毎日新聞「疫学調査:低線量でも白血病リスク 国際がん研究機関」について

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疫学調査:低線量でも白血病リスク 国際がん研究機関

毎日新聞 2015年07月02日 10時45分

 低線量の放射線を長期間にわたって浴びることで、白血病のリスクがごくわずかだが上昇するとの疫学調査結果を、国際がん研究機関(本部フランス)などのチームが英医学誌ランセット・ヘマトロジーに発表した。

 リスク上昇が非常に小さいため、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に基づいて政府などが定める被ばく線量限度の再検討は必要なさそう。ただ一定の線量を超えないと健康影響は出ないとする考え方は見直しを迫られそうだ。

 チームは過去約60年間、フランスと英国、米国の原発や核燃料施設などで1年以上働いた約30万8300人の健康状態と被ばく線量の関係を統計的に分析した。

 結果は、被ばくがなくても白血病を発症する可能性を1とする「相対リスク」を考えた場合、1ミリシーベルトの被ばくごとに相対リスクが1000分の3程度上昇するという内容。100ミリシーベルト以下の低線量でもリスクはなくならないとした。

 作業員の年間被ばく線量は平均1.1ミリシーベルト、積算線量は平均15.9ミリシーベルトで、531人が白血病で死亡。リンパ腫なども調べたが、明確なリスク上昇は確認できなかった。

 ICRPは100ミリシーベルトを超すと発がんリスクが高まると指摘。それより低い線量では、健康影響を懸念する専門家と、心配ないとする専門家で意見が分かれている。

 今回の研究費は、米エネルギー省や日本の厚生労働省などが拠出した。(共同)
http://mainichi.jp/select/news/20150702k0000e040209000c.html


ryugo hayano @hayano

疫学調査:低線量でも白血病リスク 国際がん研究機関 - 毎日新聞 mainichi.jp/select/news/20… 論文はこれ→ thelancet.com/journals/lanha…

2015-07-02 13:04:30
buvery @buvery

@hayano ランセットの論文を読むと、30万人の労働者を追跡し、対象期間での死亡が6万6千、そのうちの白血病・リンパ腫のみの死亡が531。この論文では、『慢性リンパ球性白血病を除く白血病』という分類を作っていますが、

2015-07-03 19:15:07
buvery @buvery

@hayano そのカテゴリのみ、有意に放射線により死亡が増加している、と主張しています。しかし、図表をよく見ると、 img.ly/C9UT 有意差のあるのは、慢性骨髄性白血病の死亡100人のみで、それがERR/Gy だという主張です。

2015-07-03 19:17:03
buvery @buvery

@hayano 30万人の調査と言っていますが、本質的にこの結論を出しているのは、慢性骨髄性白血病の100人のデータのみ。今回のが正しいとすると、『30万人で100人弱死亡する比較的稀な病気が、100mSvで100人ほど増えるかも(他の白血病・リンパ腫は有意差なし)』です。

2015-07-03 19:23:19
buvery @buvery

@hayano この論文は、白血病全般や、リンパ腫全般が被曝で増えると主張したものではありません。わたし的には、このくらい点の数が少なければ、全点打てると思うので、それをグラフにしてもらいたいのと、年10mSv程度なら、医療被曝をどう調べたのかを知りたいところです。

2015-07-03 19:25:48
buvery @buvery

@hayano さっきの『ERR/Gyだという主張です』というのは、『ERR/Gy = 10 程度という主張です』の誤りです。意味不明の語句になってすみません。

2015-07-03 19:30:26

※過去ツイより語彙説明拝借

buvery @buvery

『ERR/Gy が10』という意味は、『1Gy (=1Sv、ヨウ素131なら)の*甲状腺への等価線量*あたり癌の比率が10倍増える(=11倍になる)』ベラルーシでの小児甲状腺癌は事故前、10万人あたり0.03-0.05 (p132, ibid) RT @amneris84: 出典

2011-08-14 19:29:44

Joss Fat @jossfat

「低線量でも白血病リスク」Lancet Haematology論文のSupplementaryに載っている相対リスクのデータを見てみる。横線はRR=1。エラーバーは90%CI。 pic.twitter.com/GMHfmW75UF

2015-07-04 13:14:07
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正面図 @MajiDESCA

先日の共同通信が出本にした論文からでしょうか? これについては、私も毎日新聞の記事を読んで、定量的に考えないとミスリードになる旨をTWいたしました。ご紹介の論文補遺にあるグラフからでは、相関関係は目を凝らさないと…。 @jossfat

2015-07-04 19:58:04
Joss Fat @jossfat

@MajiDESCA はい。線量応答関係が最も確からしいCMLでさえ、論文でいう「低線量」領域と日本の公衆における現存の状況とはかなり隔たりがあると思いました。

2015-07-04 20:49:48


AML:急性骨髄性白血病
ALL:急性リンパ性白血病
CML:慢性骨髄性白血病
CLL:慢性リンパ性白血病

リンク Wikipedia 白血病 白血病(はっけつびょう、Leukemia)は、「血液のがん」ともいわれ、遺伝子変異を起こした造血細胞(白血病細胞)が骨髄で自律的に増殖して正常な造血を阻害し、多くは骨髄のみにとどまらず血液中にも白血病細胞があふれ出てくる血液疾患である。白血病細胞が造血の場である骨髄を占拠するために造血が阻害されて正常な血液細胞が減るため感染症や貧血、出血症状などの症状が出やすくなり、あるいは骨髄から血液中にあふれ出た白血病細胞がさまざまな臓器に浸潤(侵入)して障害することもある。治療は抗がん剤を中心とした化学療法と輸血や

--*まとめ公開後のbuveryさんによる補足

buvery @buvery

togetter.com/li/843477 この論文は『低線量』で『白血病のリスク』が上がるといっている論文じゃないんです。逆に、この論文では白血病もリンパ腫もほとんどは『上がりません』。上がるのは、白血病のうちのCMLだけです。@nanasi0003

2015-07-06 05:45:33
buvery @buvery

しかも、@jossfat さんご指摘のように、CMLでも有意差が見られるのは、250mSv以上の場合だけです。しかも、この論文では『有意差を、90%CIで定義』していて、通常のように『95%CI』で定義すれば、有意差なくなっちゃうのではと思います。@nanasi0003

2015-07-06 05:48:08

--*参考

「LSS集団においては、急性および慢性の骨髄性白血病と急性リンパ球性白血病のみにリスクの増加が認められている。成人T細胞白血病(長崎では低い頻度で生じているが、広島ではほとんど発生していない)や、慢性リンパ球性白血病(西欧諸国とは極めて対照的に日本では非常にまれ)にはリスクの有意な増加は認められていない。」