ストレイトロード:ルート140(14周目)

オリジナル短編「ストレイトロード」のコンビがお届けする、短編という名の習作。 今後も1日1組つぶやきますのでお楽しみに。 今回は651~700+関連ツイート+おまけ。 ちなみに毎回まとめの最後の方はフォロワーさんからのリクエストでテーマを決めています。 続きを読む
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Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

#お宅の作品プレゼンタイムですご紹介ください読みます [ストレイトロード] 風も嵐も自由自在。ツインテールの魔女は優しいお供の車に乗って、謎の怪物たちが跋扈する世界を駆け抜ける。毎日の140文字SSは定期的に「ルート140」としてまとめを作ってます。企画にも参加予定あり。

2015-07-18 18:51:25
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

無断の訪問。不意の襲撃。一晩で二度も食事を邪魔された藍は機嫌を損ね、器を抱えたまま車に乗り込んでしまった。「せっかくいい感じに出来たのよ、時間かけて味わうのは当然じゃない」人間も怪物も誘われた匂いが車内に充満する。車の移動を命じられた私の腹がどうなるか、彼女は考えもしないだろう。

2015-07-03 19:39:16
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、651。味わう。 幸せな時間は長く取りたい。

2015-07-03 19:39:22
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

私が車の洗浄と給油を進める間、藍は近くの空地で地元の子供達と遊んでいた。紙飛行機の練習を風で手助けしていると、子供の親らしき男が現れ、話を聞いて激昂した。「風の魔女だと?出て行け!」怒りの理由は後で人伝に知った。怪物の爪痕ではなく、彼女が与り知るはずもない昔の天災への遺恨らしい。

2015-07-04 20:21:03
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、652。遺恨。 わずかな繋がりや連想さえも許さない感情。

2015-07-04 20:21:11
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

宴の途中。私は余興への参加を命じられ、その場に居た女性を相手に一曲踊った。舞台を降りると藍の冷たい視線が出迎えた。「浮気は良くないわね」酷い言い種だ。まず私には気を移す相手がいない。「お相手は満更でもなさそうだったけど」人混みの中に先程の女性がいた。男の隣で密かに手を振っていた。

2015-07-05 19:53:19
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、653。浮気。 幸せの気配が遠い独身中年男性には縁のない単語? いいえ、そうとは限りません。

2015-07-05 19:54:41
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

鞄を抱えて逃げるバイクの動きは軽快だ。四輪車はもちろん突風も鋭角の軌道は描けない。相手が転ぶことなく狭い路地に飛び込んだ瞬間、私は追跡を断念しかけた。「駅前に向かって」藍が指示を変えた。肌に感じる気温の変化が魔女の苛立ちを教えてくれた。「何その顔。こんな時は先回りが定番でしょ?」

2015-07-06 19:12:24
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、654。鋭角。 急な方向転換はとても危険です。 もっと大きな危険が迫っていても使い時はよく考えましょう。

2015-07-06 19:12:30
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

捕物の余波で近くの塀を損壊した翌朝、藍を連れて被害者の家を訪ねた。幸い門前払いはなかったが、招き入れられた藍は玄関先で足を止めた。「見張りかしら」動物を模した置物を気にしている。「あの変な顔、目がレンズなの。中に何か仕掛けがあるかも」それが本当にただの置物だったことは後で知った。

2015-07-07 19:38:34
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、655。置物。 ガラスの眼はただの鏡かもしれない。

2015-07-07 19:38:40
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

地下水路の中は予想以上にカビの匂いが強かった。昨日の大雨の空気を溜め込み保存したかのようだ。藍は私の前を歩いているが、その表情も言葉も、暗闇の奥を目指す水流が隠していた。五感の大半が封じられるこの場所で、水底に沈んだ探し物など見つかるのか。心に疑いの根を広げながら藍を追い続けた。

2015-07-08 19:39:37
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、656。黴(カビ)。 ただ水だけがある、ほの暗い迷路の一角で。

2015-07-08 19:39:43
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

藍の手で墜落させた怪物が軍の車両で運ばれていく。同乗を辞退し、沿道の人々の後ろで藍を見守っていると、誰かの会話を拾った。「よくあんな奴に喧嘩売れるな、あのお嬢様」「同じ重さの金塊と換えてくれるって言われたら退治行く?」「無理無理!」大笑いに周囲が振り向き、荷台の上の藍も反応した。

2015-07-09 19:40:05
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、657。金塊。 その勝利に報酬額がついた時、ビジネスが生まれる。広がると職業が、それを支える文化が生まれる。 …ここはまだ、ハンターも流れの退治屋もいない世界。

2015-07-09 19:40:19
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「先程の発言、失礼にあたると承知の上で言いましたね?」宴会場を出て行く藍の姿は堂々としていた。周囲の大人がどんな顔をしても反応を見せず、一言も話さず、私の苦言にも耳を貸さない。だが建物の外に出た途端、冷たい風が心の覆いを吹き飛ばした。「あの状況で失礼じゃない言い方なんてあるの?」

2015-07-10 19:42:11
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、658。苦言。 言うべき時も形も、誰かに教わって身につくもの。

2015-07-10 19:42:17
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

買い出しを終え駐車場へ戻る途中、前を歩く藍が振り返って私を見上げた。直後にその表情が固まった。「動かないで」顔に何かついているのか。触れて探そうとしたら、それも止められた。「わたしが許すまで指一本動かさないで」しばらく待っていると、強い風が私の頭を撫で、足元に毛虫が転がり落ちた。

2015-07-11 22:49:15
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、659。毛虫。 扱いに悩む場面。

2015-07-11 22:49:20
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

藍は意気込んでいただろう。タルトの飾りつけは完璧。後は表面のキャラメルを軽く炙るだけ。気合いを感じる鼻歌は、バーナーの不穏な音一つで悲鳴に変わった。「何事です」事情は匂いで察したが一応尋ねた。「なんでもない!」一瞬だけ見えたタルトの表面は、元の色と形を想像できない程に焦げていた。

2015-07-12 23:15:45
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、660。焦げる。 NGテイク。

2015-07-12 23:15:55
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140…ではなく300文字で描く練習。 題名「焦がす」 ジャンル:オリジナル gekkado.blog.shinobi.jp/Entry/537/ #掌編俺のグルメFES

2015-07-12 23:17:13
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

情報提供のお礼に何でもご馳走する。よくある話だが、今夜の藍はその申し出を後悔したかもしれない。「まだ食べるの」彼女の肩の高さまで積まれた皿は全て用済みで、葉の一枚も残っていない。証言者は新たな皿に盛られた肉の塊にかじりついていた。「見てあの笑顔。最初の一口の時と全然変わってない」

2015-07-13 19:52:49
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、661。皿。 食べ物ネタをもう一本。 でも今回の脳内BGMは「激突!グルメレース」のあの名曲。

2015-07-13 19:52:54
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

風を知る魔女と、風に頼りたい商人。相談が口論に発展して一時間は過ぎた。私は外野から見守るしかできない。「悪い話じゃないだろう。どうして理解してくれない」「わからず屋はどっちよ」藍は拳を握った。歪んだ表情が涙を堪えているというのはさすがに見間違いか。「わたしの前から消えて。今すぐ」

2015-07-14 23:08:18
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