「この中にいる!」がすごいっぽい。
- kumagoro_h
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ひげさん本人が書いていたけど、「この中にいる!」は実はかなりよくできたゲームポエムなのね。ゲームポエムを行為の批評と捉えたときにとても鋭い。惜しむらくはそれをちゃんと評価できる人が(わたしも含めて)いないこと。
2015-07-03 01:37:19.@saitom11 例えば時系列。まず、プレイヤーの時間とキャラクターの時間は一回も同期しない。前半と後半で時間の流れ方が変わるので単純に考えて、4つの時間(前半PL 前半PC 後半PL 後半PC)があるわけです。ああ、これ、ちゃんと図にしたい。
2015-07-03 01:43:19.@saitom11 それから前半の能動的犯人追求型と後半の受動的真実巻き込まれ型ではまったく違う楽しみがある。前半はビッドして、後半はレースの流れを見守るようなおもしろさ。
2015-07-03 01:47:28.@saitom11 プレイヤーとキャラクターが完全に分離しているのがこのゲームの特徴でもある。メタ視点はクトゥルフなんかではおなじみだけど、これに時間の流れが加わること、幽霊というメタ内メタが出てくること。これでかなり複雑な構造になっている。
2015-07-03 01:51:09.@saitom11 ひげさんのすごいところはこれを全部直観でやってるのね。だから、本人にも細かいところは言えない。でも構造としてはものすごく複雑。
2015-07-03 01:53:07.@saitom11 これ、まじめに読み解こうと思ったら、ひげさんロングインタビューがいると思う。ゲームを長くやってきた人のアクロバティックな快作。
2015-07-03 01:54:47この中にいる! 最後に幽霊が出てきて真犯人を(PLレベルで)告げた後、話が続くのが、ポイントなんだよね。真犯人が分かった後は、PLが「真犯人をとらえさせたいかどうか」の判断に迫られるから。
2015-07-03 15:36:20「後期クイーン問題」というのがある。「探偵が犯人に騙されている可能性がある。だから、犯人をつかまえられなかった可能性を排除できない」という。この中にいる!はそのパロディみたいな感じなんだ。つまり、「犯人は正確にわかっている。けれど、犯人を捕まえるかはPLの任意である」と言う。
2015-07-03 15:46:44念の為2つ並べとくね。接続詞や未確定/確定(~かもしれない/~だ)含め逆になっているのがわかると思う。 「探偵が犯人に騙されている可能性がある。だから、犯人をつかまえられなかった可能性を排除できない」 「犯人は正確にわかっている。けれど、犯人を捕まえるかはPLの任意である」
2015-07-03 15:49:45めんどうくさいことを言うと、これは小説の確定形に対して、ゲームの未然形をうまく活かしているの。だいたい小説と言うのは構成とか落ちがあるもので、これは落ちも何もなく、「犯人を見つけてもいいし見つけなくてもいいんだなー。そこは話しながら決まっていくでしょうー」みたいないい加減さ。
2015-07-03 15:53:31いわゆる盛りゲーみたいなありがちなストーリーに行かないのもうまい。ミステリーで良く見る設定のため、たいていの人は犯人探しに行ってしまうんだ。犯人探しに行くと結末は「犯人が捕まるか/捕まらないのか」のきわめてゲーム的な2肢になる。
2015-07-03 16:03:38ミステリーと言うジャンル・構造の力はかなり強い。感動や人間ドラマがあっても殺人事件が起きて犯人探しが起きれば、「ミステリー」というジャンルに入れられがちだ。このゲームは時間の短さもあって、ミステリーの枠から出られない。
2015-07-03 16:06:16それはつまり、この話が感動ドラマや人間ドラマになることを阻止しているってことなんだ。解決はあくまでゲーム的なものになる。たとえ短い間に感動ドラマのような展開が起きようとも、それはせいぜい感動ドラマのパロディにしかなりえない。時間的制約があるから。うまいね。ゲームはゲームである、と
2015-07-03 16:08:24あと、ミステリーにおけるメタと比較するとかするとおもしろいと思うんだけど……。それはわたしの力量を超えている。このゲームはメタが初期状態なのね。小説がベタ(没入)の上にメタを仕込んでいかないといけないのとは対照的。
2015-07-03 16:11:15そんなわけで、このゲームは考えれば考えるほどおもしろいんだけど、わたしの力量では限界が……。誰かもっとミステリーに詳しい人にきっちり構造解析してほしい。そして、また、このゲームそんなこと考えなくて楽しく遊べます。混沌として楽しい時間が過ごせます。
2015-07-03 16:12:43わたしのように半分文芸とか詩とかにに片足突っ込んだ人間じゃこの良さは語れないんだよー。ゲームのゲーム性に関する重要な作品なので、誰か分析してほしい。
2015-07-03 16:14:02ああうん、でも、「この中にいる!」は、TRPGサイドだと遊びづらい会話と演技の遊戯であるところのゲームポエムを、日本語使用者の領分でうまいこと表した作品だと思うし、たぶん究極的にはクイーン問題なんか知らないドメスティックな集団で遊べる環境を呉れる道具だと思う。いや勘だけど。
2015-07-03 16:21:05えーとね、例えばYesやNoの使用に関する曖昧さをかかえた日本語の使い手であっても、集団で推理し演繹し妄想し判断または決断する過程を事故抜きで遊びにできるし、それは「ウミガメのスープ」ではしばしば頓挫することなんだよ。
2015-07-03 16:23:53確定形の物語は、全体構造があって、それをきれいに整えようとしちゃうんだ。そして、いつ派生した習慣なのか知らないけど、たいていの場合、確定形の物語に流れるのは直線的時間なんだよね。人は産まれ、生き、やがて老いて死ぬ、のような直線的時間。非神話的な時間と言ってもいい。有限な時間。
2015-07-03 16:37:01「この中にいる!」が抱える遊戯としての一番おおきな問題は、遊びの楽しさが幽霊担当者の話術にかなり大幅に左右されるところなんだろうなと思ってる。なにせ幽霊こそがパラダイムの決定者になるからな。
2015-07-03 16:42:28