第五章「そして得たもの」

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1. 榛名「提督、遅れてごめんなさい！榛名、今行きます」 榛名は瓦礫をその巨大な「手」と化した艤装で弾き飛ばし一行の後を追った 攻撃は激しさを増すばかりである 戦艦棲姫の話に聞き入ってしまった。だがそのことより話の内容であった。それは艦娘たちなら一度は思うことなのである

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～第五章～そして得たもの

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3. 戦艦棲姫「失ったものは戻らない…そう、私にとっての静かな水面のように」 戦艦棲姫「もし、平和な海になったら艦娘たちもどうなるか…もう一度考えてみるといい」 艦娘たちに必ずある「轟沈」それは失ったものは戻らないということである

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4. そしてそれの対極に位置する 「もしも平和な海となったら…？」 多大な軍事力を持つ現海軍はどうなるのだろうか、現実的なのは新たな脅威に対する自衛のために維持するということではあるが……

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5. この戦いに終わりが見えないと嘆くのは提督含め多数見られる。終わりが見えない戦いでもいつかは終わりが来る。現にこれまでの絶望的な作戦だってそうであった。 ……今は世界のために、戦うのみである

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6. 北上「ああっ、もうここも塞がれてるぅ」 ザハ「ちっ、下がっててくれ」 八卦炉搭載銃槍を構えフルチャージで放つ ザハ「榛名は！？」 大鳳「偵察をしていますがまだ見つかりません。あっ、深海棲艦！敵影あり！」 ザハ「何！？もう上陸しているだと」

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7. 偵察報告を受け艦娘たちが身構える 利根「とはいえ閉所での戦闘は不利じゃ、さっさと脱出したいものだが…」 ザハ「この角を曲がれば……って」 中庭へ続く道は瓦礫で塞がれているた。なんとか人間一人通れなくはないがというところである

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8. 利根「あの銃剣で吹き飛ばせないのか？」 ザハ「連続しては放てない」 八卦炉銃槍は先ほどの砲撃によって銃身部分がまだ過熱状態だ 大鳳「敵艦来ます！なんとかこれで…」 ボウガンを構え艦爆を放つ 大鳳「あ、あれは」 艦載機の視覚越しに何かを見つけたようだ

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9. 艦載機の迎撃体制をとっていた重巡リ級。そのリ級が突如壁に叩きつけられる。榛名の巨大な手のごとく変化した艤装である。そのまま後ろにいた軽巡２隻を、そして数隻の上陸可能形態の駆逐後期型をも殲滅する 榛名「閉所の戦闘は訓練でしかしたことないですが…成果は出たようですね」

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10. ザハ「榛名！よかった…」 榛名「心配をおかけして申し訳ありません」 大鳳「敵増援、来ます！」 榛名「少し時間を稼いでいてください…はっ！」 その艤装で瓦礫を破壊し、通り道を作る 中庭への入り口がすぐ奥に見えた ザハ「稼ぐまでもなかったな…」

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11. 榛名「早く、こちらへ！きゃっ」 瓦礫を抜けた榛名が突如深海棲艦に襲われる。しかも戦艦クラスである 利根「そこをどかんか！」 利根がそこにすかさず蹴りを入れる。体勢を崩した戦艦ル級、その隙に立ち上がった榛名がル級を艤装で投げ飛ばす 北上「もはやゾンビ映画ねこりゃ」

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12. ザハ「さすがに閉所では雷巡は厳しいか」 北上「まあそもそもこういうところでの戦闘は想定されてないからね～」 ザハ「まあ榛名のあの装備がなかったら確実に詰んでたな」 武蔵「ちっ！どこからでも上陸してきやがる」 秋津洲「離陸準備、完了したかも！」

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13. ザハ「すまない、全員揃ってるな。武蔵を置いておいてよかった」 秋津洲と武蔵に合流した一行は飛空艇に乗り込む ザハ「脱出できるか？」 秋津洲「そのまま垂直離陸でいけるかも」 ザハ「よし、急げ」 秋津洲「衝撃に備えてくださいー！」 大鳳「えっ」

