学生レオエンまとめ

高校生設定で、優等生でナード(ブレイン)的な立ち位置のえんちゃんと、ジョック位置のテグンさん
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mero @NNNNN_star

自分自身は”大勢に囲まれて”とか”たくさん友人が欲しい”とかはないけれど、生まれ持った美貌と運動神経、また、親しくなるまでは多くを語ることはないけれど、芯を持った優しさを持つテグンは学校で一二を争う有名人。妬まれることはあれど、嫌うものは殆どいなかった。テグンは自分の周りに人が

2015-06-16 21:44:55
mero @NNNNN_star

集まることをあまり好んではいなかったが、特に気に掛けることもなく放っておいたために、いつしかテグンの周りには取り巻きに似た集団ができていた。  そんなテグンと正反対の生活を送っていたハギョンにとって、テグンは雲の上のような存在だった。ハギョンは成績優秀ではあったが、その他には

2015-06-16 21:47:09
mero @NNNNN_star

特に特技といえるようなことも、目立った特徴もなかった。黒髪で重たく長い前髪でそもそも目元が見えないのに、連日の勉強のせいで視力が落ちたために、冗談のように厚いレンズの眼鏡をかけていた。教師には優等生だと褒められたが、友人と呼べる存在はいなかった。同級生はハギョンの外見と成績で

2015-06-16 21:50:19
mero @NNNNN_star

ハギョンの内面までを決めつけ、近寄ることをしなかった。ハギョンにとってそれは寂しいことだった。しかし生まれてこの方、そういう生き方しかしてこなかったために、その状況には慣れきってしまっていた。勉強は苦ではないし、ちゃんと社会からは認められている。このままいけば将来の見通しは悪くな

2015-06-16 21:52:33
mero @NNNNN_star

い筈だ。そう言い聞かせて、毎日殆どの時間を予習・復習に費やした。そんな味気のない生活の中、ハギョンの楽しみは勉強の合間にに、好きな歌手の歌を聴くことだった。そうしているときは、自分も普通の高校生と変わらないように思えたから。あのチョン・テグンも、もしかしたらこの曲を聴いてるかも

2015-06-16 21:56:51
mero @NNNNN_star

しれない。そう思うと、少しだけ胸が暖かくなった。しかし、ふと鏡に映った自分は、チョン・テグンのような華やかさは一切ない、お化けのような真黒な長い前髪の暗い男だった。 憧れるだけ、無駄なんだ。どうやったって、あんなキラキラした人間にはなれないし、話すことだってできない。

2015-06-16 21:58:50
mero @NNNNN_star

僕は、一生このままなんだ。 そう思うとさっきまでの暖かさが嘘のように、気分が重くなった。しかし、それを慰めてくれるような友人もいなければ、不安を話すこともできない。ハギョンは自分に嘘をついてでも、今のままの生活を続けるしかなかった。 そうしなければ、孤独で押しつぶされそうだった。

2015-06-16 22:01:38
mero @NNNNN_star

テグンは今の生活をどうにか変えたかった。 特に気にもしていなかったが、気付けばテグンの周りにはある一定の人数の人間が常にいた。最初はテグンの好んで飲んでいるカフェラテやら、購買で人気の菓子パンやらを持ってくるものだから、好意に甘えていただくことにしていたが、どうやら日に日にその数

2015-06-16 22:08:11
mero @NNNNN_star

@starlight_tehyが増えているのだ。テグンが少し移動するたびに後ろについてまわられるので、身動きがとりにくくて仕方がないし、正直ひとりになりたいときまでこうついてまわられると調子が狂う。おそらくは、テグンが入学早々1年生にしてサッカー部の準レギュラー になったことに

2015-06-16 22:10:21
mero @NNNNN_star

@starlight_tehy 関係しているのだろうが、これまでの生活から見ても、今の状況は異常だった。まるで少女漫画だ。 はぁ、と小さく溜息を吐けば「どうしたの?」と横にいた香水のきつい女子が尋ねてきたが、聞こえないふりをした。最近はこうして授業の合間の10分間の休憩ですら絡ま

