イギリス料理はなぜまずくなったか

Amazon.co.jp: 西洋史の新地平―エスニシティ・自然・社会運動: 佐藤 清隆, 安川 隆司, 中島 俊克 http://www.amazon.co.jp/dp/4887083483
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猫の泉 @nekonoizumi

小野塚知二「イギリス料理はなぜまずくなったか イギリス食文化衰退の社会経済史的研究」(佐藤清隆・中島俊克・安川隆司編『西洋史の新地平』刀水書房、2005年)という論文がある。これによると、それまでイギリスの各地方に多彩で個性的な料理があったのが、19世紀半ばに急速に失われた、と。

2015-08-21 01:07:31
猫の泉 @nekonoizumi

各地域で様々なソースや多様な香辛料を用いた料理があったりもしたけど、19世紀半ばには食材の在地性と多様性が急速に低下、「薄い塩味」の方に向かう。その象徴が「フィッシュ&チップス」。19世紀後半には前世紀より料理があらゆる点で単調になる。

2015-08-21 01:08:39
猫の泉 @nekonoizumi

大きな原因は、主に下層出身だった料理人は年に何回かの村の「祭り」の時に多様な食材、在地の様々な(特別な)食材に触れていたのが、エンクロージャーによる入会地の消滅などと、産業化による農閑期=「祭」の時期の消滅により、多様な食材と、それに触れる機会のどちらもの消滅が進行し、…

2015-08-21 01:10:28
猫の泉 @nekonoizumi

…経験されなくなった。さらに人口増に対応する大量生産される一定の食材の普及(じゃがいもなど)もあり、多様な料理のレシピが急速に失われたという流れらしい。イギリスと大陸などとの違いは、産業化が早かったことと、特に「エンクロージャー」の影響という。

2015-08-21 01:11:34
猫の泉 @nekonoizumi

補足しておくとフィッシュ&チップスなどは一方で下層階級の栄養状態を改善するのに一役買ったという。あと、上層階級では他国のシェフ(主にフランス人とイタリア人)を雇った。

2015-08-21 01:23:11