臭い・中編

師匠@似非 @unishisyo

第一報はイジメ紛いな事をしていた留年生が親御さんから伝わった。 その留年生、田部さんの携帯のあいうえお順の一番上にあったからだそうだ。 留年生は半狂乱になってね、俺が悪いんだ、俺が悪いんだって他の留年生にぶつけていたよ。 葬式にも参列したよ。

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その後に僕は知ったんだが、田部さんの元彼女って人がいてね、また改めて親御さんに挨拶がしたい、貴方と一緒にと言われて行ったんだけど。 彼女に振られた事、100万単位の借金があった事、進路に悩んでた事。 親御さんが話してくれたよ。 僕は口が裂けてもサークルの事は言わなかった。

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6月下旬はテスト三昧。 7月になると今度はレポート三昧。 書き終えたレポートを決まった日に出さないと単位が貰えない。 僕は出来上がったレポートを持って夏の日差しを浴びていた。 学校からあと10分位の所で、僕はある臭いを嗅いだ。 田部さんだ。 田部さんが僕の近くにいる。

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僕は臭いで田部さんだと分かった瞬間、背中をどんどん押してくる。 早く学校へ行けと頭の中を支配してきた。 押す力は尋常じゃなかった。 部室へ行け部室へ行けと、大通りが赤でも強い力で背中を押される。 自然と駆け足になった。 だが、僕も負けてはいられない。 レポート出してから‼︎

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田部さんには悪いが、死人の御託より自分の単位が大事だったからね。 力技でレポート提出が出来たよ。 そして田部さんの言う通り、部室へ行った。いや、行かされた。 部室には後輩がいたが、僕は田部さんが何を指しているのか分かったよ。 僕は迷わずテーブルの下にある袋を開けた。

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そこには田部さんが生前元カノさんから借りてた物や他の人に借りてた物がわんさか出て来た。 僕は田部さんの言う通りに返した。 ただ、田部さんの話は抜きにして。 部室に置いてあったから、代わりに渡したんだと伝えると、皆泣いて、また彼の死を悼んでいた。