2015-06-16 22:13:42
mero @NNNNN_star

@starlight_tehy れている。多少の愛想をまくこともできなくなってきて、机の上に突っ伏して寝てしまうことにした。きゃあきゃあと不満に似た言葉を吐きかけられていた気がしたが、耳に入れないようにする。 10分しかないので、本当に寝てしまうわけにはいかなかったのだが、

2015-06-16 22:15:48
mero @NNNNN_star

@starlight_tehy うとうとと、眠気が襲ってきた。早朝から練習をし、授業が終わった後はソ足までまた練習する生活だ。少しの時間でも寝ていたかった。 「きゃっ!何?!」 殆ど寝かけた頃に、先程とは少し声色の変わった女の声がした。うっすらと目を開けて様子を伺うと、女の横に

2015-06-16 22:19:06
mero @NNNNN_star

@starlight_tehy チャ・ハギョンが立っていた。前髪と眼鏡のせいで表情は窺えなかったが、どうやら困っているようだ。 「びっくりさせないでよ!お化けかと思った」 あまりに失礼な物言いだったが、周りの同級生はどっと笑っていた。 「そんなこと言っても、そこ僕の席だよ」

2015-06-16 22:21:49
mero @NNNNN_star

@starlight_tehy 香水女の座っている机はチャハギョンのものだった。休憩が終わるころに席に戻ろうとしたら、座れずに声をかけたんだろう。ハギョンに何も非はなかった。 「あ、そうだったっけ?暗くて見えなかった、ごめんね」 なにが可笑しいのかクスクスと笑いながら言う女は、

2015-06-16 22:24:14
mero @NNNNN_star

@starlight_tehy 先程までテグンに猫撫で声で話していた女と同一人物とは思えなかった。ハギョンは何も言わずに俯いている。 「おい」 「え?テ、テグン?」 いい加減苛ついてきたテグンが身体を起こして声をかけると、女は明らかに動揺した様子を見せた。

2015-06-16 22:28:16
mero @NNNNN_star

@starlight_tehy 「明らかにお前が悪いだろ。ハギョンに謝れよ」 「えっ…でも」 「まだわからないのか?」 ギロリと横目で睨み付けると、女は怯えたように肩を竦め、小さく謝った。 ハギョンはまだ困ったようにおろおろとテグンと女を交互に見ている。 「お前も、はっきり言えよ

2015-06-16 22:31:44
mero @NNNNN_star

@starlight_tehy 馬鹿にされたくないなら、ちゃんと言わなきゃダメだろ」 「…ごめん」 ハギョンは蚊の鳴くような声で呟いたが、何故だかテグンは複雑な気分だった。欲しいのは謝罪などではないのに。苛々を隠さずにハギョンに背を向け頬杖をつくと、丁度始業時間で教師が入って

2015-06-16 22:35:49
mero @NNNNN_star

@starlight_tehy きた。慌ててテグンの周りも席に着き始める。その騒音の中、不意にブレザーの袖を引かれた。ハギョンだった。 俯いていて顔が見えなかったが、テグンが振り向いたことに気付くとぱっと顔を上げる。瞬間前髪の間から見えた小さな顔は赤く染まっていた。初めて見る

2015-06-16 22:38:54
mero @NNNNN_star

@starlight_tehy ハギョンの表情に驚きで固まっていると、 「さっきは、ありがとう」 それだけを言うと、すぐに教壇を向いてしまった。相変わらず目は見えなかったけれど、口元は確かに笑っていた。テグンは授業が始まっても、少しの間ハギョンから目が離せなかった。ハギョンがまた

2015-06-16 22:41:31
mero @NNNNN_star

@starlight_tehy 耳元を赤く染め、呆れた教師が声をかけてくるまで。 おかしなことにさっきまでの苛々はなくなって、それどころかほんの少しあたたかい気持ちだった。 ただ、それが何故なのかはわからなかった

2015-06-16 22:43:42