「オーズ界秘境探検」第2章「次元城(仮称)と24匹のデモンズケルベロス」(上、幕間)――twitter詩小説「レッズ・エララ神話体系」中世編「時雨とエヴィルシリーズ」
- modernclothes24
- 1132
- 0
- 0
- 0
――詩小説、レッズ・エララ神話体系、中世編「時雨とエヴィル」 「オーズ界秘境探検」、第二章「時空城(仮称)と24匹のデモンズケルベロス」
2015-07-13 09:07:55エンドダン先端観測街は常に霧に覆われている。さぞ湿気多かろうと思うが、街を取り囲む樹木が水に飢えてしょうがない地域から召喚されてきた植物なので、すーぐに水気をすいとってしまう。よって意外と快適である。だがそれを踏まえても、磁気と瘴気が混じった霧……これもこの街の風流である。1
2015-07-13 09:09:46ミシェとゼンソンは、ふつうこういう場合だったら「泊まっていきなさいな」というものであるが、二人はそれを言いかけてやめた。というのも、この博士自宅/研究所は手狭で、二人ぶんしか居住スペェスがないからである。それに……「愛の巣は小さいからこその青春なのよ」「アッソウ」白目青年。2
2015-07-13 09:13:27ちゅうわけで、防人&博士馴染みの宿を教えてもらって、今日はそこで一晩を明かした。そして、明朝、さっそく時雨とエヴィルは、落ちてきた城に向かって歩き出す。街を離れる……!森はいよいよ鬱蒼としてきて、人の侵入を阻むかのようである。それを適当に薙いで進む二人。3
2015-07-13 09:15:08途中、骨をも喰いちぎろうとするフレイムドッグや、体中がサビている鉄怪鳥や、めっちゃでかい食人植物がわんさと襲ってきたが、この二人であるから、あっという間に倒す。雑魚はザコ……。しかし足元が悪く、草も邪魔をするので、なんか戦いにくいな、と思う時雨だった。これが剣術感覚よ。4
2015-07-13 09:17:36あんまりにあんまりなほど道がひどかったら、エヴィルが炎熱魔法で道を切り開く。この青年の魔力は無尽蔵なので、このくらいアサメシマエである。とりあえず、城まではキャンプを一回張って野宿した程度でついた(わりに慎重に歩を進めたのだ)5
2015-07-13 09:19:03城……仮にこの城の名前を次元城とするが、空中の次元ゲートからズズズズンと落ちてきたから、当然ながらめっちゃボロボロである。あたかもデコレーションケーキが餓鬼のミスにより壊れたかのようだ。あちらこちらの尖塔がボキっと中折れしてる。森の中の廃墟…… 6
2015-07-13 09:21:02さて探検するか、と思った二人であったが、その思いとは裏腹に、すぐに人が出てきた。甲冑に身を包んだ騎士である。「あ、あなたたちは……」「探検者」ミニマルな受け答えの青年。「探検者……?」「ほら、この城ここに落ちてきたやん」「そう、それなのです!状況を教えて頂けますか……!」7
2015-07-13 09:23:14ここで教えないのもある種の阿呆のので、手短に状況――それなりに危機的なマヨイガ的状況を教える。ミシェから教えてもらった理論と一緒に。この騎士は学があるらしく、一発でわかった。「なんという……我々はもとには戻れないというわけですか……」「100%不可能ではないが、超努力マスト」8
2015-07-13 09:25:10「ところでどこから来たのですか。ジグレッドラス渓谷の周辺だったらまだ話は早いんですが」時雨が聞く。「じ、ジグレッドレス渓谷……!」驚愕がさらに深まる騎士だった。「どしたん」のんきな青年。「我々の居た土地は……星の反対側です……」「……詰んだ」時雨とエヴィルは天を仰いだ。9
2015-07-13 09:28:08わらわらと騎士の周りに、城から人々が出てきた。おおむね50人くらいだろうか。騎士は時雨とエヴィルから得た情報を、きちんと皆に説明した。「ウオォオォオオォン!」泣き出すもの。「アアッ!」その場に崩れるもの。「アッパッパーイ!」ブチギレて発狂するもの。様々の反応…… 10
2015-07-13 09:30:19どうやらこの騎士はリーダー格らしく、ジュンネスという名前らしい。ジュンネス曰く、「この近くに街は?」「あるよ」「ありますか!」「まーお前らがそこの街で帰還の方法を探るなり、この地に居つくなりは好きにすればええやん。ただ、この土地……まずはエンドダンに友好的になるべきだな」11
2015-07-13 09:32:22ジュンネスのような毅然と状況を把握する人間はまだ希少らしい。大抵の人民は打ちひしがれている。うつろな目、虚脱。何より問題なのは、死人が出てもいないのに「死の臭い」がすることだ。これは肌身感覚で分かる。膿んでいく。うつろに膿んでいく。そして…「先」を見ようとしなくなる。12
2015-07-13 09:40:28「――まずいかもね」時雨はこれを敏感に察知した。時雨はこういう難民キャンプでの無気力を、それまでの旅でよく見てきた。そしてそれが――いずれは無軌道な暴力性に変わるのさえ、見てきたのだ。エンドダンに避難は第一だろう。だが「それから」はどうする?オーズ界に骨を埋めるのか?13
2015-07-13 09:41:54――詩小説、レッズ・エララ神話体系、中世編「時雨とエヴィル」 「オーズ界秘境探検」、第二章「時空城(仮称)と24匹のデモンズケルベロス」・幕間 ――ありし日の時空城に伝わる詩「王都の騎士ドゥイノの白亜なる勇気」
2015-07-14 19:07:03天に限界あれど剣を捨てる理由にならず。瑠璃の緑に覆われたこの大地、そびえるは白亜の城。/尖塔の数は逝った騎士たちのイサオシ、空よ貫け、いかに無限の空といえど、その琴線は鳴り響くだろう。/ああ若き騎士ドゥイノはこの地の民にあらず/されどこの地を愛し誰よりも勇敢にイサオシ 1
2015-07-14 19:10:20イサオシ笑う者は白亜の城より去れ/いかなる時も勇武を忘却することあたわず。たとえ城が海に流されても、たとえ城が火に堕ちても/白亜の城はイサオシある限り、その内なる宝玉の輝き静かに胎動せし/ああ若き騎士ドゥイノは王となり戦場を駆けた、両の剣で誰もを救ったイサオシ 2
2015-07-14 19:13:22ドゥイノの目は潰れ、ドゥイノの脚は矢に打たれ。/だけれどドゥイノ、一度も振り返ることなく「逃げ傷」なく――/誰もがドゥイノを愛し、誰もがドゥイノに恥じないようにせんとす/白亜の内なる宝玉は輝き続ける/イサオシの内なる涙を封じ込めて、誰もが強くならんとすることを 3
2015-07-14 19:16:00だから、だから、だから、白亜の城の民よ、王よ、ドゥイノたらんとなるべし。城が海に流されても、城が火に堕ちても、白亜の誇りを捨てることなかれ――いずれドゥイノも尖塔のもとに天に旅立った。「だからといって誇りを捨てる理由にならない」「だからといって誇りを捨てる理由にならない」4
2015-07-14 19:17:58虚脱感ひどい次元城の住民。ひどくボロっちい姿をしているので、誰が誰だかわかんねえ。ジュンネスの毅然たる姿が幸いだが、これで皆パニクっていたらもう手がつけられん。……だが、やはり張り叫ぶように言葉を発する人間はいる。「地獄じゃ地獄じゃ地獄の封印が解けるのじゃ!」5
2015-07-14 19:22:10