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14. 大鳳「もうダメかと思いました…ｶﾞｸｶﾞｸ」 北上「ま、まあなんていうの、ビックリしたよね」 飛空艇「フライトリバティー」は打ち上げ花火のごとく垂直離陸。高高度を保ったまま泊地を後にした 秋津洲「自由の翼の名は伊達じゃないんだからね」

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15. 利根「面倒なことしなくても最初からこれでいけばよかったんじゃないかのぉ」 秋津洲「索敵できないしあれだけの速度はこの状態じゃ出せないよ」 武蔵「そして滑空状態のまま高速での巡航にいたるってとこか」 ザハ「しかし…」 ザハ提督が静かに口を開ける

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16. ザハ「ここまでリスクを犯したが…何も得ることはできなかった」 武蔵「そんなに責めることではない。何もなかったわけではないんだろ」 榛名「そうですよ、得たものはあります。まずは榛名たちが戦う理由…」 艦娘たちの存在理由である 続けて話す 榛名「そして、深海棲艦の現状」

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17. 戦艦棲姫、離島棲鬼がいた事は確かに衝撃的であった。そして彼女たちが追われる身であること、戦艦水鬼の元より強固となった深海棲艦 そしてその深海棲艦の中でさらに大きな憎悪が生まれていること。 本来の探索目的とは違うとはいえそれはこれから変わる世界を想像するには十分であった。

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18. 榛名「だから…これからも。この艦隊で」 少なくとも今できるのは大本営からの新たな作戦司令に備えるだけである 戦う意義、そして今後の世界、各々様々なことを思いつつ宿毛湾に到着した

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19. 吹雪「戻ってきてくれてよかったですぅー！」 真っ先に出迎えてくれた吹雪は泣いているほどであった ザハ「どれだけこの飛空艇に助けられたか…ありがとう」 瑠奈花「いえ、役に立ってくれたのなら光栄です。秋津洲にもいい経験になりました」

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20. 瑠奈花「それで、友人に関する情報とかは見つかったのですか？」 ザハ「結局、あいつに関することは対して得られなかったよ。ああ、それよりも……いや、いい。なんでもない」 サーモン海の一件を踏まえ戦艦棲姫の件は今は説明しないほうがいいだろうと判断した。

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21. ただ比叡のこともあるし後々榛名とともにゆっくり話したほうがいいだろう ザハ「もうこんな無茶はしたくないものだ。ハンター時代に災厄に挑むようなものだよ」 瑠奈花「でもザハさんそれを乗り越えたんです。次なる作戦でも頑張りましょう。フォースとともにあらんことを」

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22. 宿毛湾を出て帰ろうとしたところで濃い茶色の軍服と軍帽、そして「憲」「兵」と恐ろしげに彫り込まれたメンポを着用した集団に囲まれた 榛名「提督、これは…」 ザハ「おや、こんな場所まで来るとは憲兵さんも暇だねぇ」 そんな集団に囲まれていても特に動じる気配はない

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23. 憲兵「霧雨提督だな、今回の作戦海域外行動について聞きたいことがある。我々と来てもらおうか」 ザハ「…まあそうなるな。だが艦娘たちは放してやってくれ。今回の責任は私にある」 どこかの航空戦艦のようなセリフを吐きつつも拘束され、専用の車両に連れ込まれる

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24. 榛名「提督…こうなることを覚悟で…」 大鳳「いえ、おそらく提督なりの考えがあるかもしれません。あんなに動じていない提督初めてみました」 利根「確かに普段なら慌てふためくとこじゃからのぅ」 北上「提督って信頼されてるやらされてないのか…まあ私達は待つしかないね」

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25. 翌日 ザハ「やぁ。突然だが…」 榛名「提督！？」 大鳳「連絡がないと思ったらもう帰ってたのですね」 ザハ「一週間、休みだ。遠征艦隊にも帰ったらそう言っておいてくれ」 榛名「えっ…？」