【福島県立医科大のLancet誌論文3部作シリーズ その3「原子力災害と健康:学ばれた教訓、課題と提案」】について Yurihiranumaさんのツイートまとめ(2015.8.2作成)

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まとめ 2015.7.31報道【原発事故の健康影響まとめた論文発表】・論文抜粋和訳【Lancet誌 原爆投下70周年特集号掲.. Lancet誌 原爆投下70周年特集号に掲載された論文について 2167 pv 34 1 user

他二本の論文については、上のまとめに。

Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

福島県立医科大のランセット論文3部作シリーズ その3 "Nuclear disasters and health: lessons learned, challenges, and proposals” thelancet.com/journals/lance…

2015-08-02 12:08:47
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

「原子力災害と健康:学ばれた教訓、課題と提案」 著者陣:大津留、谷川、熊谷、丹羽、高村、緑川、ノレット、山下、大戸、チェム、クラーク thelancet.com/journals/lance… (ちなみに、論文原文は有料ではなく、登録さえすれば読めます。)

2015-08-02 12:10:32
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

ざっと斜め読みしましたが、タイトルと添付のKey messagesの通り、原子力災害時に医療機関や医療従事者がどのように行動すべきかということを詳細にカバーしているのはいいとして、ちょっと気になった箇所があったので和訳しました。 pic.twitter.com/gEKG9WWNgR

2015-08-02 12:15:37
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Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

「放射線被ばくからの市民の防護」というセクションのパラグラフ3です。安定ヨウ素剤投与についてです。登録すれば無料で読めるので、そのパラグラフのスクショを添付します。以下、パラグラフ和訳連投 thelancet.com/journals/lance… pic.twitter.com/Ooj60cREAM

2015-08-02 12:17:43
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Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

安定ヨウ素剤の投与は原子力発電所事故後の放射線防護において重要な問題である。なぜかと言うと、放射性ヨウ素摂取のすぐ前か直後に服用した場合、甲状腺が放射性ヨウ素を取り込むのを妨げるからである。

2015-08-02 12:18:38
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

(続)安定ヨウ素剤の投与が必要な住民の回避可能な甲状腺被ばく線量は100 mSv(年齢に関係なく)(訳注:この部分の引用文献について後ほど説明)であると報告されてはいるが、重要な疑問は、原子力災害のような困難な状況において、甲状腺被ばくが正確に推定できるかどうかということである。

2015-08-02 12:20:35
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

(続)さらに、安定ヨウ素剤についてはいくつかの伝説があり、ヨウ化カリウムは放射線ヨウ素の摂取からしか甲状腺を防護できないにも関わらず、他の放射性物質からの防護にもなると誤解されている。 福島県民が安定ヨウ素剤を服用すべきかに関して混乱が生じた。

2015-08-02 12:21:24
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

(続)福島県で当時用いられていた原子力災害対応計画によると、安定ヨウ素剤投与は、SPEEDI、緊急モニタリングとI131放出時間推定から予測された線量に基づいた回避線量が100 mSvを超える場合に地方自治体を通して日本政府により推奨されることになっている。

2015-08-02 12:21:47
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

(続)しかしながら、停電、モニタリングポストの破損や、原発の状態のデータの欠損のため、SPEEDIから正確なデータが得られない状態だった。

2015-08-02 12:23:06
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

(続)従って、重要な教訓は、安定ヨウ素剤投与についての決断についての指示の流れは複雑であるべきではなく、現地の対策本部が、甲状腺放射線スクリーニングやSPEEDIによる予測とは関係なく、原発の状況や空間線量率に基づいて、安定ヨウ素剤の予防的投与の決断を下すべきだということである。

2015-08-02 12:23:35
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

(続)たとえ安定ヨウ素剤の副作用の頻度が低くても、原子力事故直後の安定ヨウ素剤予防服用のリスクとベネフィットのバランスを考慮することもまた重要である。(パラグラフ和訳、ここまで)

2015-08-02 12:24:06
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

ここで言及されている、介入レベルが「年齢に関係なく」回避可能線量の100 mSvである、という部分の参考文献は2つ。twitter.com/YuriHiranuma/s… ひとつはWHOの「原子力事故後の安定ヨウ素剤予防服用ガイドライン」 who.int/ionizing_radia…

2015-08-02 12:27:52
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

もうひとつは、ICRP Publication 60。 icrp.org/docs/P60_Japan… (和訳版PDF) ICRP 60の方にどう書いてあるのか精査してませんが、少なくとも、WHOガイドラインの引用には誤解があります。(わざと?)以下、説明します。

2015-08-02 12:29:41
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

第4章:安定ヨウ素剤予防の実施 4−1:介入レベル パラ1の最後の文章 「電離放射線に対する防護と放射線源の安全のための国際基本安全基準」ですべての年齢グループにおいて推奨されている一般介入レベルは、回避線量の100 mGyである。 who.int/ionizing_radia…

2015-08-02 12:32:54
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

(続)パラグラフ2:一般的な推奨に関わらず、詳細な緊急計画を作成する際には、年齢が異なるグループでのリスクが異なるということ、そしてさらに、安定ヨウ素剤予防投与に差異をつける可能性を考慮することが適切である。

2015-08-02 12:34:29
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

(続)そうすれば、子どもにおける安定ヨウ素剤の必要性がより大きいことと、高齢者における副作用のリスクがより大きいことと別々に対処することが可能になる。

2015-08-02 12:34:58
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

4-2: 安定ヨウ素剤服用におけるリスクとベネフィットのバランス who.int/ionizing_radia… パラグラフ3〜4: 小児期に被ばくした人たちの間で甲状腺がんリスクが比較的高いことがわかっていることを考えると、

2015-08-02 12:37:35
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

(続)子どもにおける安定ヨウ素剤予防服用の計画は、一般介入レベルの10分の1、すなわち、甲状腺への回避線量が10 mGyの段階で考慮されるべきである。このレベルはまた、妊娠中の女性においても適切である。

2015-08-02 12:38:02
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

(続)実際の緊急事態において、回避線量が大幅に過大評価されたとしても、結果として安定ヨウ素剤投与による健康への悪影響が大きくなるわけではない。(参考文献の引用和訳、以上)

2015-08-02 12:38:28
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

つまり、この論文内の安定ヨウ素剤投与に関する記述では、介入レベルが年齢に関係なく100 mSvであるとWHOガイドラインで言及されているとされているけれど、WHOガイドラインをちゃんと読めば、小児ではその10分の1の10 mSvが推奨される介入レベルだと書いてあるのです。

2015-08-02 12:40:38
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

この安定ヨウ素剤投与に関するパラグラフ、全体的に「言い訳感」が半端ないと感じます。で、大津留氏らは、福島県立医科大学では安定ヨウ素剤が配布されたことには言及しないんですね。 pic.twitter.com/lbjO9PisQB

2015-08-02 12:42:12
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Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

この論文には、パネル4で甲状腺検査についての言及もあります。一応、108人が悪性または悪性疑い、とは言及されているけれど、スクリーニング効果か過剰診断か、という話になっていて、参考文献は山下氏、長瀧氏や渋谷氏の論文たち。 pic.twitter.com/NV5H96mzu1

2015-08-02 12:45:07
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