康に害を及ぼす虞のある行為」に限局する旨を判示。 そのため整体師やカイロプラクターなど、医療系国家資格を持たない者が業務を行う上で、自らの合法性の根拠とする判例である。 どのようにHS式無熱高周波療法が「人の健康に害を及ぼす虞のある行為」と認定され、有罪と判断されたかを検証し、現在の整体やカイロプラクティックといった無免許施術が本当に合法なのかを検討する。 前回のまとめ( http://togetter.com/li/835309 )では最高裁の差し戻し判決まで解説しました。 最高裁の差し戻し判.. 13714 pv 19 1 user 1
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

HS療法の最後の裁判(最高裁による上告棄却)の判断で、”原判示のように人の健康に害を及ぼすおそれのあるものであることを認定すれば必要且つ十分であつて、所論のように低周波説、高周波説のいずれに基づくものであるかを判示することは必要ではなく、”と言ってるのな。#医業類似行為

2015-06-30 16:13:18
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

つまり理論なんかどうでもいい、実際に人の健康に害を及ぼす虞があれば処罰するのに充分、というわけだ。

2015-06-30 16:14:26
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

歯科医師法の第17条に関し、最新の最高裁判例でも昭和33年(あ)411号を引用してるので眺めてみよう。courts.go.jp/app/hanrei_jp/…

2015-07-01 02:55:10
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

歯科技工士が歯科医の指示なしに義歯を作った事件です。

2015-07-01 02:57:42
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

“けだし、施術者は右の場合であつても、患者の口腔を診察した上、施術の適否を判断し、患部に即応する適正な処置を施すことを必要とするものであり、その施術の如何によつては、右法条にいわゆる患者の保健衛生上危害を生ずるのおそれがないわけではないからである。

2015-07-01 02:58:49
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

“されば、歯科医師でない歯科技工士は歯科医師法一七条、歯科技工法二〇条により右のような行為をしてはならないものであり、そしてこの制限は、事柄が右のような保健衛生上危害を生ずるのおそれなきを保し難いという理由に基いているのであるから、”

2015-07-01 03:00:06
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

“これを以て職業の自由を保障する憲法二二条に違反するものと解するを得ないのは勿論、同法一三条の規定を誤つて解釈したものとも云い難い。”

2015-07-01 03:00:38
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

“保健衛生上危害を生ずるのおそれがないわけではない”,”保健衛生上危害を生ずるのおそれなきを保し難いという理由に基いている”

2015-07-01 03:03:51
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

おそれがない=0,とすると”0ではない”,”0を保し難い”というわけですな。

2015-07-01 03:05:28
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

さて、この歯科医師法の大法廷の裁判、HS式無熱高周波療法の最初の最高裁判決と時期が近く、14人の裁判官のうち、11人がHS式無熱高周波療法の裁判も審理しています。で、3人がHS式では反対意見(人の健康に害を及ぼす虞の判断は不要)を述べている。

2015-07-01 03:07:13