Twitter小説『きのうのこと。』
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【12月9日木よう日】きのうのことです。ママと かいものにいったら、ちかくにいくと うごく サンタの おもちゃがあって、みおはすごくびっくりして、うしろにいたおばさんにぶつかってしまいました。そのおもちゃはうたも うたいます。おばさんは わらて ゆるしてくれました。
2010-12-29 23:57:53【12月11日金よう日】きのうのことです。ママもパパもおそいので、ばあばがきてくれました。ばあばに「もうすくクリスマスだね」といいました。「みおちゃんはサンタさんにぷれぜんとなにかおねがいしたの?」ともいいました。みおは「まだきめてない」ってこたえました。
2010-12-29 23:58:20【12月15日水よう日】きのうのことです。ママにクリスマスの はなしを したら、みおちゃんは サンタさんに なにおねがいするの? とばあばにきかれたのと おなじことを きかれました。みおはないしょ、とママにいいました。
2010-12-29 23:59:00【12月20日月よう日】きのうのことです。ママはあたまが いたい といって、げんきがありません。みお はとてもしんぱいです。でも、ママはへいきよ、といいます。ママはよくあたまがいたくなるみたいです。みおがおいしゃさんになって、なおしてあげられたらいいのになぁ。
2010-12-29 23:59:39【12月22日水よう日】きのうのことです。ママはずっとあたまがいたいようです。しんぱいです。パパはずっとおしごとがいそがしくて みおがねるころに おうちにいません。ママは はやくかえってきてほしいみたいです。そうしたら あたまがいたいのも なおるんじゃないかとおもいます。
2010-12-30 00:01:17【12月25日土よう日】きのうのことです。あさおきたら、まくらのところにぷれぜんとがおいてありました。みおはなにがほしいかいわなかったのに、ちゃんとほしかったものだったのでふしぎです。やっぱりサンタさんはいるのです。パパはずっとあえていないので、パパではありません。
2010-12-30 00:01:58でもママがずっとげんきがないのは、サンタさんにもどうにもできないのかなぁ。パパのおしごとがいそがしくなくなればいいとおもうけど、しごとがいそがしいのはいいことだともいいます。みおにはそれがよくわかりません。サンタさんにはママがげんきになるようにおねがいすればよかったとおもいます。
2010-12-30 00:02:48「何、これ」「何これじゃないわよ、通信簿。小学校に入って初めてもらったんだから、ちゃんと見てよね」「通信簿じゃなくて、この日記みたいな方だよ」
2010-12-30 00:03:53「ああそれは『きのうのこと』っていうの、書いて出すと担任の先生がコメントを書いて返してくれるんですって。宿題で出ることもあるんだけど、みお意外と筆マメみたいで、冬休みになっても書いてるのよ。微妙に日本語間違ってるのがまた、可愛いのよね」
2010-12-30 00:03:59「どうなったの」「どうって」「言わせる気?例の…会社での対応よ」「ああ…女性の方が異動」「貴方には、何もなし?」「厳重注意だけ」「相手の方、かわいそう」「随分と嫌味ったらしく聞こえるよ、その言い方。」「責任転嫁するようなこと言わないでよ。私まだ、許してないわよ」
2010-12-30 00:05:12険悪な空気が流れる。今回ばかりは、私がすべて悪いのだった。理屈ではわかっている。わかっているが、どうしても自分を正当化したくなるあたり、我ながらしょうもないとは思う。思うが、果たして妻に一切の責任がないと言えるだろうか、などとこれまたしょうもない理論を展開させたくもなる。
2010-12-30 00:05:37だが、愛娘のみおにそうした夫婦の事を薄々感づかれているかと思えば、しょうもない私でも、流石に胸が痛み、反省もするのだ。すぐに目の付くテーブルの上にみおの日記を置いておくあたり、妻も巧妙だとは思う。けれどそれが堪えるのだから、私もまだ父親としての道は完全には踏み外していないはずだ。
2010-12-30 00:06:48「温泉」「何?」「温泉に行きたいわ、みおと三人で」「それだけで、いいんですか?」「なんで急に敬語になるの?」「いや…すまん、心底反省してる。俺が悪かった」溜息を吐いて、妻は何か考えるような顔をしている。
2010-12-30 00:07:31